ゼレンスキーのワンマンショーの舞台だった茶番G7と賢く動く習近平中国
― 日本が目指すべき道 ―
ロシアのウクライナ侵攻で話題になったロシアの民間軍事会社ワグネル。「そんな会社があるのか、やっぱりロシアなんて...」と思った方も多いかもしれない。
しかしワグネルなど大半がヨタ者の集団でまだかわいいものなのだ。
アメリカは、ダントツ世界一の正規軍はもちろん、民間軍事会社大国なのをいったいどれだけの人が知っているだろうか。中でもダインコープ、アカデミ(旧ブラックウォーター)は世界最大、最強の傭兵・戦争・謀略請負会社なのだ。盟友カナダにもガルダワールド(民間人を銃撃して経営危機に陥ったイギリスの民間軍事会社イージスディフェンスを買収)などがある。
CIAなど政府諜報機関とそうした民間軍事・謀略引受会社が裏で協奏・暗躍し、世界各地で軍事ビジネスを行っている。古くは湾岸戦争、中東紛争、パレスチナ紛争から、近年の200万に以上を殺害したイラク介入、50万人以上を殺害したアフガン介入も彼らの仕業なのは公然の秘密だ。
ロシアのウクライナ侵攻だって元はといえばウクライナ内政に裏から介入し、親露政権から親米右翼政権へ「民主的」に変換させウ・ロ国境付近のウ人・ロ人共存地域に認められてきた自治権を奪い、危機感を抱いたロシアのクリミア併合にもあえて見てみぬふりをして紛争の火種を残させたのが、プーチン政権長期化を招き燃え上らせてしまったというのが発端ではないか。
米が主導する「西側資本主義連合(G7)」おいて、経済の柱は自動車でもITでも農業でもない。武器製造販売と兵員(傭兵)派遣・謀略工作を担う軍需産業と1%の大金持ちが99%を所有する資本によるマネーゲームなのだ。そんな経済がはたして持続可能か、世界に平和をもたらすものかどうか、まともに考えれば分かることだ。
これら業界の利益代表として大統領となったトランプ氏は、従来の米欧経済圏強化拡大策から、軍需産業のさらなる優遇と金融緩和で虚妄のマネーゲーム拡大に大きく傾斜、そのために米国民の自国中心・中露・イスラム圏嫌悪の好戦的機運醸成に躍起となった。米の尻馬に乗って旗振りに躍起となっていた日本が、ハシゴを外され立ち往生したTPP離脱などもその表れである。
産油国の資金源化石燃料はいずれ枯渇するかもしれないが、一方通行で消費するのみの軍事産業は、世界のあちこちに火種を残し、必要に応じてボヤを焚き続けている限り需要が無くなることは無い。先住民を暴力的に駆逐して勝ち得たアメリカの繁栄と対世界国家戦略の基本はこのマッチポンプ戦略であることを理解しないと「G7」の世界は見えてこない。
一貫して米追随の自民党政権は、米の経済優先から軍事優先へのブレについて行けず、TPPではハシゴを外されるは、軍事予算増・ムダな兵器爆買い、基地拡大と米の軍事下請け化を唯々諾々と受け入れ、庶民の生活窮迫にも無策、株価のみに一喜一憂する国と社会の脆弱化には気づきもしない。
同様に軍事謀略畑からのし上がったプーチン氏も、地に着いた国民経済の重要性を理解できないままウクライナ侵攻の暴挙に出て、愚かにもロシアを戦争と国家経済窮迫の泥沼に陥れてしまった。
もっともこの紛争も、そもそもクリミアに軍需の火種を残しておきたかった米欧の火加減コントロールミスが最大の原因で、プーチンという火遊び好きに口実を与えてしまい、ボヤどころか自然発火し制御不能の山火事となってしまった。
そんな時代遅れの軍事力信奉者たちを習近平氏は、横目で見ながらほくそえんでいたことだろう。
これまた鉄砲には鉄砲しか頭にないゼレンスキー氏が欧米を歴訪して、旧態依然たる軍事支援行脚を続けている頃、中国は王外相他有能な高官をイスラム圏の中央アジア、東南アジア・アフリカ諸国、太平洋島しょ国群に派遣して中華経済圏の拡大根回しを精力的に行っていた。
中露と陸続きで隣り合わせの中央アジア・東南アジア諸国にとっては、ウクライナや欧州、まして海の彼方の米などより中露の対立こそ脅威だし、揉めないように顔色をうかがわざるを得ない。
習中国はウクライナ紛争を千載一遇の好機として、サウジ・イランの和解(例え表面的にせよ)など平和外交を演出し、まだまだ経済力の弱いグローバルサウスやA・A諸国に経済的便宜のエサを撒いてシッポを振らせ、G7中には対抗するかのようにこれら地域の国々や中央アジア諸国を集めたG7(G20)ならぬC7(C20)?を主導し、その成果をもってウクライナ紛争の収束と影響力拡大へ動く出番機会をうかがい、強大な経済圏作りの地固めに怠りがない。
旧態依然たる軍事力崇拝の欧米はもとより、世界が見えずアメリカ言いなりの日本は、事ここに及んでも台湾有事などと子供のケンカレベルの見方しかできずに気を回し、中国のしたたかな動きを全く見抜けず、相も変わらず米追随の軍事対抗に躍起となるだけのお粗末さである。「台湾有事」の中国にとっての損益計算もできず、地球大気の動きを俯瞰する視点に欠ける日本を尻目に、習中国は一帯一路経済圏強化・拡大、さらには米にとって代わる経済覇権(軍事覇権ではなく)を視野にまい進中なのである。
では日本はどう動くべきなのか。
米との軍事同盟はもちろん、あらゆる軍事同盟に加わらずまずはとにかく自立することだ。自立とは独自に軍事力を持つことではない。軍備を持つということは、必ずどちらかにつかねばならない、ということだ。世界に対立がある限り、中立の軍備などありえない。まずは軍備無しでも国としてやっていけることを示すことだ。「攻め込まれたらどうする」という、鬼の首でも取ったような声が聞こえてきそうだが、「攻める口実を与えない、攻めるより仲良くした方が得な国」になることだ。
だいたい日本のような狭い国が、いくら軍備拡大しようが現代の高性能武器が溢れている実情では、相手がよほどの小国で世界の嫌われ者(北○○)でもない限り守り勝ちの目はない。
憲法9条はその最低限の第一歩として前文、もしくは第一条に格上げする。そしてただちに有言実行、軍事同盟は全て脱退、今のところ米との安保条約しかないが。軍事基地と武器は全て無くす。
いびつな国政運営で少子高齢化が加速する日本をよそに、世界は人口増加し続けている。だからといって強制的に人口増加抑制することが人道に反することも明白だろう。お隣の大国はかつてそれをやって大失敗をこいた。蛇足だが、世界で多発する殺し合いは、実はそこを見越した米欧が陰で謀っている恐ろしい人口抑制策なのではないかとかんぐりたくもなる。
これからの安全保障のキモは軍備でもマネーでもない。有形のモノだけで回せる経済の確立だ。良いモノ作りに努力し「日本製品を買えば間違いない」「侵略してその一時だけ奪うより、継続的にいいモノを作ってもらって買った方がお得」な国になることだ。
そしてもっとも緊急を要し優先順位が高いのは、食糧とエネルギーの自給確保なのは間違いない。欧米主導の殺し合いから仲間外れにされないように卑屈な手揉み外交したり、株式市況に一喜一憂している場合ではないのだ。