米欧日の好戦的連中は、「善良」な各国民衆の「これ以上犠牲者を増やさないために、ウクライナはロシアに多少譲ってもいったん停戦して、その後話し合いを続ける方がいいのではないか」という声があがり始めていることに危機感を募らせ、「プーチンを調子づかせてしまっては危険、ミュンヘン合意の宥和政策でナチスドイツを調子づかせてしまった過去の歴史に学んで抗戦すべきだ」などと的外れなことを言って戦意高揚させようとしている。
あのねえ、それを言うなら、そもそも2014年のクリミア「併合(実効支配)」に対する「西側諸国」のサボタージュにさかのぼって自省すべきではないか。
プーチンを調子づかせてしまったのはまさにこの時なのだ。毅然と対処しなかった(できなかった?)「西側民主主義」諸国、米、そして何よりウクライナそのものにも大いに責任があるんだよ。
この時、プーチンは思っただろう、「あれっ?、これ行けるんじゃない。NATOを切り崩してロシアが欧州の盟主として今の第3位、3極最弱の位置から3強のトップにのし上がるチャンスかもしれない」。以降、その本音は隠しながらいろいろと欧州に声かけ工作をしてきた。ところが、一向に話も聞いてくれない、振り向いてもくれない。で、ここへきていよいよ業を煮やして暴発してしまった。「オレの話も聞けよ。ロシアをワシをなめるなよ」というわけなのだ。
プーチンロシアは米中露3極では最弱のロシアを最強の一角とするためには、ロシアが盟主となった欧州連合として米中に対抗しなければならないと考えている。ところがその欧州、とりわけNATO加盟国は米の下僕となってしまって結果、米を最強としてしまうのを助けているという認識なのだ。まあ、その認識自体は的を射ているわけだが。
3極の一角、中国はどうか。一帯一路の世界戦略で欧州へ影響力を拡大したい中国は、欧州を率いて世界の盟主となりたいプーチンロシアとは、世界戦略的にも民族的にも相容れないし、欧州をめぐっていずれぶつかる可能性も高い。
しかし今のところは、東方太平洋沿岸の目の前に、今や米軍の最前線基地と化した米傀儡日本の脅威を抱える現状では、北方領土と旧ソ連に対する反共意識から嫌露感情の根強い日本に対する防波堤としてロシアは利用価値がある。なので、今のところは付かず離れず戦略をとっているのだ。
今の世界の現状を動かす主力は、まことに残念ながら、まず武力(抑止力?)、次に経済的影響力(これとてうまく立ち回って巨万の富を得た「富豪」達の意向に左右される)に頼った3極の覇権争い。こいつらにとって最も困るのは、この構造そのものに世界中の一般民衆から異議の声が上がることなのだ。
能天気に「平和」だの「反戦」だの「民主主義」「自由」「平等」とお経のように唱えられたところで痛くもかゆくもない。