司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

「賃貸住宅における契約条項(原状回復,敷引,更新料等)の論点整理」

2011-08-10 22:47:58 | 消費者問題
 本日は,NPO法人京都消費者契約ネットワークの理事会。

 その後,司法書士会館に廻り,研修会「賃貸住宅における契約条項​(原状回復,敷引,更新料等)の論点整理」を途中から聴講。講師​は,川戸周平さん(京都会)。さすがの内容です。
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医療観光事業(メディカル・ツーリズム)

2011-08-10 22:23:17 | 私の京都
朝日新聞記事
http://www.asahi.com/business/update/0810/SEB201108100040.html

 ハウステンボスが医療観光事業(メディカル・ツーリズム)に参入。

 最近のビジネスは,顧客ターゲットを高所得者層に絞るか,低所得者層に絞るか,のいずれかの感があるが,メディカル・ツーリズムは,言うまでもなく,前者である。

 京都市内にも,フォー・シーズンズを運営会社として,メディカル・ツーリズムに参入する予定の企業がある。

cf. 京都新聞記事
http://www.kyoto-np.co.jp/local/article/20110315000060

 ちょっとお高い・・・ですね。
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政府保有のJT株の売却と自己株式の取得

2011-08-10 16:50:28 | 会社法(改正商法等)
共同通信記事
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20110810000067

 政府が,保有するJT株を放出する意向であるようだが,日本たばこ産業株式会社が自己株式の取得&消却を進めれば,政府が保有する割合が相対的に上昇するので,政府が,保有する株式の一定数を漸次売却することが可能である。

 以前,政府が保有するNTT株が,同様に,「埋蔵金」として注目されていた。

cf. 平成22年11月10日付「自己株式の取得」

 記事中「売却するには,政府に50%以上の出資を義務付けたJT法の改正が必要」とあるが,ややわかりづらい内容である。

 日本たばこ産業株式会社法は,政府が保有する株式は,発行済株式の総数の3分の1を超えるものでなければならない(法第2条第3項)としているが,NTTの場合と異なる点として,別に「50%」という制限(法第2条第1項)がある。

日本たばこ産業株式会社法
 (株式)
第2条 政府は、常時、日本たばこ産業株式会社(以下「会社」という。)の成立の時に政府に無償譲渡された会社の株式の総数の二分の一以上に当たる株式を保有していなければならない。
2 前項に規定する株式については、株式の分割又は併合があつた場合は、その株式の数に分割又は併合の比率(二以上の段階にわたる分割又は併合があつた場合は、全段階の比率の積に相当する比率)を乗じて得た数をもつて、その株式の数とする。
3 政府が前二項の規定により保有する株式は、会社の発行済株式の総数の三分の一を超えるものでなければならない。
4 【略】


 法施行時の第2条の規定は,「政府は、常時、日本たばこ産業株式会社(以下「会社」という。)の発行済株式の総数の二分の一以上に当たる株式を保有していなければならない」であったが,現行の内容に改正(平成14年4月19日施行)されている。
http://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1022127/www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/siryou/zaisanb140422a.pdf

 したがって,法改正が必要であるのは,「成立の時に政府に無償譲渡された会社の株式の総数の二分の一以上に当たる株式を保有していなければならない」(法第2条第1項)の緩和である。

 成立の時に政府に無償譲渡された会社の株式の総数は,200万株であるが,2006年4月1日,株式の分割により,発行済株式の総数が200万株→1000万株となっていることから,政府は,500万株以上に当たる株式を保有していなければならない(法第2条第2項)。
http://www.jti.co.jp/investors/press_releases/2005/pdf/20060227.pdf

 現在の発行済株式の総数は,1000万株であり,政府が保有しているのは,500万1345株である。

 したがって,「売却するには,政府に50%以上の出資を義務付けたJT法の改正が必要」は,適切ではなく,「売却するには,政府に500万株以上の保有を義務付けたJT法の改正が必要」が正しい。

 とまれ,NTT株と同様に「埋蔵金」として売却するには,法第2条第1項及び第2項の改正が不可避なのである。

 ただし,政府保有の株式の処分には,その年度の予算をもって国会の議決を経る必要がある(法3条)。

日本たばこ産業株式会社法
 (政府保有の株式の処分)
第3条 政府の保有する会社の株式の処分は、その年度の予算をもつて国会の議決を経た限度数の範囲内でなければならない。
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学校法人の理事長が欠けた場合の「理事長の職務を代理する理事」に関する登記

2011-08-10 11:34:24 | 法人制度
 学校法人の理事長が欠けた場合の「理事長の職務を代理する理事」に関する登記についての私見である。


 寄附行為に理事長の職務代理に関する規定がある場合,理事長に事故があるとき(疾病による職務遂行困難等)や理事長が欠けたとき(死亡等)には,寄附行為の規定により,理事のうち理事長の職務を代理することが定められた者が理事長の行うべき職務を行うこととなる(私立学校法第37条第2項)。

私立学校法
 (役員の職務)
第37条 理事長は、学校法人を代表し、その業務を総理する。
2 理事(理事長を除く。)は、寄附行為の定めるところにより、学校法人を代表し、理事長を補佐して学校法人の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠けたときはその職務を行う。
3 【略】


 そして,この「理事長の職務を代理する理事」については,都道府県知事(私立学校法施行規則第13条第1項)又は文部科学大臣(同条第3項)に対する届出事項とされている。

私立学校法施行規則
 (登記の届出等)
第13条 私立学校法施行令(昭和25年政令第31号。以下「令」という。)第1条第2項の規定により都道府県知事に届け出なければならない事項は、理事又は監事が就任したときに係るものである場合にはその氏名及び住所並びにその年月日、理事又は監事が退任したとき並びに理事(理事長を除く。以下この項において同じ。)が理事長の職務を代理し、又は理事長の職務を行うこととなつたとき及び理事長の職務を代理する理事が当該職務の代理をやめたときに係るものである場合にはその氏名及びその年月日とする。
2~4【略】


 また,理事長が欠けた場合に「理事長の職務を代理する理事」が学校法人を代表して第三者と取引行為等を行うときは,当然のことながら,登記上代表権限が公示されていることが期待される。

cf. 「学校法人経営に関わる制度改正Q&A」by 日本公認会計士協会京滋会
https://www.jicpa-knk.ne.jp/download/image/hieiri_050223_qa.pdf
※ Q.12 ただし,私立学校法改正(平成17年4月1日施行)当時のもの。


 「理事長の職務を代理する理事」は,私立学校法第37条第2項及び寄附行為の定めに基づいて代表権を有する理事であり,学校法人の代表権を有する者の氏名,住所及び資格は,登記事項(組合等登記令第2条第2項第4号)であって,登記の後でなければ,これをもつて第三者に対抗することができない(私立学校法第28条第2項)。

私立学校法
 (登記)
第28条 学校法人は、政令の定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。


 それでは,「理事長の職務を代理する理事」を登記実務上,どのように取り扱うべきかであるが,学校法人の理事長等の登記については,次のとおりである。

① 代表権者としては,原則として理事長の氏名及び住所を登記する。ただし,寄附行為の定めにより理事長以外の理事に代表権を付与すれば,当該理事についても登記を行う。
② 登記事項としての代表権を有する者の資格は,理事長については「理事長」,理事長以外の理事についてはすべて「理事」として登記する。
③ 理事長以外の理事について登記する際には,寄附行為により定めた当該理事の「代表権の範囲」も併せて登記する。
④ 代表権を有さない理事については,登記しない。

cf. 「私立学校法の一部を改正する法律の施行に伴う法人登記事務の取扱いについて(通知)」(法務省民商第496号平成17年3月3日法務省民事局商事課長通知)


 一つの考え方としては,理事長の辞任,死亡等による退任の登記と同時に,「理事長の職務を代理する理事」の氏名,住所及び資格(「理事」である。)を登記すると共に,代表権の範囲を「理事○○は,理事長の職務を代理して,この法人を代表する」と登記することができるという取扱いをすることも可能であると考えられる。改正私立学校法施行当時の上記商事課長通知(1(3)理事の職務)もそれを許容しているように読める。

 しかしながら,システム上の問題で,登記上理事長が空席の状態で,上記のような登記をすることはできないようである。

 そうであるとすれば,理事長の辞任,死亡等による退任の登記を留保した状態で,「理事長の職務を代理する理事」に関する登記を行わざるを得ないことになる,登記申請は,「理事長の職務を代理する理事」が代表権限に基づいて行えばよい。

 この場合,退任した理事長の退任の登記は,後任の理事長の就任の登記と同時に行うことになる。

 本来,理事長が欠けた場合,後任の理事長を速やかに選任すべきであるが,何らかの事情により選任することができない場合もあり,「理事長の職務を代理する理事」に関する登記が必要なこともあり得ると考えられる。

cf. 東日本大震災の発生に伴う私立学校法に定めのある規定の留意点等について(平成23年4月13日)
http://www.shidairen.or.jp/blog/files/doc/kitei-ryuui.pdf

 繰り返すが,「理事長の職務を代理する理事」は,代表権を有する理事であり,登記しなければならない事項は,登記の後でなければ,これをもつて第三者に対抗することができない(私立学校法第28条第2項)のであるから,「理事長の職務を代理する理事」を登記できない状態又は「退任した理事長の退任の登記を留保する」状態は,好ましくない。

 商業・法人登記制度は,商号,会社等に係る信用の維持を図り,かつ,取引の安全と円滑に資することを目的とする(商業登記法第1条)のであるから,速やかに,システム上の問題がクリアされるべきである。

 それまでの間は・・・登記留保を採らざるを得ないであろう。
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「褒めあげ商法」業者に業務停止命令

2011-08-10 10:15:56 | 消費者問題
共同通信記事
http://www.47news.jp/CN/201108/CN2011080901001157.html

 いわゆる「褒めあげ商法」の電話勧誘業者に対し,消費者庁が業務停止命令を発した。

cf. 消費者庁のプレスリリース
http://www.caa.go.jp/trade/pdf/110809kouhyou.pdf
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