●4分29秒“トランプ流”避けカナダへ、国境越える難民
tbs 27日21:51
メキシコとの国境に壁をつくるというアメリカのトランプ大統領。注目するのは、反対側のカナダ側の国境です。これまでとても静かな国境だったというのですが、国境の小さな町で今、ある異変が起きています。
批判の的になっているトランプ大統領の移民政策。
「我々は国境の壁をつくる。心配しないで。壁をつくる。すぐに始める」(トランプ大統領【24日】)
トランプ政権のかたくなな姿勢を前に、アメリカにいる不法移民や難民の多くは、いま、ある場所へと向かっています。アメリカの北、カナダとの国境です。
「すぐ後ろが国境になるんですけれども、壁もフェンスも何もありません。あるのは見渡す限りの白い雪ばかりです」(記者)
アメリカ中西部・ミネソタ州と接するカナダ国境の町、エマーソン。
「アメリカから国境を越えて渡ってきた難民のものでしょうか、足跡はカナダへとずっと続いています」(記者)
冬には雪に閉ざされ、静かなこの町。しかし、トランプ大統領が誕生したころから、国境を不法に越え、カナダにやって来る難民が急増しているといいます。
「『ここはカナダか?』って聞くから、『そうだ』と言ったら、うれしそうに笑っていた。それで熱いコーヒーを入れてやったんだ」(難民と話をした国境近くのホテルの支配人)
今年に入って2か月足らずで、人口700人に満たない町に130人以上の難民がやってきました。
西アフリカ、ガーナ出身の2人の男性。去年のクリスマスイブにアメリカからカナダ国境を歩いて越えてきました。しかし、マイナス15度以下という経験したことのない寒さのため、両手に重度の凍傷を負い、指を失いました。水を飲むのも一苦労です。
「腕も耳も凍りついたよ。彼の手も・・・。寒さがあまりにひどすぎて限界だったんだ」(ガーナ人難民)
なぜ、ここまでして極寒のカナダを目指したのでしょうか。
「自分の国にいられないから(米国に)来たのに、トランプ大統領に強制送還されるのを黙って待ってるわけにはいかない。だから国境越えを決意した」(ガーナ人難民)
国境を渡る難民の多くは、2人のようにアメリカに不法入国したものの、難民申請を却下されたアフリカ系の人たち。イスラム圏7か国からの入国を禁止する大統領令が出されてからは、対象国のひとつ、ソマリアからの難民が急増しています。この男性も中南米を経由して、3年かけてアメリカに不法入国しましたが、トランプ政権誕生でカナダに来ることを決意しました。服にはまだ草がついたままです。
「祖国での紛争から逃れ、アメリカに来たら助けてもらえると思ったのに、トランプ大統領が強制送還すると言いだしました。カナダに着いたら正反対です。みんな優しく歓迎してくれました」(ソマリア人難民 イブラヒム・イズマリさん
)
しかし、支援に奮闘する国境の町にも限界はあります。町長も不安を隠しきれません。
「もし難民がもっと増えたら、犯罪者が紛れ込む懸念もあります」(エマーソンの町長)
自由の国アメリカを捨て、カナダに新たな自由を求める難民たち。その姿は、アメリカの現実を浮き彫りにしています。
「難民の言葉に耳を傾けて、助けてあげてください。誰も私たちみたいにならなくて済むように」(ガーナ人難民) |