行商と避暑ついでに露天風呂のある山の温泉を訪れるのが最近のマイブーム。
実は当初、2,000m級の白馬鑓温泉に行くつもりだったのですが、天候不順のためトシを考えて自重、来年の楽しみにとっておくことに。実際、後日の報道では穂高の方で中高年の遭難もあったようですし。
今回は白馬岳の北方にある蓮華温泉。標高1,550mの露天風呂。ここはもう新潟県。
上杉謙信が発見した隠し湯と伝えられる。もちろん、実際に見つけたのは謙信ご本人ではなく越後国の村の衆でしょうが、それにしてもこんな山奥でよく見つけたもんです。
標高1,450m、蓮華温泉ロッジ。なんとまあ、立派な施設だこと!。少しガスってます。
素泊まり6,500円(2食付9,500円)。持ち込みOKとのことで食事は下界で用意していきました。
目指すは仙気の湯。
ロッジから15分(標高にして100m弱)ほど登る。途中、黄金湯との分岐がある。
仙気の湯。混浴ですが囲うものは何も無い。1日目はガスっていて眺望なし。
松本から来たというおじさんが一人。オバサンがやってきたが男2人にためらったのか、さらに上の薬師の湯へ行かれた模様。すいませんねえ。
2日目、晴れたので天気が崩れないうちにと早朝から登る。
2時間ほど出たり入ったり、朝飯食ったりでダラダラ過ごす。
盆明け・平日・早朝のためかだ~れも来ない貸しきり状態。嬉しいような寂しいような..。
浴槽の板は濡れてるし、周りは石と砂利。ゴザかシート持参がおススメ。
正面の眺望、左端は雪倉岳。さらに左奥後方に白馬岳がちょびっと見える..はず。
周りでは硫黄のにおいがする湯煙が上って、チョロチョロ熱湯が湧き出ています。プチ地獄谷?。
さらに10mほど上にある薬師湯。熱い!。1分と入ってられない。熱湯マニアにはたまらない?。
蓮華温泉露天風呂には小さな湯が4つありますが、上ほど熱い。
黄金湯。
露天風呂周回コースの右回りで最初にある。大きさは仙気の湯と同じくらい。道端にあり通行人から丸見え。
写真は2日目に撮ったもの。1日目に松本のおじさんと一緒に通ったらなにやらはしゃぐ声が..。
なんと、中学生と小学生くらいの姉妹らしき女の子らが!「見ないでくださーい!」と叫ばれてしまった。「見ないでください」と言われてもねえ。いやいや、もちろん見ませんよ、見てませんてば!。足早に立ち去る。
三国一の湯。
コース左回り最も下、ロッジから10分くらいの道端にあり通行者から丸見え、眺望なし、ぬるい、狭い(定員1人?)、少し汚い。どこが三国一?、マーライオン並みの三国一残念な湯?。早々に立ち去る。
後で気付いたのですが、どうやら仙気の湯からあふれた湯をパイプで引き込んでいる感じ。
昔はここにも自噴していたのかもしれませんが、これはちょっといただけませんね。
ところで、ロッジにこんな本が置いてありました。
「温泉文化滅亡の危機」とはおだやかではない。
本書の主張を一言で言えば、「地熱発電によって温泉の泉源が枯渇してしまう恐れがある」ということです。
前に、太陽光発電の欺瞞性について書きましたが、地球において太陽に依存しないエネルギー源は「原子力」と「地熱」しかない、というのが私の認識でした。しかし、その認識に一部理解不足があったことをこの本で知ることができました。
何億年か後に地球が冷え切ってしまうまでは、確かに地熱は地球が自給できる数少ないエネルギー源の一つであることは間違いない。問題はその取り出し方にあるということです。
私は、漠然とマグマの熱エネルギーを取り出してエネルギー源にできると考えていました。
マグマの熱エネルギーを直接利用できる技術が開発されるまでは何らかの熱媒体、現実的には温泉のような熱水を介して取り出すものと単純に理解していました。
概ね間違いではないのですが、自然の熱水、いわゆる温泉として取り出せるエネルギーは高が知れている。まあそれでも近隣の温泉が出なくなるなど、温泉観光を地場産業の一つとしている地域住民にとっては一大事です。
そこで、現時点での地熱利用は、温泉の他に「地中の高熱層に強制的に水や薬剤を送り込んで熱水として取り出す」 という方法が中心だということです。
問題はこれによって、泉源枯渇といったレベルを超えて、採湯を休止しても二度と泉源が復活しないほどのダメージを与えてしまう場合がほとんどである。そればかりか深い地層に人為的影響を与えてしまうため、将来、予想もしなかった地殻変動のような事態が起こる可能性が地質学者によって指摘されているというのです。
実際、一時夢の次世代エネルギーともてはやされた「シェールガス」や「メタンハイドレート」も最近トンと話題にならなくなっています。
予想以上の技術的、コスト的問題が浮上したこともさることながら、それらを取り出すために地中深くに強制的に水や薬剤といった媒体を圧注することによる近くへの悪影響が問題となってきているためで、これはまさに地熱エネルギーの強制取り出しにともなって起こりうる環境影響と同じ問題なわけです。
エネルギー問題の真相は、実はエネルギー不足ではなく、エネルギー不足と新エネルギー開発投資を煽って儲け逃げを企む連中を次々と生み出さざるをえない資本主義という経済システムにあるのですね。その意味で、原子力発電も社会のシステムが変わらない限りなくなることはないでしょう。「勝者」が「敗者」を食いつくし駆逐してしまうまで..。そして地球には、誰もいなくなる...。