以前、東京新聞が選挙ポスター公営水増し問題の特集を組んでいた。
9月12日は福井県議選のポスター代の水増しで福井県民が県の監査委員に住民監査請求したと報道されている。
各地に広がるといいと思う。
ところで、全国オンブズ の大会での選挙公営ポスター代水増しの説明に使う資料などを紹介。
今回の大会、政務調査費のテーマが主題でその観点でのことはずいぶんと勉強になり、資料も集まった昨日だった。
人気ブログランキング→→ ←←ワン・クリック10点
● 大会資料集用に閉じこまれているページの一部
選挙公営ポスター代水増請求問題
選挙公開制度とは
選挙公営は、公明正大な選挙を確保し、選挙運動の平等を目指し候補者の金銭負担を減らすため、国や地方公共団体が費用負担する制度で、大きく分けて16種類ある。そのうち、ポスターの制作費、選挙用自動車の賃借料、同燃料代、同運転手日当などは候補者側からの請求に基づき、上限額の範囲内で支給するもので、国政選挙は義務づけられ、地方選挙は条例を定めることにより行うことができる。
ポスター公営の手続き
候補者は、業者とのポスター作成契約書を添付して届出し、選挙管理委員会は書類上で審査して「ポスター作成枚数確認書」を発行、代金の請求は業者が自治体の長に対し「請求書及び請求内訳書」を提出するとともに、候補者は「ポスター作成証明書」を長に提出し、後日、長から業者側に送金される。候補者説明会等において届出用紙を候補者に提供している。
制度の実施状況
ポスター代等の公営は、公職選挙法に基づき1975年の国政選挙から始まり、1992年の改正で地方選挙でも条例を定めれば適用できるようになった。ただし、県と市のみで、町村には公選法が認めていない。自治体では、都道府県のすべてと市の大部分が導入し、ほとんどが公職選挙法施行令の基準単価をそのまま適用している。
中部6県の今年4月の市議選の候補者のポスター代請求状況のデータでは、上限の9割請求が46%、半額未満は17%とされている。
制度廃止の直接請求
岐阜県山県市議会では今年1月、統一地方選を前に条例廃止の直接請求の運動を開始した。驚いた多数の議員たちは、署名簿の審査中の3月定例会初日本会議で当該条例廃止の議員提案をし、条例廃止を即決した。
住民監査請求
私たちは6月18日に、2003年及び2007年の岐阜県議選のポスター代について、高額請求した候補者らに返還を求める住民監査請求を行った。認められなければ住民訴訟に進む。
制度の具体的な見直し
制度の見直しには、上限額の引き下げや、定額制の検討が不可欠である。議員の多くが満額請求し、市長自らも市長選で満額請求していた岐阜県羽島市長は、「適正な競争が行われた場合の金額を上限額としたい」「一定の割合だけを支払う補助金制度も検討する」とするなど、5人の市長が制度を見直すしを明らかにした。
情報公開請求する場合の文書の特定
「○○年の○○議会議員選挙におけるポスター作成公営に関する文書のうち」
(一番簡略な文書なら)⇒
「県(市)が作成した候補者に交付した額や印刷業者の一覧表」
(ちょっと量のある文書なら) ⇒
「県(市)が候補者及び業者から取得した書類」
(ほぼ全部の文書なら) ⇒
「候補者側から提出された書類の一切」「同申請にかかって、行政側が交付した書類の一切」「その他、同申請及び交付に関して作成・管理している書類の一切」
また、複数の選挙区を有している自治体の場合は、
「選挙区ごとの作成単価の一覧表」も
刑事事件的な観点
「次の行為は、詐欺(刑法246条1項)に該当する。Aは○年に執行された○議員選挙の候補者であり、Bは印刷業を営む。両名は、選挙公営制度(○条例)を利用して選挙運動用ポスター費用名下に金員を詐取することを共謀の上、以下の行為を行った。・・・」
「選挙公営ポスター水増詐欺撲滅キャンペーン」を展開しようと提案したい。
請求や事件の一連の資料などは「てらまち」で検索したブログ「てらまち・ねっと」のカテゴリー「ポスターなど選挙公営問題」に
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ステージのプロジェクターで使ったメモ3枚
他には、公営制度の解説の図や山県市、岐阜県、各地の実態についての新聞記事などを紹介した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
選挙公営ポスター水増詐欺撲滅キャンペーンの提唱
制度を利用した議員の真情
○条例で決まっていること、違反はない
○(自分の)事務局任せで知らなかった
○差額は着服せず、他の選挙費用に充当
○当選後、活動報告等広報の経費に充当
○後ろめたいが皆がやっていること
○制度が悪いので候補者は悪くない
○市長選挙や知事選挙でもあたりまえ
○県会議員や国会議員はもっとすごい
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
市⇒市、県 町村⇒県
情報公開請求する場合の文書の特定
「○○年の○○議会議員選挙における
ポスター作成公営に関する文書のうち」
●(一番簡略な文書なら)
「県(市)が作成した候補者に交付
した額や印刷業者の一覧表」
● (ちょっと量のある文書なら)
「県(市)が候補者及び業者から
取得した書類」
● (ほぼ全部の文書なら)
「候補者側から提出された書類の一切」
「行政側が交付した書類の一切」
「その他、同申請及び交付に関して
作成・管理している書類の一切」
※ 複数の選挙区を有している自治体の場合は、
「選挙区ごとの作成単価の一覧表」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「『ポスター1枚作成単価基準額の50%以上の請求の部分』は過払い」
住民監査請求
●候補者及び印刷業者に不当利得の返還の勧告
●知事の「50%以上請求部分の返還請求」を
怠る事実が違法であることの勧告
●賠償責任を有する職員らの怠る事実の是正勧告
⇒約70人のうち10人訂正、うち4人一部返還
住民訴訟 請求の趣旨
1.被告は、候補者及び利用印刷会社に対し各「返還請求額」欄記載の各金額・・・
2.被告は、古田肇、本件支出に権限のある職員に対して2888万6037円を・・・
3.被告が、候補者及び利用印刷会社に対し各「返還請求額」を支払うように請求することを怠ることは違法であることを確認する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(写真をクリックすると拡大。写真右下あたりのクリックでさらに拡大)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/b2/09405f20abeb7b5df2573aee5fa6e932.jpg)
● 良識の府"は大丈夫? 岐阜で市議 公費ポスター代水増し 東京新聞 7月28日
公費でまかなわれる選挙ポスターの製作費を水増し請求したとして、岐阜県山県市の市議ら7人が今月、詐欺容疑で書類送検された。選挙公営を実施している全国の市や県では、ポスター製作で公費負担の上限額いっぱいに請求している議員が多く、「そんなにかかるのか」との指摘は以前からあった。しかし、この問題にメスが入ったのは全国で初めてだ。終盤戦に入った参院選でも、ポスターの製作には
公費負担がある。こちらは大丈夫か-。 (岐阜支社・稲熊美樹)
詐欺容疑で書類送検されたのは、岐阜県山県市の市議ら7人。
事件の舞台となったのは2004年4月の市議選。ポスター製作費の負担上限額は山県市の場合、37万845円だったが、書類送検された市議ら7人のうち5人は、上限の99%以上、ほぼ37万円を請求していた。
水増し分が最も多かったのはこのうちの一人で、実際にポスター製作に要したのはわすか8万円余。28万円余の水増しで、公費では認められない選挙用はがきや名刺などの印刷代に充てていた。
現金を手にした市議もいた。手口はこうだ。
法令では、印刷業者が市にポスター製作費を請求することになっている。が、その市議は業者に請求書へサインだけさせ、請求金額は自分で上限額ぎりぎりを書き込んで市に提出。印刷業者は自分の取り分を除いて、約10万円を市議に現金で渡していた。
ところで、今回の参院選でも同様の不正が行われることはないのか。
総務省などによると、参院選比例代表候補のポスターの公費負担の上限額は一枚35円で、作成限度の7万枚刷る245万円。選挙区候補の場合、デザイン料などを含む企画料が一律30万1875円、一枚の印刷実費が510円481銭になる。5百枚なら計約55万7千円で、枚数が増えればさらに増額される。
前回参議院選で上限額の95%請求
総務省の担当者は「東京の印刷業者の見積もりや書籍にある単価で決めている」としているが、前回の参院選では、候補者222人の上限額の総額約4億300万円に対し、請求総額は95%の3億8千5百万円にのぼった。上限額と請求額が同額の府県が20もあり、国政選挙でも、上限額いっぱいに請求している議員が多いことをうかがわせる。ちなみに、今回の参院選でも、約4億3千万円の予算が組まれている。
公費負担の計算式は、山県市が事件当時使っていたものと全く同じ。総務省は「東京と地方では見積額も違い、同じ計算式でなくてもいいはず」とするが、山県市選管は「ほかの市も同じだし、国の基準だから問題ないと判断した。もっと慎重に考えるべきだった」。自前で見積額をとらず、国政選挙の基準を使用する自治体が多いようだ。
こうした選挙ポスターの公費負担が多すぎることはないのか。03年の参院選で東京都内の候補者ポスターを数百枚作った印刷業者は「写真は候補者が持ち込み、デザイン料なしで一枚約千円だった」と証言。現在の計算式で国政選挙のポスターを五百枚刷った場合の上限額は一枚約1114円にになるが、「おおむね妥当では」と話す。
半面、ポスター印刷は政党単位では大手広告代理店が仲介しているが、候補者によってはチエン血縁のある地元の業者に頼むケースも多いという。印刷業者は「うちは山県市のように水増し請求はされなかったが、やり方によっては不正はあり得る。他の自治体でも起きる可能性はある」と警鐘を鳴らす。
警鐘と受け止めよ
阪上順夫三重中京大客員教授(政治学)の話
法は選挙公営制度を悪用した不正を想定していない。政務調査費の問題も同様で、公費の使い道は議員の倫理観が前提。しかし残念だが議員を信じられる時代でなくなった。他の選挙でも同様の不正があるとの警鐘と受け止めるべきだ。
(2007.7.28 東京新聞 特報)
● ポスター代、過大請求 敦賀市議が監査請求 朝日 9月13日
2007年09月13日
4月に実施された福井県議選で、公費負担の対象となるポスター代が過大に請求された可能性があるとして、敦賀市議の今大地晴美さん(57)が12日、立候補した55人のうち50人と印刷を請け負った各業者に、計2333万円を県に返還させるよう県監査委員に住民監査請求をした。
県条例では、国の基準に準じて選挙ポスター製作費の一定額を県が負担する。請求できる1枚あたりの単価は選挙区のポスター掲示場数などを基に算定される。最も低いのは福井市・足羽郡選挙区の920円で、最も高いのは今立郡選挙区の3722円だった。この単価に選挙区の掲示場数の2倍の数字を乗じた額を限度額と設定している。
今大地さんは6月、県議選候補者55人のポスター代請求額について情報公開請求。各候補者の請求総額は3825万5209円だった。公費負担の上限額を100%請求していたのは計23人で、上限額の50%以上の請求は計41人いた。上限額請求の23人のうち2人は無投票当選していた。
今大地さんは、県の条例が必要以上に高額のポスター単価の上限を設定していると指摘。15選挙区のうち、最も低い福井市・足羽郡選挙区の単価を「社会通念上、妥当な額」として、これを基準に全選挙区のポスター掲示場数を乗じて独自に公費負担額を計算したところ、総額1492万4805円となった。県議選での請求総額から、この金額を差し引いた金額2333万404円が過大な請求であるとして、基準額を上回る請求をしていた50人ついて返還を求めることにした。
請求後、県庁で会見した今大地さんは「議員自らが税金の使い方に厳しくならなければいけない。請求費の抑制や条例の見直しにつながってほしい」と話した。
| Trackback ( )
|