大門正克『語る歴史、聞く歴史 オーラルヒストリーの現場から』(岩波新書)を読んだ。
歴史を受け止め・受け継ぐ主体とは切り離して、傍観者的に、情報を横のものを縦にしたり、文字情報を入れ替えてみたする歴史研究や外国研究について違和感を持っていたところだったので、この本はとても響いた。いま、戦後史を生きた人の聞き取りをやっているので、重ねて、反省もするところも多くあった。
本書の目次は次のようになっている。
はじめにー「語る歴史、聞く歴史」から開ける世界
第1章 声の歴史をたどるー幕末維新の回顧録から柳田民俗学まで
第2章 戦後の時代と「聞く歴史」の深化ー戦争体験を中心にして
第3章 女性が女性の体験を聞くー森崎和江・山﨑朋子・古在ゆき子の仕事から
第4章 聞き取りという営みー私の農村調査から
第5章 聞き取りを歴史叙述にいかす
第6章 歴史の広がり/歴史学の可能性
あとがき
「沈黙」ということ、語られなかったことを、歴史に位置づけるという仕事を考える。