tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

風の記憶:北アルプスの風(9)

2008-10-04 21:15:44 | プチ放浪 山道編

 
 

【撮影地】富山県中新川郡立山町黒部奥山(黒部ダム)(2008.9月撮影)
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降雨など自然現象に対して、人は無力だ。立山だからというわけではないのだが、やはり、古来より信仰を集めた山の上に立てば、自然と神に祈りたくなる。神の機嫌を損ねたのはなんでなのだろう。ふと、平成元年の10月初旬に、紅葉登山に訪れた京都、滋賀の中高年者グループの遭難事故を思い出した。台風並みに発達した低気圧のせいで強い冬型気圧配置となり、猛烈な吹雪が10月初旬の紅葉を楽しむ彼らを襲ったのだった。
<また来るから、今日は帰して・・・・・・>
立山の神様に祈りが通じたとは思っていない。しかし、しばらくすると、激しかった雨が少しだけ小降りに。私は意を決し、山荘を出てまた歩き出した。ミクリガ池温泉を経由して室堂まで雨の中を黙々と歩いた。
急な勾配を登り終え、開けた場所にさしかかった時だった。かなり、前の方を歩いていたカラフルな雨合羽を着た小学生の兄妹とそのお母さんが、足を止めて遊歩道わきの草むらを覗き込んでいる。そして、後方をとぼとぼ歩いている私の方へ<雷鳥がいる>ことを告げに来てくれた(レッドリストの野生生物については撮影地は記載しないのがエチケットのようです)。
雷鳥を驚かさないように、子供たちに目でありがとうと伝え、静かに雷鳥の動きを見つめた。

知ってのとおり、ニホンライチョウ(日本雷鳥・にほんらいちょう)は氷河期を超えて生き残ってきた鳥だ。全長約370mm。夏は額、頭上、後頭が黒色。体の上面は黄褐色を帯びた暗灰褐色で黒と白の細かい横縞と、ところどころに黒色斑がある姿をしている。ワシ、タカ類による捕食を避けるため朝夕に活動するのだが、雨や霧の時は昼間も行動し、ツガザクラ、コケモモ、ガソコウランなどの新芽、葉、花、果など、オンタデ、タカネスイバの種子、新芽、ハイマツの芽などを食べる。このときも、雨のしずくを振り飛ばしながら、さかんにミヤマセンキョウの花を採食していた。立山の神様は、雨を降らすことで雷鳥を私に見せたくれたのだろうか。普段は神など信じない私であるが、なぜかこの時は山がまたおいでと言っているようで、女性の深情けのようなものを感じてならなかった。


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