私はコロナ禍でのオリンピック開催強行には反対だ。ただ、昨日の大橋悠衣選手の400個人メドレー日本人初金メダル、阿部兄妹の兄妹同日金メダルには、そこだけを見ればやっぱり感動させられた。それだけに複雑な気持ちになってしまう。
開催賛成派からは「オリンピック反対に選手を利用するな」「中止は頑張ってきた選手が可哀そう」という声が上がっていた。マスコミも、開会までは連日コロナ対策がメインだったのに、オリンピックが開催されるとオリンピック一色に塗り替えられてしまった。「何がなんでもとにかく開催して、メダルの感動場面さえ作り出してしまえば反対意見など言いにくくなる」という姑息な思惑が透けて見える。コロナ下での開催の可否決定に選手には責任も権限も与えられていないことは言うまでもない。
だからこそコロナ禍+商業オリンピックの負の側面についても世界が真剣に考える情報を提供すべきなのに、感動ばかりをことさら強調するマスコミを先頭とする世の雰囲気は、これこそまさしく反対意見を抑え込むための選手の「利用」ではないか。なんともアンフェアで卑怯なやり方だ。
例えコロナ禍がなかったとしても、スポーツには不向きな酷暑環境が確実視されていたのにあえて強行したことに対し、体調を崩したり批判の声をあげる選手もいる。涼しい国の選手や政治、経済面で困難を抱える国も多く、疑念や不安なく素直に応援できるスポーツにふさわしい公平な条件下での大会にもなっていない。
やはり、オリンピックの役目は終わっているどころか、格差なくフェアな条件下で競い合い、心から応援できる新しい形の世界大会を模索する上での弊害にさえなってきていると思う。