25日の羽鳥慎一モーニングショーでれいわ新選組の山本太郎氏が、先の参院選に臨んだ考え方と政策を語っていた。正直、人気に便乗して現選挙制度の欠陥をを逆手にとって政界進出を図る薄っぺらいタレント候補の1人と思っていました。が、認識を改めました。 マスコミも注目し、与党も一見、脅威を感じているようにも見えますが…。
今日(7月27日)の京都新聞より
彼のもっとも基本的な主張は、「生産性で人間の価値を計る風潮は間違っている。みんなが生きていることを喜べる社会にしようじゃありませんか」ということ。これははからずも、まさにマルクス・エンゲルスが提唱した共産主義の基本理念である。
・・・反共派は「ソ連、中国、北朝鮮を見ろ、社会主義・共産主義は失敗どころか恐ろしいものであることを歴史が証明しているではないか」というに決まっている。しかし自称「社会主義・共産主義」を公言しているからといって、その国がマルクス・エンゲルス提唱当時の社会主義・共産主義の理念を体現しているとは限らない、むしろ独裁者が権力を強固なものにする方策として詐称しているといっても過言ではない。反共派はこうした国々をうまく利用して、問題噴出の資本主義の擁護・延命に利用している。
れいわ新選組の主な主張 ①消費税は即廃止。 過去、消費税増税に個人消費が落ち込んで景気が悪くなってしまったデータを示しての主張には説得力がありよく勉強されている。増税派は間違いなく「消費税廃止したら財源はどうするんだ」とかみついてくるに決まっている。それに対する答は「大企業優遇税制をやめて政党に課税」という、まさに共産党張りの主張。 共産党も当初、消費税は「廃止」と言っていた。しかし、受け入れられないとなると「増税反対」と日和ってしまった。
②最賃1,500円 庶民の収入を増やして消費を活発にしてお金を回すことが景気回復につながるという考え方で、これも共産党の主張と一致している。
③ローン型奨学金廃止 給付型に。卒業生の奨学金負債は免除(チャラ)して今後の人生設計に力を入れてもらうようにする。多くの人の生きる力と喜びを育てる教育は国の義務であり、それこそが国の力をも大きくする。これも共産党と一緒。
④原発即廃止 日本のような地震頻発国で危険極まりない原発は即廃止。かといって現状では再生可能エネルギーも現実的ではない。当面は天然ガスなどの環境負荷の少ない資源でエネルギーを確保しながら新しい技術開発を進める。 再生可能エネルギーの現状認識では、即再エネに舵を切るという共産党と微妙に差あり。どちらが現実的か。
日本共産党も長年にわたって低迷するあまり、共産主義はひとまず置いておいて「市民・野党共闘路線」なる曖昧模糊としたもので延命を図るという日和見に陥ってしまった。 「市民・野党共闘」を否定するものではないが、政党としてのアイデンティティーである「共産主義」を、自信をもって強く訴えられずして「市民・野党共闘」と言ってみたところでいずれ反共派の反撃にさらされることは目に見えている。
体制派の狙いは、現体制維持の基本理念は共有する似たりよったりの政党がさも争っているかのように見せる、体制維持には強力なシステムであり、過去にも画策されたアメリカモデルの「二大政党制」である。これがいかに強力な支配システムであるかは、まさに建国200年以上体制不変のアメリカが証明している。「市民・野党共闘」路線は、体制派にとっては表向きは困ったふりをしていても、いずれは「二大政党制」へ誘導できると腹の中ではほくそ笑んでいるに違いない。
山本太郎氏の主張する基本理念はまさに共産主義の理念に通じる。日本共産党との違いは、共産主義の理念を実現させる方法論である。「共産主義」とは言わない彼の党、「れいわ新選組」は今後も伸びるだろう。しかし、「共産主義(党)に共通する理念」を掲げながら、「共産主義(党)とは思われたくない」「ワンイシューのためだけに参集した」メンバーとの矛盾を、いずれは露呈し長くは続かないだろう。似たような顛末は、市川房江氏や青島幸雄氏の二院クラブ、中山千夏氏の革新自由連合、永六輔氏の無党派市民連合、ワンイシュー派八代英太氏の福祉党などの先例がある。