赤木和重『アメリカの教室に入ってみた』を読んだ。ニューヨーク州のシラキュースの学校事情を、公教育の崩壊と再生、インクルーシブ教育という観点から実態を垣間見せてくれる。面白い本。逆に、日本の教育が、とらわれている側面が明らかになると言うこともある。清水先生と越野先生と一緒に、シラキュースの小学校をまわったことがあった。もう10年も前になるか?貧困地帯の学校は紹介されず、中流から比較的裕福でインクルーシブ教育を推進しているところにいった。それでも、やはり、地域間の格差のにおいはしていたが。いいとこの学校は、フラッグシップとかいって、インクルーシブ教育を進めていたし、そのための資源も豊富だったような印象だった。もっと貧困な地域の小学校の実態を赤木さんの体験は伝えてくれる。
インクルーシブ教育を考えたいと思っている人は読むのがよい! とはいえ、出されてからもう2年もたっており、ぼくもようやく手にとって読んだところ(人間発達研究所などの通信への連載を本にしたもので、その一部はよんだので、まとめて読むことが遅くなった)。
内容紹介は次の通り
こんなにも進んでいて、こんなにも遅れている教育の国、アメリカ―発達心理学者が教室に入り込んで体験した、貧困地区の公教育の実態、さらには小さな私立学校で行われる「超インクルーシブ教育」とは。アメリカ教育の光と影を通して、日本の教育の新しいかたちを考える。
目次は次の通り
第一部 貧困地区の公立学校ー公教育の崩壊
シラキュースという街/貧困地区の公立学校/貧困地区の子どもの体/貧困地区で暮らす子どもの言葉と思考/遊びが消える幼児教育/チャータースクールの光と影/日本との違い/アメリカ公教育の底力
第二部 インクルーシブ教育の異なるかたち
公立小学校におけるインクルーシブ教育の実態/Mind your own business/卒業式/優れたインクルーシブ保育に学ぶ/優れたインクルーシブ保育に学ぶ(その2)/インクルーシブ教育の異なるかたち
第三部 インクルーシブ教育の新しいかたち
小さな小学校とインクルーシブ教育/New Schoolの概要/流動的異年齢教育/流動的異年齢教育を可能にするもの/流動的異年齢教育の意義/インクルーシブ教育の新しいかたち
結び アメリカを通して日本の教室を考える