NHKスペシャル「無縁社会」、何とも心が寒くなり無力感に襲われた
昨・11日の夜、NHKテレビが放映した「NHKスペシャル“無縁社会”の衝撃」を見た。昨年1月のNHKスペシャル「無縁社会 “無縁死”3万2千人の衝撃」を見た、その衝撃は今も心の奥深くに残っている。
以来、もう1年が経過した。「無縁社会」という言葉は、昨年の「流行語大賞」にも加えられ、社会的にも定着してきている。その問題が考えられるという点ではある意味嬉しいが、そうした言葉自体が早急に消えゆくことを願っているのだが。
そんな中で、昨日の番組では「無縁社会」が若者たちにも襲いかかっていることを知らせている。学校にも行かず仕事にも就いていない15歳~35歳までの若者たちが、60万人にも達しているとのことだ。本来は「働き盛り」である人たちにも「無縁社会」は拡がっているという。
番組ではNHKの「取材班」にかかってきた1万4千本の声から、紹介されていく。遺書を送りつけてきた方も登場している。「話し相手がいないのが寂しい」との留守番電話の主も登場する。進路が決まらないままに、学校とのつながりを断たれて、「無縁社会」へと入っていく子ども達も紹介されていく。退学が決定して、学校の廊下で一人なく子どもの映像が、何とも切ない。
また番組には「インターネット中継」で、見知らぬ人たちとつながる人たちも登場する。居酒屋で「一人の飲み会」をし、それを「ネット中継」しながら、見知らぬ人とつながつている光景も出てくる。夜寝る前に、自分の室内から「ネット中継」をした、50人くらいとつながり、それから眠っている人も。彼らは言う。「愛情を求めている。実社会のつながりはあてにならない」と。
働く世代にとって、職を失うことは、社会や人とのつながりを失ってしまうることを意味する。「無縁社会」は、そうした人たちを自殺へと追いやっていく。番組では、そうした人たちの社会とつながってく姿も描かれている。少しだけ希望をみせてくれている。「つながりの中に、自分の存在や役割を感じられてこそ、生きていける」と番組は語っている。
それにしても、昨晩のような寒さ厳しい夜に、一人で「無縁社会」を見ていると、心も寒くなった。「なんとかならないのか」、無力感に襲われ、叫びたいような気持ちにもなった。
見るのも辛い番組だったが、やはり現実社会であり直視しなければならないと考えた。一日も早く「無縁社会」という言葉が、この社会から消えることを願う。