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てらまち・ねっと



 3月12日、東京地裁で意義深い判決が出された。
 知的障害がある児童生徒を対象として独自の性教育を展開した都立七生養護学校の教育ををめぐって、教育委員会や都議から不当な介入を受けたなどとして、元教師や保護者らが起こした裁判で、東京地裁は3月12日、教員らへの処分は不当だったなどとして、損害賠償を命じる判決を言い渡した。

 自民党にもだけど、民主党にも時々偏向した差別的な考えの議員がいる。
 そんな人たちが発端。石原都政と絡む。
 乗じて偏った報道がされる。今回、意図的な新聞社も相手方。
 
 なお、元養護学校長を降格させた都教委の懲戒取り消しについは、東京地裁は2008年2月25日の判決で処分の取り消しを命じていた。こちらの東京高裁の判決は4月らしい。

 担当する弁護士の報告 (ブログ末で抜粋とリンク)
  「二〇〇三年七月二日、都議会の一般質問において、
   土屋都議(民主党)が性教育について質問し、
   石原都知事が『どれ(教材)をとってもあきれ果てる』と答弁した。
   この二日後、教育庁、都議、産経新聞記者らは、
   『こころとからだの学習』が行われていた
   都立七生養護学校(知的障害児学校)を視察し、教材を『押収』した。」

 これら関連情報を整理。
 4月の高裁判決
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ここのところ9位、10位あたり


 舞台は 東京都立七生特別支援学校

●【視点】性教育訴訟 「不当な支配」拡大解釈懸念/ 産経新聞  サンケイ 2009.3.13 10:27
 知的障害がある児童生徒を対象とした同校では、独自の性教育を展開した。精通の指導では、男性器を模した模型から精液に似せた白い液体が飛び出るものもあった。男子生徒が集会室で突然、「学校で恥ずかしいことじゃないと教わった」と自慰行為を始めたこともあった。

 保護者だけでなく、同校関係者からも、たびたび批判や苦情が寄せられた。都教委が「学習指導要領に違反している」と教材を没収に踏み切った背景には、こんな事情があった。

 判決は、同校で行われていた性教育の是非については言及しなかった。ただ、視察した都議らが「感覚が麻痺(まひ)している」などと教員を一方的に批判した点について、旧教育基本法にある「不当な支配」にあたると判断した。

 確かに、都議の行動には行き過ぎがあった。だが、「不当な支配」の主体は、文部科学省の解釈では、「国民全体を代表するとはいえない一部の社会的勢力」(政策課)とされる。
 教育界では、一部の教員が教育委員会の指導に従わない根拠として、「不当な支配」の文言を拡大解釈。学力テストの反対闘争をはじめ不毛な対立を招いてきた。今回の判決は、そんな流れを加速させかねない。(小田博士)

● 朝日・社説 「性教育判決―創意つぶす「不当な支配」」   朝日 2009.3.14

●性教育訴訟 都議と都に賠償命令 本紙報道への請求は棄却  サンケイ 2009.3.12 19:37
 東京都日野市の都立七生(ななお)養護学校(現・都立七生特別支援学校)で使われていた性教育の教材を都教委が没収したのは不当として、同校の当時の教員ら31人が、都や都議3人と産経新聞を相手取って計約3000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が12日、東京地裁であった。

 矢尾渉裁判長は、都と都議3人に計210万円の賠償を命じた。同校の教育内容を批判的に報じた産経新聞に対する訴えは棄却した。

 矢尾裁判長は、都議が同校の視察で教員を直接批判した行動を問題視し、「学校の性教育に介入し、教育の自主性を阻害した。旧教育基本法が定めた『不当な支配』にあたる」と判断。視察に立ち会いつつ、都議らの行動をとめなかった都教委について「保護義務に違反した」と指摘した。

 一方、同校の教育内容に関する都議の議会質問や、都議らの視察、都教委による教材没収などについては、「不当な支配には当たらない」とした。
 判決は、性教育の内容について判断せず、「都教委が厳重注意するなら、(事前に教員らに)学習指導要領に違反していると認識させるべきだった」とした。
 同校では、男性器を模した模型で射精の仕組みを教えるなど独自の性教育を展開。都議と都教委らが同校を視察し、性教育の教材を没収した。

●性教育めぐる都議の視察「不当な支配」 東京地裁認定  朝日 2009年3月12日15時16分
 東京都立七生養護学校(日野市)を視察した都議3人が、同校が行っている性教育の内容を視察現場や都議会で批判したことが旧教育基本法の「不当な支配」にあたるなどとして、元教諭ら計31人が3都議と都などを相手に計約3千万円の慰謝料などを求めた訴訟で、東京地裁は12日、原告側の請求を認めて3都議と都に計210万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 判決によると、田代博嗣、土屋敬之、古賀俊昭の3都議は03年7月、都議会で同校の性教育の内容が学習指導要領に違反して不適切だ、などと指摘。同校を視察して教諭らを批判した。また、都教委は原告の教諭らを厳重注意して配置転換するなどした。

 矢尾渉裁判長は、都議らが視察の際に教諭を批判した行為は「七生養護学校の性教育に介入、干渉するもので、教育の自主性を阻害してゆがめる危険性のある危険な行為だ」と述べ、旧教育基本法に定めた「不当な支配」にあたると結論づけた。

●性教育に「介入」、都と都議に賠償命令  TBS 12日17:05
 知的障害のある子供たちへの性教育をめぐって、教育委員会や都議から不当な介入を受けたなどとして、東京の養護学校の元教師や保護者らが起こした裁判で、東京地裁は12日、教員らへの処分は不当だったなどとして、損害賠償を命じる判決を言い渡しました。

 「みんなが生まれてくる前はどこにいたか知ってる? お母さんのお腹の中にいたの」

 これは、東京都内の養護学校で実際に行われていた知的障害のある子供たちに向けた「性教育」の授業場面を再現したものです。障害のある子供が理解しやすいようにと体の呼び名を歌にしています。

 「胸におっぱい お腹におへそ お腹の下に ワギナだよ」

 こうした形で性器の名称なども教えてきましたが、こうした教育の在り方に対して・・・。

 「感覚がまひしているよ。こういう教材を使うのはおかしい」

 6年前、この養護学校に突然、都の教育委員会と都議らが立ち入りました。「不適切な教育」だとして、100点以上に上る教材を没収したのです。

 13人の教師が厳重注意となり、2年間で48人の教師が異動となってしまいました。

 これに対し、教師と保護者らが「教育への不当な介入だ」として損害賠償などを求める、裁判を起こしました。教師らは性が理解できないために性犯罪の被害者や加害者になるケースは少なくなく、長年、試行錯誤を重ねて、教師と保護者の間でつくり出してきた教材だったと訴えました。

 そして12日、判決で東京地裁は「当時の教育は学校指導要領に反するものだったとはいえない」としたうえで、教師への厳重注意処分は妥当性を欠く裁量権の濫用だと判断、立ち入り時の「感覚がまひしている」といった都議らの発言についても一方的で教師らの名誉を傷つけるものだとして都や都議に対して、総額およそ210万円の支払いを命じました。

 「不当な支配にあたるというふうに、判決が下されたことはとても喜ばしく思っています」(原告側)
 「教育内容への不当介入は許されないという判決が出た、教育史上、画期的な判決だと思っています」(原告側)

 判決について、東京都教育長は「大変遺憾で、今後の対応を検討したい」、3人の都議は「何ら違法性はないと確信している」としています。

●七生養護:都議らの介入は不当 独自の性教育巡り賠償命令  毎日 3.13
 障害がある児童・生徒向けの性教育を巡って厳重注意を受けた東京都立七生(ななお)養護学校(日野市、現七生特別支援学校)の元教員ら31人が、教育への不当な介入だとして、都や都議3人らに約3000万円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁(矢尾渉裁判長)は12日、210万円の支払いを命じた。

 判決によると、同校は性器の名称など体の部位を歌詞にした「からだうた」を歌うなど独自の性教育を実践していた。都議らは03年7月に学校を視察し「感覚がまひしている」と批判、都教委は「不適切な性教育」として教員を厳重注意した。

 矢尾裁判長は「都議らの行為は政治的な信条に基づき、学校の性教育に介入・干渉するもので、教育の自主性をゆがめる危険がある」と指摘。さらに「教育内容の適否を短期間で判定するのは容易ではなく、いったん制裁的な取り扱いがされれば教員を萎縮(いしゅく)させて性教育の発展が阻害されかねない」と述べ、都教委が事前の指導や研修などをしないまま教員を厳重注意したのは裁量権の乱用に当たると判断した。

 訴えられた都議は田代博嗣、古賀俊昭、土屋敬之の3氏。「過激性教育」と報じた産経新聞社に対する請求は棄却された。【銭場裕司】

 3都議の話 私たちの調査は違法性がないと確信している。視察で都の過激性教育が改善された意義は大きい。
 大原正行・都教育長の話 主張が認められず大変遺憾。内容を確認して対応を検討したい。

 ◇試行錯誤の教材非難は現場無視
 「教育が壊れていくと感じていたので、今日の判決はとてもうれしい」。原告団長の日暮かをる教諭(60)らは判決後、東京都内で会見し判決を評価。「血のにじむような試行錯誤で教育を発展させてきたのに突然『異常な教育』と言われた」と振り返り、都の対応を改めるよう訴えた。

 学校を挙げて性教育に取り組んだのは、児童・生徒の性的な問題行動が発覚した97年から。性器がついた人形を使った授業が非難されたが、「障害がある子供は具体的にイメージできる教材でなければ理解できない。現場をあまりに無視している」と訴えてきた。

 判決は都議らの教育への不当な介入を認定したものの、教材は没収されたままで、従来の教育はできなくなっているという。【銭場裕司】

●東京弁護士会 
   都立七生養護学校の性教育に対する処分に関連する警告書要約版 2005年1月24日

●「こころとからだの学習」裁判を支援する全国連絡会  
   ある養護学校をおそった突然の悲劇。・・教育を守るたたかいが「ここから」始まります。

●「産経記者「記憶なし」連発 養護学校の性教育裁判」  JANJAN

●「「ここから裁判」 原告 勝訴」   JANJAN

●   弁護団声明

●   判決要旨
判決の一部
 ・・原告らに対する厳重注意の理由とされた授業がされた当時、それらの授業が学校指導要領等に反するものであり、本件養護学校の児童生徒の発達段階を踏まえないものであることがあったとはいえず、むしろ、被告都教委が作成した「性教育の手引き」の記載には、それらが学習指導要領に反するものではないとの誤解を生じさせる部分もあった。

 被告都教委は、平成14年11月ころ以降に被告都議らから指摘を受けるまでは、本件養護学校等における性教育を学習指導要領等に違反するとして問題視した形跡がなく、本件養護学校の養護教諭らを講師に招いて開かれた校長会及び教頭会の研修会を共催するなど、評価をしていた。

 本件厳重注意は、本件性教育という授業内容そのものが不適切であることを理由とするものであるところ、性教育は、教授法に関する研究の歴史も浅く、創意工夫を重ねながら、実践実例が蓄積されて教授法が発展していくという面があり、教育内容の適否を短期間のうちに判定するのは、容易ではない。しかも、いったん、性教育の内容が不適切であるとして教員に対する制裁的扱いがされれば、それらの教員を萎縮させ、創意工夫による教育実践の開発がされなくなり、性教育の発展が阻害されることにもなりかねない。

 性教育の内容の不適切を理由に制裁的取り扱いをする場合にはこのような点についての配慮が求められる。
      (略)
 被告都議らによる指摘を受ける前には、抽象的に学習指導要領及び児童・生徒の発達段階に即した指導を行うべきことなどを通知するにとどまり、「性教育の手引き」を改訂するなどして上記機会を与えることをしないまま、原告教員らに対して
厳重注意をするに至ったものであり、そのような被告都教委の行為は、社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権を濫用したものとして、国家賠償法上違法であり、被告東京都には、それによって名誉感情を侵害された上記原告らに生じた損害を賠償する責任がある。


●元養護学校長降格 都教委の懲戒取り消し 東京地裁判決、性教育是非触れず  2008.2.26 東京新聞
 性教育の在り方をめぐり、東京都議会で一部議員から問題視された都立七生養護学校(日野市)の元校長金崎満さん(60)が、別件で停職一カ月とヒラ教諭への降格の処分を受けたのは不当だとして、都に処分取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は二十五日、処分の取り消しを命じた。

 渡辺弘裁判長は「個別指導が必要な情緒障害児について、ほかの生徒の安全確保や情緒の安定化を図るため柔軟な学級運営を立案し、都教委も認めていた。直ちに虚偽報告だったとは言えず、懲戒理由の事実は見当たらない」と述べ、虚偽の学級編成を報告したとする都教委の処分理由を「事実誤認」と退けた。

 金崎さんが校長の権限を越えて職員の休憩時間を割り振ったことは認めたが、「これらを理由としても処分は重きに失する。(都教委の処分は)裁量権の行使を誤っていて違法」と断じた。

 金崎さんは「処分の本当の理由は同校で行われていた性教育にあり、都教委は『行き過ぎた性教育』として問題視していた。別件による処分だ」と主張していたが、判決は性教育の是非については言及しなかった。


 判決後、記者会見した金崎さんは「都教委のずさんで強引な処分を厳しく断罪した」と判決を評価しながらも、「別件処分の違法性には触れず、判断を回避している」と不満を述べた。

 さらに「都教委がマスコミに処分理由を発表した際、『不適切な性教育』を真っ先に挙げたのに、実際には性教育は処分の対象外だった。行政による公教育への不正介入を恐れたのだろう。姑息(こそく)なやり方だ」と痛烈に批判した。

●  判決要旨

●都教委の障害児教育攻撃と養護学校校長の処分取消勝訴判決 
    東京支部 佐久間大輔  から  
 二〇〇三年七月二日、都議会の一般質問において、土屋都議(民主党)が性教育について質問し、石原都知事が「どれ(教材)をとってもあきれ果てる」と答弁した。この二日後、教育庁、都議、産経新聞記者らは、「こころとからだの学習」が行われていた都立七生養護学校(知的障害児学校)を視察し、教材を「押収」した。

 わずか二か月後の同年九月一一日、教育庁関係者を除く教職員一〇二名に及ぶ大量処分が行われ、このうち同校の元校長である金崎満氏に対しては、停職一か月(懲戒)及び教員への降任(分限)という極めて重い処分が課された。

 金崎氏の処分理由は、大きく分けて四点あるが、そのうち最も重く評価されたのは、都教委から仮決定を受けた重度・重複学級(情緒障害児学級)の生徒を普通学級に合流させたのに情緒障害児学級を編制したと虚偽の報告をしたことにより教員の配当を不当に多く受けたこと、同学級の生徒を普通学級に合流させたことにより障害の程度に応じた指導をしなかったことである。

 本来、情緒障害児は、知的障害は軽度であるものの、集団指導になじめないことから個別指導が必要となる。しかし、現行法上個別指導を理由に教員の配当ができないことから、金崎氏は、都教委と協議の上、教員が多く配当される重度・重複学級を設置したのであり、個別指導を中心としながら集団指導をすることが当初から予定されていたのであって、これこそ障害の実態を見た適切な指導であった。従前は都教委も評価していたのであるが、性教育攻撃を機に、手のひらを返すようにこれを否定して重大処分の挙に出たのである。

 しかも、処分理由の中に「性教育」の文言は全くなかった。都教委は、対外的には大々的に性教育に関する不適切な学校教育管理を処分理由にしたなどと宣伝しながら、実際は不十分な養護学校の施設や予算の中で教職員が工夫していた学校運営そのものを処分したものであり、攻撃の対象が障害児教育それ自体にあることが明らかとなったものである。

 団東京支部は、障害児教育攻撃問題プロジェクトを立ち上げ、教職員組合等との合同調査に参加するとともに、都障教組などと協力しながら、都教委に何度も足を運び、意見書や質問状、要請書を提出するなどして抗議や要請を繰り返した(詳しくはPT報告参照)。

 金崎氏は、人事委員会の審査請求を経て、二〇〇六年五月、東京地裁に処分取消を求める訴訟を提起し、二〇〇八年二月二五日、東京地裁(渡邉弘裁判長)は、金崎氏の懲戒及び分限の各処分を取り消す旨の判決を言い渡した。
・・・(以下、リンク先をどうぞ)


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