まさに純文学と言える凝った文体が魅力の作家さんですが、この作品では、その特徴を抑えて、一般読者に読みやすく普通に徹した読み物になっています。
独身の40代の男性が、ふとしたことから弟夫婦の生後2ヶ月の赤ん坊「なずな」をあずかることになったことからはじまる物語となります。
疲労困憊しながら、なずなの世話をする主人公と、それを見守り助ける周りの人々の交流を描きます。
出てくる人たりが全員優しい人たちなのは、その中心になずながいたからでしょう。
赤ん坊の持つ、他人を幸せにする力を余すところなく描いてみせてくれました。
ミルクを飲んで、排泄するだけのなずなが、確実に大きく育っていき、それだけで多くのものを周りの人たちに与えているという心温まる小説でした。
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