行政事件と市民 「行政訴訟を接点として」
2012.8.2 寺町知正 山県市西深瀬208
第1 住民サイドから問題解決のために行政と向き合うとき
(1) 自己紹介
「くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク」
Web 「県民ネット」 ブログ 「てらまち・ねっと」
「公的手続きを使うことで影響と効果は倍増」
(2) 行政訴訟に取り組む動機・経緯など
(3) 前提となる住民運動・市民運動の意義
(4) 行政訴訟の意義と課題
本人訴訟 選定当事者 (安価でもある)
「裁判所の敷居」を低くし、「裁判所の偏見」をなくす
★ 情報公開は弁護士でも利用価値があるのではないか
2.制度のあらまし
▲ 行政処分の取り消し ⇒政策・行政運営転換
▲ 行政不服審査法 第1条 この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使にあ
たる行為に関し、国民に対して広く行政庁に対する不服申立てのみちを開くことによって、簡易迅
速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的。
▲ 行訴事件訴訟法 (抗告訴訟) 第三条 2「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為の取消しを求める訴訟。
□ 住民参加&納税者として公金の使い道の点検 ⇒政策・行政運営転換
□住民監査請求 地方自治法第2422条 住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な①公金の支出・・・があると認めるときは、
当該普通地方公共団体のこうむった損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求できる。
□住民訴訟 地方自治法第242条の2 住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第4項の規定による監査委員の監査の結果に不服があるとき・・は、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。
3.事例 (別紙)
要点、請求の趣旨、判決、意義や評価
第2 時代を開くのは情報公開―役所の情報公開制度を鍛える
●その自治体の住民が、どんどん公開請求し、行政を開かれた姿に鍛えること
骨格
<根拠> その自治体ごとの「条例」。国や独立行政法人なら「情報公開法」
<誰が> その自治体の住民。「なんびとも」の場合は、だれでもよい
<手続費用> 通常は、閲覧は無料、コピー代。国と一部自治体は手数料あり
<何が対象か> その行政機関が作成・取得し保有する文書の全てが基本。施行前・任意公開
・・・(略)・・・
<情報公開請求の勘所・コツ>
・・・(略)・・・
第3 納得できない行政処分に対しては
権利は「No」から見えてくる=その時できることの法的根拠
役所の事務には、膨大な「公権力の行使」「処分」が存在する。
その「処分」が納得できない時の救済のための法律・制度を知ること
▲ 行政不服審査法
・・・(略)・・・
▲ 行訴事件訴訟法
・・・(略)・・・
2004(H16)年 行政事件訴訟法の改正における原告適格の拡大
別紙。・・・(略)・・・
★情報非公開処分 取消訴訟
なぜ勝てるか・・・(立証責任の転換)
第4 住民監査請求(地方自治法242条)のすすめ
▲ 住民監査請求 地方自治法
第242条 住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、
違法若しくは不当な ①公金の支出、 ②財産の取得、管理若しくは処分、 ③契約の締結若しくは履行 ④若しくは債務その他の義務の負担があると認めるとき、
又は違法若しくは不当に ⑤公金の賦課若しくは徴収 ⑥若しくは財産の管理を怠る事実があると認めるときは、
これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によって当該普通地方公共団体のこうむった損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。
2 前項の規定による請求は、当該行為のあつた日又は終わった日から1年を経過したときは、これをすることができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
5 前項の規定による監査委員の監査及び勧告は、第1項の規定による請求があつた日から60日以内にこれを行なわなければならない。
<誰が> その自治体に居住する住民なら一人でできる。「住所、氏名、職業」「自署」「押印」
請求者は、法律上の行為能力が認められる限り、成年・未成年、国籍を問わない
同住所は・・でもよい 氏名だけは自ら署名 押印(なければ指印を) 職業(好みの表現)
<手続費用はゼロ>
<何についてできるか> ◇公金の支出や予算の執行を伴う、違法で不当な行為を対象にできる。(接待費、無駄遣い、請負契約、売買契約などが典型)
◇広域行政の「一部事務組合」や、「指定管理者の当該業務」も対象になる
<手続き> (1) 監査請求書をその自治体の監査委員宛に出す
(2) 支出を証明するもの=証拠(支出の記録、新聞記事など)を付ける
(3) その行為のあった日から一年以内 支出日/契約日/補助金交付決定日
但し「正当理由がある」場合、例えば秘密になされた場合は限定がない
(4) 談合や不法行為による損害の回復を怠る事実の場合は期間制限がない
(5) 求める措置については、「知事(市町村長)ないし全ての支出手続担当者は、違法な公金支出を行った」と漠然と指定しておくとよい
(6) 後日、陳述の場が設定される(出来る限り陳述した方がよい)
(7) 監査委員は、関係職員から事情を聞き(立会いもできる)、書類を調査し、請求の事実があったか、指摘の内容が間違っていないか、違法、不当な行為と認定するかなど審査
(8) 請求書提出から60日以内に、監査結果が、請求人に文書で通知されてくる
(9) 同一事項につき同一人は再度の住民監査請求はできない。却下された場合は再度できる
<効果> 法定手続きで住民に指摘され、監査委員に調査され、時には裁判で名指しされ、しかもマスコミに出てしまうというのは、公務員(役人)にとっては、大変なショックで、当事者はもちろん周辺の部署にも、再考・見直し・反省を促す効果は十二分にある
勝つに越したことはないが、負けても効果がある。新聞に出ることの意義・効果は大
◎ 請求できる行為 次項の表におおむね同じ
第242条の2住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第4項の規定による監査委員の監査の結果に不服があるとき・・は、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。
▲住民訴訟 地方自治法
1.当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求
2.行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求
3.当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求
4.当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求
2 不服がある場合は、当該監査の結果又は当該勧告の内容の通知があった日から30日以内
(行政訴訟の費用) 「訴訟費用は・・・の負担とする」の意味の誤解をしない
地方裁判所 訴訟物の価格 金160万円 印紙額 金1万3千円 予納郵券(約)1万円
高等裁判所はその「1.5倍」 最高裁はさらに「1.5倍」
・・・(略)・・・
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