「要は,条項ごとに効力発生時期が異なる場合の定款変更がパッケージとして議案とされるときは,条項ごとの効力発生時期を明瞭に区分する形で,附則を定めるべきということである。
しかしながら,会社以外の各種法人の定款変更の実務においては,上記のとおり,認可を要するものと要しないものとがパッケージ議案となる場合においても,無思慮に,「この定款は,平成 年 月 日から施行する」(※日付は,ブランク。)又は「この定款は,認可の日から施行する」といった附則の定め方がされる例が散見される。
このような定め方をすると,議案の全体として(本来認可等を要しない軽微な事項についても),効力の発生時期が「認可の日(認可書到達の日)」ということになってしまう。」
cf. 平成24年6月12日付け「定款変更における附則の定め方」
例えば,医療法人の主たる事務所の移転に関して,定款変更等が必要となる場合がある。定款の変更は,都道府県知事の認可を受けなければ,その効力を生じない(医療法第54条の9第3項)が,「事務所の所在地」(医療法第44条第2項第4号)及び「公告の方法」(医療法第44条第2項第12号)に関する定款の定めの変更については,この限りでない(医療法第54条の9第3項かっこ書,医療法施行規則第33条の26)。
そこで,主たる事務所に関する定款の変更の効力発生時期について,「認可の日から施行する」と定めてしまった場合は,如何?
この点に関して,上記平成24年6月12日付け記事のとおり,特段の問題意識はなかったのであるが,下記の見解があり,腑に落ちるところである。
「法律及びそれに基づく厚生省令(※当時)によって,定款又は寄附行為の変更の手続について明確に定められている場合においては(この場合には明確に認可不要と定められている。),定款又は寄附行為によりその要件を軽減できないことはいうまでもないが,これを加重することも特段の許容規定がない限り問題があり,少なくともこの場合事務所移転のための定款変更について都道府県知事の認可はその効力発生要件ではないと解され,医療法人の内部的手続,すなわち社員総会の決議又は理事,評議員の同意等があった時に,定款又は寄附行為の変更の効力が生ずるものとして取り扱うのが相当である」(「法人書式精義(増補改訂版)(上)」(テイハン)1229頁)
要は,医療法及びこれに基づく厚生労働省令によって,「認可を要しない」事項とされているものについて,医療法人が勝手に(行政指導によって?)認可をしてくれ,といってきたからといって,認可すべき事項とはならないという考え方である。
なるほどね。
「認可を要しない事項」の定款変更の効力発生時期について,「認可を要する事項」の定款変更の認可を停止条件とする,と善解することはできそうであるし,従来の実務は,そういう理解であったのかもしれないが。ただし,この場合も,具体的な移転日等について,認可の日以降に,理事会決議等で決定しなければならないであろう。
従来看過されてきた点であるが,やはり附則の定め方については,再検討すべきであるということであろう。
しかしながら,会社以外の各種法人の定款変更の実務においては,上記のとおり,認可を要するものと要しないものとがパッケージ議案となる場合においても,無思慮に,「この定款は,平成 年 月 日から施行する」(※日付は,ブランク。)又は「この定款は,認可の日から施行する」といった附則の定め方がされる例が散見される。
このような定め方をすると,議案の全体として(本来認可等を要しない軽微な事項についても),効力の発生時期が「認可の日(認可書到達の日)」ということになってしまう。」
cf. 平成24年6月12日付け「定款変更における附則の定め方」
例えば,医療法人の主たる事務所の移転に関して,定款変更等が必要となる場合がある。定款の変更は,都道府県知事の認可を受けなければ,その効力を生じない(医療法第54条の9第3項)が,「事務所の所在地」(医療法第44条第2項第4号)及び「公告の方法」(医療法第44条第2項第12号)に関する定款の定めの変更については,この限りでない(医療法第54条の9第3項かっこ書,医療法施行規則第33条の26)。
そこで,主たる事務所に関する定款の変更の効力発生時期について,「認可の日から施行する」と定めてしまった場合は,如何?
この点に関して,上記平成24年6月12日付け記事のとおり,特段の問題意識はなかったのであるが,下記の見解があり,腑に落ちるところである。
「法律及びそれに基づく厚生省令(※当時)によって,定款又は寄附行為の変更の手続について明確に定められている場合においては(この場合には明確に認可不要と定められている。),定款又は寄附行為によりその要件を軽減できないことはいうまでもないが,これを加重することも特段の許容規定がない限り問題があり,少なくともこの場合事務所移転のための定款変更について都道府県知事の認可はその効力発生要件ではないと解され,医療法人の内部的手続,すなわち社員総会の決議又は理事,評議員の同意等があった時に,定款又は寄附行為の変更の効力が生ずるものとして取り扱うのが相当である」(「法人書式精義(増補改訂版)(上)」(テイハン)1229頁)
要は,医療法及びこれに基づく厚生労働省令によって,「認可を要しない」事項とされているものについて,医療法人が勝手に(行政指導によって?)認可をしてくれ,といってきたからといって,認可すべき事項とはならないという考え方である。
なるほどね。
「認可を要しない事項」の定款変更の効力発生時期について,「認可を要する事項」の定款変更の認可を停止条件とする,と善解することはできそうであるし,従来の実務は,そういう理解であったのかもしれないが。ただし,この場合も,具体的な移転日等について,認可の日以降に,理事会決議等で決定しなければならないであろう。
従来看過されてきた点であるが,やはり附則の定め方については,再検討すべきであるということであろう。