ちゃ~すが・タマ(冷や汗日記)

冷や汗かきかきの挨拶などを順次掲載

かこさとし『未来のだるまちゃんへ』(文春文庫、2016年)

2018年06月05日 14時30分38秒 | 絵本

加古里子、2018年5月2日逝去。本屋でもちょっとした追悼のコーナーがあり、そこで、かこさとし『未来のだるまちゃんへ』(文春文庫、2016年)をみつけた。自伝的な読み物、子どもへの思いがこめられている。さっそくよんで、講義でも取り上げることとした。

目次

はじめに

第一章 僕が子どもだった頃

子どもたちが先生だった/だるまちゃんには子どもたちの姿が宿っている/だるまどんと不肖の父/大人と子どものすれ違い/里山のふるさと/自然が教えてくれたこと/なつを先生のおっぱい/戦争のあしおと/状況と銀ちゃんのこと/東京の子供たち/あんちゃんの思い出/僕の最初のお師匠さん/のらくろ敵討ち/マインファータ、マインファータ

第二章 大人と子どものあいだ

飛行機乗りになりたかった/麻植の音楽と中村草田男先生のこと/裏側から知った戦争、兄の死/そして敗戦/僕も人生に迷っていた/ガンちゃんとデンマーク体操/ふたたび、絵を描く/子どもほど、正直な観客はいない/紙芝居と絵本の違い

第三章 大切なことは、すべて子どもたちに教わった―セツルメントの子どもたち

セツルメントの子どもたち/子どもは鋭い観察者/絵描き遊びが教えてくれたこと/個性って、何だろう/「へのへのもへじ」を世界遺産に/観察者としての覚書/子どもの秘めた思い/成長とは、自発的に花開くこと/戦後の絵本業界/生きた題材とは/

第四章 人間対人間の勝負―絵本作家として

紙芝居だった『どろぼうがっこう』/人間はみんなプチ悪/絵本作家になる/家庭人として/世の中の裏を知る/二足のわらじ/人生の残り時間

第五章 これからを生きる子どもたちへ

四〇年ぶりの続編/この世界の端っこで/見取り図を描く/震災と原発/これからを生きる子どもたちへ

あとがき/文庫版あとがき/解説 加古さんとだるまちゃん(中川季枝子)

授業論で絵本をとりあげるところで、『だるまちゃんシリーズ』『からすのパン屋さん』を紹介して、世界を広げる想像力、それと同時に、その絵本の背景となったものを読み取ることの重要性を強調した。

家に帰って、何気なくテレビを見ているとNHKの「プロフェッショナル」で加古里子がとりあげられていた。九一歳の終わりから九二歳へ、その一ヶ月間、カメラが密着した。その撮影が終わって、二一日後、加古はこの世を去った。あらためて、冥福を祈ることとなった。

現代思想や太陽のかこさとしの特集なども興味深い。買った太陽の本がどこかにはいって見当たらない―困ったことだ!


おくればせながら、黒柳徹子『窓ぎわのトットちゃん』(講談社、1981年)

2018年06月05日 14時00分48秒 | 

おくればせながら、黒柳徹子『窓ぎわのトットちゃん』(講談社、1981年)を・・・。資料として配付したりしているのだが、通して読んでみると、戦中にこんな学校があったのかと感慨を禁じ得ない。1944年頃までの短い2年間くらいの間のこと・・・。実に多様な子どもたちをうけとめた。ダイバーシティ、障害のある子どもとインクルージョン、子どもの自由とニーズ、インクルーシブ教育、多文化共生、子どもの願いなど、現代的な教育としても考えさせられることが多い。

内容(目次)

はじめての駅/窓ぎわのトットちゃん*/新しい学校/気にいったわ/校長先生/お弁当/今日から学校に行く/電車の教室/授業*/海のものと山のもの/よく噛めよ/散歩/校歌/もどしとけよ/名前のこと/落語/電車が来る/プール*/通知簿/夏休みが始まった/大冒険*/肝試し/練習所/リトミック*/一生のお願い/一番悪い洋服/高橋君*/とびこんじゃダメ!/「それからさあー」/ふざけただけなんだ/運動会/小林一茶/手でお話し*/泉岳寺/マサオちゃーん/おさげ/サンキュー/図書室/しっぽ/二度目の春/白鳥の湖/畠の先生/はんごうすいさん/「本当は、いい子なんだよ」*/お嫁さん/ボロ学校/リボン/お見舞い/元気の皮/英語の子*/学芸会/はくぼく/康明ちゃんが死んだ*/スパイ/ヴァイオリン/約束/ロッキーが、いなくなった/茶話会/さよなら、さよなら/あとがき