【撮影地】群馬県利根郡片品村戸倉(2008.10月撮影)
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漆黒の闇の中を、懐中電灯を頼りに何人かのハイカーが、至仏に向かってそっと足を踏み出していく。
やがて明けてきた林道には、あわく光を反射して木道が白く浮かび上がる。
木々の葉はすでに落ち、尾瀬ヶ原はすっかり枯野原となり、晩秋の装い。厳しい冬の訪れをひっそりと待っている。
ときおり、ニホンシカのラッティングコールが早朝の林の中にこだまする。ぼくの前後に人はいない。
枯野を切り裂くように木道がのび、シラカバの向こうに至仏山の山頂が島のように浮かんでいる。
燧ケ岳に見守られ、至仏山に迎えられた。
尾瀬ヶ原が終われば、風化した大小の蛇紋岩が山肌を覆う人けの無い登山道。
電気ガスは勿論の事、テレビ・電話もなく、携帯電話も通じない、このような環境の中で働いている若者が尾瀬で何人いるのだろう。
自然を愛し、尾瀬が本当に好きなのだ。だが、彼らさえも寄せ付けない、厳しい冬がもうすぐやってくる。
子至仏から鳩待峠に向かう木道に、オコジョが残した数個のナナカマドの赤い実がなんともかわいい。
鳩待峠で、自分の背丈より高く積み上げた荷を背負い黙々と歩いている若い歩荷さんを見かけた。
尾瀬ヶ原の山小屋から、空き瓶、空き缶やごみなどを運んでいるのだろう。もうすでに山小屋は冬篭り。
今日の東京は低気圧が過ぎ去って素晴らしい快晴。尾瀬でもきっと清々しい天気になっていることだろう。
鏡のような池塘の水面に風景を映しこみ、黄葉のヒツジグサをあしらう。湿原の上に展開されるいくつものフォトフレーム。
はるかな尾瀬。遠い空。
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