司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

「代表取締役の就任・退任」問題(その3)

2006-09-27 20:46:21 | 会社法(改正商法等)
3.代表取締役の地位のみの辞任について

 旧有限会社においては、社員総会の決議により選任された代表取締役は、社員総会の承認があれば、代表取締役の地位のみを辞任することができると解されていた。しかし、「株主総会の決議により選定された代表取締役は、代表取締役の地位のみを辞任することはできない」(13頁中段)とされ、「株主総会の決議で当該代表取締役を選定した決議を撤回する方法によることになる」(13頁中段)とある。おそらくは、従前の社員総会の承認に代わるものとして捻り出した手法であると思われるが、代表権を外すために「株主総会決議の撤回」という法律構成を採るのは無理があるように思われる。

 たとえば、取締役の任期が10年の株式会社であれば、8~9年前に選定された代表取締役が代表取締役の地位のみを辞任したいということもありえるが、そのような場合に、株主総会の決議を撤回する方法によるというのは、やはり違和感があるであろう。

 したがって、従前どおり株主総会の承認があれば可能と解すればよいと考える。
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「代表取締役の就任・退任」問題(その2)

2006-09-27 20:44:35 | 会社法(改正商法等)
2.選定方式の設定等と代表取締役の退任時期の関係について

 代表取締役の選定方式を変更する決議は、「従来の代表取締役が再度選定される可能性を許容しつつ、新選定方式により選定された者を選定後の唯一の代表取締役とする趣旨であると解される。」(10頁上段ほか)とあるが、その理由は明らかにされていない。

 代表取締役の退任の事由としては、①取締役としての地位の喪失、②辞任、③解任、④定款所定の事由の発生(定款で代表取締役の任期を定めている場合等)が挙げられるが、「(選定方式を変更後)新選定方式によって別の代表取締役が選定されたときに、従来の代表取締役は退任する」(5頁上段)と構成する場合、いずれの退任事由にも該当せず、新たな事由として構成されることとなる。法律上の明文の根拠が必要であり、解釈で導くのは無理があるように思われる。
 
 私見としては、選定方式を変更する決議は、単に以後新たに代表取締役を選定するときは当該方法によるという趣旨であると解すべきであると考える。そのように解すれば、法律関係を簡明なものとすることができ、また、一般の株式会社の意思に沿うものであると思われる。「代表取締役や取締役の権限について、選定方式によって有意的な差異が認められない」(7頁上段)のであれば、そのように解することも十分可能である。

 葉玉見解によれば、たとえば、代表取締役Bが存する場合に、同人に加えて代表取締役としてAを選定するときは、代表取締役Bの選定後に選定方式の変更決議がなされていないかの確認が不可欠となる。
 ① 選定方式の変更決議がない場合は、単にAを選定すればよい。
 ② 選定方式の変更決議がある場合は、ABの両名を選定する必要がある。
②の場合において、万一Aのみを選定した時は、会社が意図しないBの退任という事態が生じ、その後にBが代表取締役として行った行為が法的瑕疵を帯びる等、法律関係が複雑なものとなり、問題が多いと考えられる。

 したがって、選定方式を変更する決議は、以後新たに代表取締役を選定するときは当該方法によるという趣旨であるという簡明な解釈を採るべきであると考える。
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「代表取締役の就任・退任」問題(その1)

2006-09-27 20:41:34 | 会社法(改正商法等)
1.就任承諾の法的性質について

 代表取締役としての就任承諾が必要な場合に、その法的性質は、「代表取締役としての委任契約の承諾ではなく、取締役の委任契約の内容となっている代表取締役への就任拒否権を行使しないことの確認としての承諾」(4頁下段)であるとされている。

 しかし、取締役の在任中に代表権が付与される可能性はあるとしても、実態としてすべての取締役が代表取締役に就任する予定で取締役に就任するわけではない。取締役が複数名存する場合の各自代表の原則自体が実態に合致しないものである。

 したがって、承諾という行為を、「拒否権を行使しないことの確認」と構成するのは実態に合わず、無理があるように思われる。各自代表の原則からどうしてもそのように解さざるを得ないのであるとすれば、今後の改正の際に各自代表制度を廃止することを検討すべきであろう。
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「代表取締役の就任・退任」問題

2006-09-27 12:00:15 | 会社法(改正商法等)
 「代表取締役の就任・退任」問題について、葉玉匡美法務省民事局付検事の論稿が旬刊商事法務2006年9月25日号に掲載されている。
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登記識別情報制度についての研究会

2006-09-27 09:33:40 | 司法書士(改正不動産登記法等)
登記識別情報制度についての研究会
http://www.moj.go.jp/KANBOU/SHIKIBETSU/index_tk.html

 議事概要も掲載されている。
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新しい法務大臣

2006-09-27 09:30:57 | いろいろ
 新しい法務大臣は、長瀬甚遠衆議院議員。
http://www.n-jinen.com/

 旧労働省の官僚出身で、厚生労働問題が専門。法務副大臣の経験者であり、法務行政にも通じているようだ。
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