「趣味力」と「生涯学習力」を身につけて、豊かな「第二の人生」を楽しもう
毎号届けられるのを楽しみにしている雑誌の一つが季刊『上方芸能』だ。一昨日その3月号(第179号)が届いた。ワクワクしながら、読み始めている。
さて、 季刊『上方芸能』を楽しみにしているその理由としては、「特集」がとても時宜にかなっていることだ。私のその時々の関心事にピッタリと合うものが多い。今号の特集は、「シニア演劇の時代へ 表現する市民の広がり」だ。
その特集のリードして、次のように書かれている。「長寿社会がやつてきた。人生80年の時代、60歳で仕事をリタイヤしたとして、まだ20年ある。もはやそれは『老後』や『余生』ではなく、自由時間に恵まれ、やりたいことがやれる、豊かな『第二の人生』だ」とある。なるほどと共鳴する。
さてもう一つの楽しみは、長く編集長を務められた木津川計さんの魅力的で読み応えのある論文や文章に出会えることだ。
今号では、「特集」の総論として、「趣味力と生涯学習とは何か -生き甲斐あるシニアのために-」を寄稿されている。
私は現役時代に何度か木津川計さんにご講演をお願いしたことがあり、その魅力的な語り口から届けられる、とても豊かなメッセージに何度も魅せられたことを思い出す。そして今号の「総論」にも魅了された。
木津川さんは、今号の論文の中で、生き甲斐としての趣味は積極的な意味を持つ(=「趣味力」)と表現し、①向上力を与える、②達成感の喜びを味わう、③夢をふくらませる、④遊びの喜びを知る、⑤人生を役立てながら生きる、の5点が「趣味力」の力だと規定している。
その「趣味力」に加えて、木津川さんは「生涯学習力」についても、以下の6点と強調している。①人間を平等にする、②友人を作り、人間的なつながりを強める、③女性をおしゃれに、男性を世話焼きにする、④若さを組織する、⑤講師の資質を高める、⑥知的、趣味的要求や関心を満たす、としている。
そして木津川さんは、「人間的社会的つながりが希薄になったり、断絶する今日、そのつながりの絆はいよいよ重要性を増しているのである。生涯学習はそれ故に今後一層強化されなければならない市民的役割であり、行政的責任なのである」と強調している。その通りだと、大きく頷く私がいる。
ともあれ、こうした詳しい内容ついては、是非とも季刊『上方芸能』(一冊1,600円)を読んで、確かめて欲しい。たくさんの知恵と勇気をもらえることは待ちがない。
ところで、この『上方芸能』の編集方針が、今号に掲載されている。(71年17号より、89年101号より一部改定、全文ではなく一部のみ引用)。
「◯小誌は保守に対する進歩の側にいつも与します。装いがいかに華麗であろうと権威主義や非人間性への告発の旗手であり、編集部は考える行動人でありたいと念じています。◯貧乏と多忙は文化的市民を育てません。人間的、文化的な生活諸条件のなかで草の根文化は成長し、一輪文化は咲き誇るのです。芸能文化の花咲く都市や地域を築くために私たちは困難にたじろがず前進します」。
その志を、私は了とする。まさに「困難にたじろがず」、大変だが高い志を持って、継続発行に頑張って欲しいと願う。
そして私も、「生きているといろんなことがある」が、まだまだ元気で「第二の人生」を楽しんで生きたいと思っている。