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てらまち・ねっと



 日本の超有名企業の「東芝」が崩壊寸前の危機にある理由は原発事業の失敗。無論、経営者の問題は少なくない。
 いずれにしても、原発に夢を持ったからの結果であることには変わりはない。原発企業として世界最大の「アレバ」でさえ経営危機に陥っている(フランスに本社を置く世界最大の原子力産業複合企業/ウィキペディア)。

 ★ブルームバーグ 2017年2月3日★≪・・アレバも経営難に/苦境に立たされているのは東芝だけではない。フランスの原子炉メーカーアレバはフィンランドで進めている欧州加圧水(EPR)型原子炉の建設で10年近く遅れが生じた結果、建設費用が大幅に上振れ。仏政府から45億ユーロ(約5500億円)の資本支援を受けるとともに、フランス電力(EDF)に原子炉事業を売却する。≫

 原発のコストがもともと高いことは当然なんだけど、それを「見ないように」していた人たちも福島の事故で認めざるをえなくなった。
 いま、それでも認めないのは、日本の政府とか、一部の企業とか・・・、そんな典型の「東芝」。
 今日は、改めてそのあたりを確認し、以下を記録。

 国民の意思として、世界は、といえば、5月21日、スイスは国民投票で「脱原発」を決定し、再生可能エネルギーに切り替えていく。

 時事★≪・・スイスは2011年の東日本大震災での東京電力福島第1原発事故を受け、脱原発方針を決定。改正法はこの方針に基づくもので、昨年9月に議会で承認されたが、その後国民負担増加への懸念を理由に反対派が署名を集め、国民投票に持ち込んだ。≫

 AFP★≪・・政府は水力発電に加え、太陽光、風力、地熱、バイオマスなど他の再生可能エネルギーへの依存度を高めていく方針だ。
 国民投票の結果を受けて、政府は来年1月からこの政策を段階的に実施していくことになった。≫

 ロイター★≪・・賛成は58.2%となった。投票結果は法的拘束力がある。欧州では、東京電力福島第1原発事故後に原発依存度を低下させる取り組みが広がっており、ドイツは2022年までに原発を段階的に全面停止する方針。≫

 なお、今朝の気温は17度、夜半からの降雨は約10ミリ、ウォーキングはお休み。管理者のgooブログから通知された昨日5月24日の私のブログへのアクセス情報は「閲覧数6.082 訪問者数1,563」だった。

●「脱原発」、賛成が多数=スイスで国民投票/時事 2017/05/22-06:39
●スイス、国民投票で「脱原発」決定 再生可能エネに切り替え/AFP 2017年05月22日 08:47
●スイス国民投票、新エネルギー法可決 脱原発を容認/ロイター 2017年 05月 22日 12:21

●【経済】事故処理費増え「原発は高い」 立命館大教授・大島堅一氏に聞く/東京 2016年12月11日
●原発は高かった~実績でみた原発のコスト~/2016/12/9 大島堅一 | 立命館大学国際関係学部教授(環境経済学) 

●番狂わせの「原子力ルネサンス」、計画に遅れ相次ぎかさむ建設費用/ブルームバーグ 2017年2月3日
●社説/原発再稼働(2)コストに懸念、将来の規制も考慮を/日刊工業新聞 2017/4/27
●原賠機構法改定案 “原発コスト安くない” 賠償費問題“納得できない” 参考人質疑 辰巳氏質問/しんぶん赤旗 2017年4月28日

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●「脱原発」、賛成が多数=スイスで国民投票
      時事 2017/05/22-06:39
 【フランクフルト時事】スイスで21日、原発の新設を禁止し、再生可能エネルギーを推進する改正エネルギー法への賛否を問う国民投票が行われた。開票結果は賛成58.2%に対し、反対41.8%と、「脱原発」支持の民意が示された。投票率は42.4%。

 スイスは2011年の東日本大震災での東京電力福島第1原発事故を受け、脱原発方針を決定。改正法はこの方針に基づくもので、昨年9月に議会で承認されたが、その後国民負担増加への懸念を理由に反対派が署名を集め、国民投票に持ち込んだ。

●スイス、国民投票で「脱原発」決定 再生可能エネに切り替え
          AFP 2017年05月22日 08:47 発信地:ジュネーブ/スイス
【5月22日 AFP】スイスで21日、エネルギー政策の全面的な見直しに関する国民投票が実施され、老朽化した原子炉を段階的に廃止し再生可能エネルギーを推進する政策が支持された。

 最終開票結果は見直し賛成が58.2%だった。6つの準州を含む全26州のうち、反対が多数となったのはわずか4州だった。

 2011年3月の東日本大震災で東京電力福島第1原発事故が発生して間もなく、スイス政府は国内の原発を順次閉鎖することを決定していた。政府は水力発電に加え、太陽光、風力、地熱、バイオマスなど他の再生可能エネルギーへの依存度を高めていく方針だ。

 国民投票の結果を受けて、政府は来年1月からこの政策を段階的に実施していくことになった。


●スイス国民投票、新エネルギー法可決 脱原発を容認
         ロイター 2017年 05月 22日 12:21
 5月21日、スイスで、原発の新設を禁止し、風力や太陽光、水力などの再生可能エネルギーを推進する新法の是非を問う国民投票が行われ、賛成多数で可決された。。

暫定集票結果によると、賛成は58.2%となった。投票結果は法的拘束力がある。

欧州では、東京電力福島第1原発事故後に原発依存度を低下させる取り組みが広がっており、ドイツは2022年までに原発を段階的に全面停止する方針。


スイスには原発が5基あり、そのうち1基は19年に閉鎖する予定。残りの4基については時期は設定されていない。

エネルギー相を兼務するロイトハルト大統領は記者会見で「国民が新たなエネルギー政策を支持し、原発の新設を求めていないことが示された」と指摘し、新法の一部は18年初めに施行されると語った。

新法は「エネルギー戦略2050」と呼ばれ、公的補助金を通じて35年までに太陽光、風力の発電量を現在の4倍に引き上げることなどを目指している。現在は太陽光・風力発電は総発電量の5%未満にとどまっていおり、水力は60%、原発は35%となっている。

風力、太陽光、水力による発電への投資に向け、電気料金から年間4億8000万フランを徴収する。また、化石燃料に対する現行税制を通じて4億5000万フランを追加で確保し、ビルのエネルギー使用量を2000年比で35年までに43%削減する取り組みに充てる。

ロイトハルト氏によると、家計の負担は1世帯当たり年間平均40フラン増加することになる。

アルピック(ALPH.S)やBKW(BKWB.S)、アクスポ[AXPOH.UL]などの国内電力会社は、発電コストと市場価格の差を埋めるため、年間1億2000万フランの補助金を共同で利用する。

●【経済】事故処理費増え「原発は高い」 立命館大教授・大島堅一氏に聞く
        東京 2016年12月11日
 原発の発電費用を研究してきた立命館大学国際関係学部の大島堅一教授が、原発で一キロワット時(エアコン一時間分)の電力量をつくるために必要な費用を、実際にかかってきた費用を基に「一三・一円」と試算した。政府が九日にまとめた福島第一原発の処理費用二一・五兆円を反映した。本紙のインタビューで、政府の「最大でも一〇・四円で、さまざまな発電方法の中で最も安い」とする試算を「架空の前提に基づくため実態を反映していない」と否定した。

 大島氏は「原発は高い」と説明する。現実に東京電力は必要な費用を払えない状態のため、「資本主義のルールに従って破綻処理したうえ、株主にも責任をとらせて財産を処分、それでもお金が足りない場合は国が責任を持って税金などを充てるべきだ」と提言。ほかの大手電力会社の原発への支援策もやめるべきだと指摘した。

 立命館大国際関係学部の大島堅一教授が試算した方法は明快だ。原発の建設費や投じられてきた税金、福島第一原発の賠償に充てられたお金など、実際にかかった費用を積み上げ、原発が過去につくった発電量で割った。すると、一キロワット時当たりの発電費用は一二・三円だった。
 さらに、経済産業省が九日、原発の事故処理費が二一・五兆円へと倍増する試算を示したため、これを反映させると一三・一円になったという。

 一方、経産省はこの二一・五兆円を考慮しても、原発の発電費用は一〇・二~一〇・四円にとどまると計算した。二〇一五年に試算した一〇・一円とほぼ変わらず、水力発電(一一・〇円)などほかの発電方法を下回って最も安いとの説明を続ける。
 経産省と財界人らでつくる「東京電力改革・1F(福島第一原発)問題委員会」の伊藤邦雄委員長(一橋大大学院特任教授)も「原発は最も効率的な発電方法だ」と語る。委員会の議論では「事故があっても安いということをもっと広報するべきだ」という意見があったという。
 この食い違いについて、大島氏は「政府の試算は『モデルプラント方式』といって、建設費の安い原発が事故もなく順調に稼働し続けるという理想的なシナリオを描いた計算。だから実際にかかった費用をそのまま反映するのではなく、仮定を置いて数字を変えるので安く見せるよう操作できる」と指摘する。

 例えば、日本の原発は稼働年数が平均三十年の時点で三基の炉心が溶融する「過酷事故」が起きた。十年に一基で事故が起きる確率だ。しかし政府試算は事故はほとんど起きない前提。このため福島第一原発にかかる費用がいくら膨らんでも、政府の試算にはほぼ影響しない。国民負担が増えているのに、政府が「原発は安い」と主張し続けるからくりはここにある。

 また、震災後は原発に厳しい安全対策が求められるようになり、建設費は世界的に高騰している。しかし、政府試算の前提は従来の建設費と同じ。大島氏は「政府試算の建設費の前提を、英国で新設されるヒンクリーポイント原発の建設費に置き換えただけでも、発電費用は一七・四円に跳ね上がる」と分析する。石炭火力(一二・三円)はもちろん、液化天然ガス(LNG)火力(一三・七円)より高くなる。
 ほかにも、政府が着手しようとしている次世代の原子炉「高速炉」の開発に投じられる税金は規模すらつかめない状態で、政府試算に反映されている金額を大幅に超えることは確実だ。

 大島氏は「原発は高い」と断言。「原発を続けるという選択肢があってもいいが、そのためには『原発は安い』という架空のシナリオではなく、客観的なデータを国民に示して判断を仰ぐべきだ」と語った。 (吉田通夫)
<おおしま・けんいち> 一橋大大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学、高崎経済大経済学部助教授などを経て現職。専門は環境経済学。著書に「原発のコスト」(岩波書店)など。

●原発は高かった~実績でみた原発のコスト~
         大島堅一 | 立命館大学国際関係学部教授(環境経済学) 12/9(金)
原発は安いのか
経産省が2016年12月9日に示したところによると、福島原発事故のコストが21.5兆円になるという。すさまじい金額だ。さらに、それを国民負担にするという案を経産省は提示している。

にもかかわらず、世耕・経産大臣は、原発は安いとの発言を2016年12月7日におこなっている(テレビ朝日の報道による)。

原発のコストは安いのか高いのか。

一体どのように理解したら良いのだろうか。

コストの計算方法
原発のコスト計算の方法には、1)実績コストを把握する方法と2)モデルプラントで計算する方法の2つがある。

2)の方法で計算した値は、政府のコスト検証ワーキンググループが2015年に試算したものが最新だ。ここでは、原発のコストを10.1円/kW時としている。おそらく世耕大臣は、この計算結果を言っているのだろうと思われる。

政府の計算には、いくつもの前提があって問題点もあるが、長くなるのでここでは詳しくは述べない。さしあたってこの計算方法の特徴を一言でいえば、想定や計算式で数値は変わってくる。

原発の実績コスト
これに対して、実績コストは、想定も何もないので誰が計算しても同じになる。過去の原発のパフォーマンスを知るのに最適だ。

では、原発の実績コストはどれくらいなのだろうか。

まず、発電コスト。これは、電気料金の原価をみれば把握することができる。データは、電力各社の有価証券報告書にある。また計算方法は、電気料金を算定する際にもちいる省令に書いてある。この2つをもちいて計算する方法は、室田武・同志社大学名誉教授が開発した。計算すると、8.5円になる。

次に、政策コスト。原発には、研究開発費や原発交付金といったものに国費が投入されている。つまり国民の税金だ。財政資料を丹念にひろうとこの費用も計算できる。これは1.7円。

最後に、事故コスト。これは経産省により21.5兆円という数値がでた。そこで、これまでの原発の発電量で割って単価を計算すると、2.9円となる。

つまり、原発のコスト=発電コスト+政策コスト+事故コストで、13.1円(kW時当たり)となる。

他の電源は
原発以外の電源も計算すると、火力は、発電コスト9.9円、政策コスト0.0円(値が小さいので四捨五入するとこうなる)で合計9.9円。

一般水力は、発電コスト3.86円、政策コスト0.05円で合計3.91(ほぼ3.9)円だ。(※)

これらのコストも原発のコストと同じように計算できる。

計算結果のまとめ
以上をまとめると、原発(13.1円)>火力(9.9円)>水力(3.9円)。つまり、過去の実績(1970-2010年度)でみると、原発は安い、どころか、原発は最も経済性がない電源だったと言える。

それでも安いのなら電力会社が払うべき
原発は、政策コストと事故コストが大きい。これは、結局、ほとんどを国民が払っている。

「原発が安い」というのは何故か。それは、原発のコストを電力会社が全て負担しているわけではないからだ。


最終的に負担しているのは国民。つまり、電力会社にとっては安くても、国民にとっては高いのが原発、ということになる。

もし仮に、今でも原発が安いというのであれば、原発に対する国の支援を全て止めるべきだ。東京電力を含む電力会社は、事故コストを含む全てのコストを自分で払うべきだろう。それが資本主義のルールなのだ。

※当初、水力の政策コストを0.5円としていましたが、一つケタを間違えていました。修正いたします。

●番狂わせの「原子力ルネサンス」、計画に遅れ相次ぎかさむ建設費用
        ブルームバーグ 2017年2月3日Stephen Stapczynski、占部絵美
 福島の原発事故後に安全基準が世界的に強化されたことで原発の建設期間が長期化し、建設の費用が増加している。2000年代には「原子力ルネサンス」とも呼ばれ地球温暖化対策の有効な手段としてもてはやされたが、新型原子炉の製造を手掛ける東芝や傘下の米ウェスチングハウス・エレクトリックは逆流し始めた流れに飲み込まれている。

  原発メーカー各社は、電力の供給が失われても冷却材が自然に循環して3日間炉心を冷却できるような設備が採用された「第三世代プラス」と呼ばれる原子炉の建設を進めている。福島第一原発事故で起きたような電源喪失による炉心溶融(メルトダウン)を防ぐほか、耐震性の向上など安全性が高められている。しかし、規制強化により多くの建設計画が設計変更に直面しており、費用がかさむことから、政府の支援なくして前進しなくなるのではとの懸念が生まれている。

  東芝は15年にウェスチングハウスを通じて原子力発電関連の建設・サービス会社CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)を買収。S&Wが取り組んでいる原発建設事業のコストが大幅に増加することで資産価値が取得時の水準を下回る結果、取得価格と純資産の差にあたる「のれん」が数千億円規模に上り、10ー12月期決算で全額を減損処理する可能性があると昨年12月に発表した。

  元米原子力規制委員会のレイク・バレット氏は「原子力産業は厳格な規制基準、建設の複雑化、業界全体の原発建設経験不足といった課題を抱えており、これが建設費の上昇を引き起こしている」と指摘。「何十億ドルもの資金が小さな社会的リスクを減らすために使われている。複雑化した原子炉の設計がコストの状況を悪化させている」と話した。
  世界原子力協会が今年発表したリポートによると、欧米では原発建設コストが過去20年間で2-3倍に増加。1998年には1キロワット当たり2065ドルだった米国の原発建設コストが2015年には同5828ドルまで拡大。欧州では2280ドルから7202ドルまで増えた。

アレバも経営難に
  苦境に立たされているのは東芝だけではない。フランスの原子炉メーカーアレバはフィンランドで進めている欧州加圧水(EPR)型原子炉の建設で10年近く遅れが生じた結果、建設費用が大幅に上振れ。仏政府から45億ユーロ(約5500億円)の資本支援を受けるとともに、フランス電力(EDF)に原子炉事業を売却する。


  フランス電力(EDF)が英南西部で手掛けるヒンクリーポイント原発にはEPR型原子炉2基が建設される予定で、その費用は最大180億ポンド(約2兆5000億円)にかさむ見通し。またEDFによるフランスのフラマンビル原発でのERP型原子炉建設は6年遅れており、コストは07年1月の建設開始時と比較して3倍に増加している。広報担当者は、この問題は最新の原子炉設計に対して業界が十分な知見を有していないことなどが起因していると説明した。

  東芝は原子力事業をエネルギー事業の再注力分野として位置付けており、昨年3月に発表した事業計画では、18年度の売上高予想5兆5000億円の約2割を原子力で稼ぐ方針を示していた。同社の綱川智社長は1月27日の会見で、原発事業について、建設を含めて受注するかタービンなど機器だけの受注にするか中期計画で見直す考えを明らかにしている。

54億ドルで取得
  東芝は06年に原子力事業の将来性に賭け、54億ドル(約6100億円)でウェスチングハウスの株式を取得。ウェスチングハウスの開発した第三世代プラスの加圧水型原子炉「AP1000」をてこに、中国やロシアを中心に原子炉の受注を目指していた。AP1000は中国と米国で計8基に採用されている。

  米シンクタンク、カーネギー国際平和財団原子力政策プログラム担当のシニアフェロー、マーク・ヒブス氏は、アレバやウェスチングハウスのような企業が直面している基本的な課題は、1970-80年代の原発建設ラッシュ以降発生している建設ペースの低下だと指摘する。
  同氏は電子メールで「一定の水準で継続できてるときには原発建設も良い方向で動く」とした上で、「アレバやウェスチングハウスもそのうち新型炉の建設でそういった水準に達するとは思うが、まずは建設のペースを改善しなければならない」との見解を示した。

●社説/原発再稼働(2)コストに懸念、将来の規制も考慮を
   日刊工業新聞 2017/4/27
原子力発電所は安全性ばかりでなく、コスト面でも是非を議論しなければならない時代になっている。

東日本大震災による東京電力福島第一原発の事故以降、安全規制の強化などで建設コストが上昇している。詳細は不明ながら、フィンランドでは建設費が予定の3倍になり、1兆円を超したとも報じられている。

こうした建設費の高騰にも増して懸念されるのは、使用済み核燃料の処理処分と規制強化によるコストだ。


高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉が決まった。使用済み核燃料を再処理したウランとプルトニウムを燃料にし、消費した以上の燃料を生み出す“夢の原子炉”といわれたが、事故が相次ぎ、1兆円超の事業費をつぎ込みながら、わずかしか運転できない“悪夢”で終わった。

青森県六ケ所村の再処理工場の存続も困難を抱えている。工場は完成の延期を繰り返し、建設費は予定の3倍近い2兆円超に膨らんだ。仮に完成しても、行き場のないプルトニウムを余剰に保管することは国際社会が許さない。結局、使用済み燃料は直接処分しかないようだ。だが、その処分場の選定も当初計画から大幅に遅れている。

電力会社が既存原発を再稼働したいと考えるのは当然だ。しかし将来を見通すとコストが重荷になる。廃棄物を何万年も管理するコストは、まだ試算できていない。電気料金にせよ税金にせよ、最終的には国民負担が避けられない。

今後の原発規制の強化にも備えが必要だ。追加投資で東日本大震災後の新基準に適合させた電力各社は、将来の廃炉までは採算の範囲内に収まると見積もっているのかもしれない。

だが東電の廃炉作業の進展によって事故原因の究明が進めば、新たな規制強化もあり得る。原発の新基準は既設原発にも適用されるバックフィット制度であり、基準改定のたびに再度審査を受けることになる。

それでも採算は大丈夫か。将来の追加支出の採算ラインについても、何らかのシミュレーションをしておくべきであろう。

●原賠機構法改定案 “原発コスト安くない” 賠償費問題“納得できない” 参考人質疑 辰巳氏質問
       しんぶん赤旗 2017年4月28日
 参院経済産業委員会は27日、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法改定案について参考人質疑を行いました。

 「日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会」の大石美奈子代表理事は、東京電力福島原発事故の廃炉・賠償費を送配電網の使用料である託送料金に上乗せし、消費者などに負担させる政府方針の問題を指摘。「原子力を使わない選択をした消費者にも負担を求め、小売業者が原子力を使わない電気を売ろうとしても(託送料金として)廃炉費を払うことになる」と述べ、送配電部門の独立と中立的運営という「電力システム改革」の目的に反すると強調しました。

 事故以前に必要な賠償費を積み立てず不足している分を「過去分」との名目で消費者に負担させるのは「全く納得しかねる」と述べました。

 日本共産党の辰巳孝太郎議員は、原発のコストに対する見解を質問。大石氏は「廃炉費や賠償費は想像もつかない額がかかる。高レベル放射性廃棄物処分費などを入れずに計算して『安い』とすることに不信感をもっている」と語りました。

 東京理科大学の橘川武郎教授は、維新・石井章氏の質問に対し「(原発のコストが『安い』という説明に)強い疑問をもっている。上限は青天井だ。全体として『安い』とは言えない」と述べました。


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