tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

ニューイヤー・カウントダウン

2017-01-16 22:07:22 | プチ放浪 山道編

”アラスカは長いこと、夢想家や社会的な不適合者などの、人生のほころびを人跡未踏の広大な最後のフロンティアがなにもかも繕ってくれると思いこんでいる者たちを引き付けてきたのだ。しかし、森は容赦のない場所であり、希望だの憧れだのは歯牙にもかけない。” (荒野へ ジョン・クラカワー 佐宗鈴夫訳)

フェアバンクスの大晦日。ダウンタウンのメインストリートには、クリスマス・イルミネーション。アメリカの他の街と比べると、時折、車が道路を走っているものの、道を歩いている人がほとんどいないのが決定的に異なる。
それでも、送迎のダッチバンを運転しているボブに聞くと、アラスカ大学では深夜のカウントダウンにかけて新年を祝う人で賑わうんだそうだ。

花火が禁止されている多くの州のアメリカで、花火を買える数少ない機会のひとつがクリスマス休暇。NYのタイムズスクエアでのカウントダウンは、日本でもテレビ中継があって有名だ。年が明けるとともに盛大に花火が打ちあげられる。
ちなみに、カウントダウンのタイムズスクエアは、人が多すぎて動くにも動けず、その上、トイレも少ないから、みんなオムツをして行くらしい。

花火は、クリスマス休暇シーズン(12月22日~1月1日)の間のみ販売が許可されているらしい。フェアバンクスでも、打ち上げられる花火はオフィシャルなものではなく、個人であげる花火。4号玉とかの夜空に咲く大輪というわけにはいかないが、それなりの花火がぽつんぽつんとあちこちで打ち上げられてる。
南米のようにお金持ちたちが狂ったように打ち上げる花火のカオス状態もいいが、ツンドラの原野のかなたにひっそりと開く遠い花火もわびさびがあっていい。

そもそも新年を祝うというのはキリスト教にそぐわないようで、厳密なキリスト教の教えを守る人たちは大晦日も元旦もいつも通りに過ごすようだ。
遅ればせながら、あけましておめでとうございます。





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あったかいんだから。。

2017-01-15 20:55:36 | プチ放浪 山道編

人は旅をして、初めて見る新しい風景を実際に距離と時間で感じるには、人の介在が必要なのだろう。
いくら飛行機に乗り、どれぐらいマイルを稼ごうと、どれくらい機内食を食べようと、それだけでは世界の広さを感じえない。
しかし、誰かと会い、話をして、そして人を好きになって初めて、異国の風景は実際の広がりと、その土地の歴史の重みをもってくる。

ここに友人からもらった一枚の写真がある。華氏-49°F を記録したフェアバンクス。ネットにあふれてる写真だそうから、肖像権とか著作権はクリアされていると思う。
80年代の水着?と、つっこみどころはそこじゃなくて。。
めっちゃ寒そうに見えるのだが、・・・気のせいだろうか。

https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/67/8a/c1a5e9cc414be93920bf3176b13a9adb.jpg?random=52e1fe0dab6b8ca34deebb5733e6d5ad

摂氏に直すと‐45℃。人類が普段使う温度スケールで、実用上、最下限近傍の温度域の数字は摂氏であれ、華氏であれ、そう変わらない。
アラスカの雪の踏み音は、サクサクではない。キュッキュッと乾燥した粉雪の音だ。あたりが明るくなる午前11時頃、光の中をスローモーションのように雪の結晶が舞い落ちてくる。その結晶の形はさまざまだ。

アラスカ滞在中はいつもの冬よりも妙に暖かいという‐20℃。北海道あたりで例年にない寒さと言われる気温だ。この寒さでは、空気中の水蒸気が氷や石などの表面に付着して凍りつき、フロストフラワーと言われる花びらのような形に成長する。

SUZUKI SX4 アラスカ仕様 5ドアタイプ。ロッジの女主人Colleenが乗っている車。
アラスカの車は、すさまじい寒さの中でも車のエンジンがかかるように、獄寒冷地仕様にカスタマイズされている。フロントグリルからは、プラグインと呼ばれるプラグが飛び出し、これを屋内から引いたコードと接続し、寒さに弱いバッテリーなどに備えられたヒーターを温める。
エンジンオイル、ラジエター、バッテリー、ウインドウォッシャー液(使わないそうだ)は、すべて極寒仕様。
しかし、それ以外のところは、目につくかぎりノーケアだ。ワイパーはノーマルのまま。ロッジまで送迎のダッジバンのドライバーは、降りだした雪に凍り付いたワイパーをフロントガラスにたたきつけ、ワイパーに付着した氷を落としていたりしていた。

さて、極寒のロッジの夜。暖房はリビングにある薪ストーブのみ。一辺がせいぜい60センチ四方の鉄製のまきストーブは、その成長の過程で太陽の熱を吸収し育った灌木の火を閉じ込めることができる魔法の箱だ。ストーブから発する熱は、意味は違えどエネルギー保存の法則と言い換えても違和感ないほどにロッジ全体をまるで太陽のように暖める。
薪ストーブの傍で眠りについたメンバーが、夜通し薪をくべてくれたのだろう。ぼくが寝た吹き抜けの2階は、ストーブの熱だけで南国のような暖かさ。
おそらく分厚い断熱材がログキャビンの壁に入っているに違いない。保温ポットのようなロッジ内は、半そででも平気なぐらい暖かい。外から帰ってきた防寒着のメンバーを出迎えるぼくは半そでのTシャツで、はた目にはきっと違和感たっぷりだ。
だが、けっして寒さのあまりテンションがおかしくなったわけではない。フェアバンクスの巨大スーパーの従業員は、半そでのTシャツでレジを打っているし。
冬のアラスカは暑い。。


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空飛ぶ料理人

2017-01-14 19:50:36 | プチ放浪 山道編

小さなことだけど、食文化を共有するということは相手と向き合うことだ。
マウンテン・ムース・ロッジ滞在中は、みんなで自炊。日本でのテニス合宿とかだと、初日にBBQ、翌日は鍋、最終日は余った食材でカレーが一般的。
今回は、アラスカの食材をふんだんに使ってということで、みんなと相談の上、以下に決定。
初日:アラスカ・ジビエ肉主体のBBQ
2日目:キング・クラブのパスタ
3日目:キング・サーモンのシチュー
4日目:・・・適当に
食材は事前にフレッドメイヤー (エアポート通り店)で。食料品から家具まで販売しているいかにもアメリカらしいショッピングセンター。食品フロアが広大過ぎて買うべき食材を探すのに一苦労だ。

さて、初日を担当した女性たちが、野菜を切るのに手こずっている。
ロッジに備え付けの小っちゃい料理用ナイフがまるで切れないのだ。ナイフとして生まれてきたことを後悔しているようなナイフ。使い方によってはなんとか紙が切れるペーパーナイフ以下の切れ味のひどさ。
一応、ナイフシャープナーも用意されていたが、使った形跡はなさそう。旅先でアメリカ人はよっぽどの料理好きではない限り、電子レンジでチンのTVディナーばかりなのだろう。
アメリカ人たちよ。銃社会を止めて包丁社会に移行しないか?
料理する時に包丁で傷つけてしまった指の痛みを体で覚えれば、自分を守るために他人を傷つける行為も控えめになりそうな気がするのだが。。

ということで、3日目の主担当をさせてもらったアラスカ・サーモンのシチュー。
Fasebookで"TASTEMADE"動画を観つつ、玉ねぎのザク切りをでかい鍋に放り込んでいたら、「家畜用のエサじゃないんだから・・・」とか、「どう見てもラーメンのダシととっているようにしか見えない」などの苦情があいついだ。まあ、日本男子(オトコ)の豪快料理ということで。。
できあがったサーモン・シチュー。新年のカウントダウンに駆け込みで登場した年越しそばにメインの座を奪われたものの、スプーンで玉ねぎのブロックをすくい上げ、おいしそうに食べている女子を見て、抱きしめてあげたくなった。。
もう一度言おう。「食文化を共有するということは相手と向き合うことだ」。

なお、今後、アメリカで自炊する際には、百均で買った包丁とシャープナーを持参しようと心に決めた。自称「一流のフォトグラファー」から「空飛ぶ料理人」への華麗なる変身を試みるつもりでいる。。


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アラスカの犬たち

2017-01-13 21:57:52 | プチ放浪 山道編

https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/49/69/911fb7263bf02f47fe3ce72c48e7d448.jpg?random=6ef6b0b182289646ac119abb641aee5c

ナイチャ(Neicha) とガヌック(Ganuk)は、マウンテン・ムース・ロッジで飼われている犬たちだ。一匹はアラスカン・スレッジ・ドッグ(アラスカン・マミュート)、もう一匹はシベリアン・ハスキー(と女主人のコリーンが言っていた)。
両方ともダークカラーの目をしていて、アラスカンの方は耳が垂れてさえいる。日本でよく見かけるオオカミのように顔が怖く、愛想のひとつもふりまかない「ハスキー犬」とはイメージがかけ離れている。ときどき、甘えてクンクン鳴くし・・・。毛むくじゃらな上に30㎏はありそうな典型的なメタボ体形だし。

彼らの名前、ナイチャ(Neicha) とガヌック(Ganuk) は、北米インディアンの神様からとったらしい。だが、何の神様であるかは忘れた。なんせ、時差ボケの頭に容赦なくコリーンの早口英語が飛び込んでくる。回らない頭で話を理解したころには、すでに話題は2つ先に飛んでたりする。
なお、ナイチャは座敷犬。一方、ガヌックは品行不良でよく警察のご厄介になるらしい。そのため、フェンスで仕切られた庭の隅で真冬でも外暮らし。

ロッジの泊まっての朝、朝ごはんを食べた後、夜に積もったロッジまでのアプローチの雪をかこうとスコップ(コリーンがそう発音)で除雪してたら、2匹のオオカミに襲われた。
というか、日が昇るのは11時頃。あたりはまだ真っ暗な雪の中で、近所(といっても1kmぐらい離れている)のシベリアン・ハスキーにじゃれつかれたらビビる。
たぶん、だれかがその光景を見ていたら、「オオカミとダンスしている」と思ったかもしれない。彼らは正当な、オオカミらしいシベリアンたちだった。

マウンテン・ムースの犬たちは、どうやら朝の時間帯は放し飼いのようだ。雪が深いし、山道を行き来するのは時たま自動車とか、多くはムースぐらいだからだろう。よって、彼らのテリトリーは数キロに及ぶ。近所のオオカミ(ハスキー)たちと仲良く、定期的に巡回しマーキングしているもよう。

https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/bc/9e7ea53ac88486c529d491f57e3e1f89.jpg?random=ba9a2c9fa756779690c1f723f458b22f


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それぞれのノーザンライツ

2017-01-12 21:44:52 | プチ放浪 山道編

オーロラ遭遇率97%。勝った負けたで自分の旅を評価する人がいた。
悔しいけど、アラスカ滞在4日間で、3日間はほぼ雪。闇間にうごめく怪しい妖婦のスカートの裾のようなオーロラを見れたのは移動中のダッジバンのナビゲータシートからちょっとだけ。結局、三脚を立てて、フルサイズのカメラを構えていたぼくの目の前には、オーロラの不思議な光は届かなかった。

なんでもない風景だけど、いつかきっとたまらない懐かしさで思い出すと感じる時がある。それは星が瞬く冬の雪原であったり、夏風に揺れる草原であったり。決して特別な風景じゃないのに、記憶の底に沈殿していく。

Mother nature rus a show in Alaska, not us. (長い旅の途上、星野道夫)

負け惜しみなのだろうが、結果が最初の思惑通りにならなくても、冬のアラスカで過ごした時間は確実に心に残る。そして最後に意味をもつのは、結果ではなく、過ごしたかけがえのない時間なのかもしれない。
頬を切るようなマイナス20℃の冬の風。殴りつけるように、厚い防寒着の上に積もる雪。悔し涙で見上げる厚く雲が垂れ込める北の夜空。いつまでも忘れないと思う。

寒さを堪えながら雪の降る夜空の下にたたずみ、気持ちを込めて五感の記憶中にアラスカの夜の景色を焼き付けた。何も生み出すことのない、ただ流れていく時間。
ただし、それは人類が誕生する前から繰り返し、このアラスカの地で人に意識されることもなく流れてきた時間だ。下世話な人間のたくらみに並行して、こうしたもう一つの時間が流れていることをいつも心のどこかで感じていたいと思う。
そして、そんなことを、いつか身近な誰かに伝えることができるのだろうか。
きっと人生とは、たとえばこんな風に、それぞれの光を探し求める長い旅の途中なのかもしれない。


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