「金融・商事判例」平成29年3月1日号(経済法令研究会)に,弥永真生「取締役会における議決権代理行使は許されないのか」がある。
「たしかに,取締役等がその資質や能力に着目して選任されるものであることから,取締役等が勝手に他者に代理行使させるのは許容されないといえそうである。しかし,特定の取締役会や理事会における議決権の代理行使を株主や選任権者が許容してはならないという帰結が直ちに導かれるわけではない。例えば,内田貴教授は,かつて,定款に代理行使を認める規定を設けることは許されてよいのではないかという見解を示されたことがある(法学協会雑誌108巻9号1537頁(1991年))。公益法人においては公益の観点から代理行使を許すべきではないとしても,株主の利益を保護するために取締役会という制度が設けられているのだとすれば,株主が定款の定め等により代理行使を許容することを禁止するまでのことはないという見方にも一理ある」(上掲弥永)
確かに,一理はあるが,疑問符である。
cf. 平成29年3月10日付け「定款に取締役の代理人指定規定を設けることの可否」
上掲弥永論稿中に引用されている最高裁判例は,次のとおりである。
cf. 最高裁平成2年11月26日第2小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52470
【判示事項】
区分所有法47条2項の管理組合法人の理事会への理事の代理出席を認める規約の定めが違法でないとされた事例
【裁判要旨】
区分所有法47条2項の管理組合法人の規約中、理事に事故があり、理事会に出席できないときは、その配偶者又は一親等の親族に限り、その理事を代理して理事会に出席させることができる旨を定めた条項は、違法でない。
「法人の意思決定のための内部的会議体における出席及び議決権の行使が代理に親しむかどうかについては、当該法人において当該会議体が設置された趣旨、当該会議体に委任された事務の内容に照らして、その代理が法人の理事に対する委任の本旨に背馳するものでないかどうかによって決すべきものである」
「たしかに,取締役等がその資質や能力に着目して選任されるものであることから,取締役等が勝手に他者に代理行使させるのは許容されないといえそうである。しかし,特定の取締役会や理事会における議決権の代理行使を株主や選任権者が許容してはならないという帰結が直ちに導かれるわけではない。例えば,内田貴教授は,かつて,定款に代理行使を認める規定を設けることは許されてよいのではないかという見解を示されたことがある(法学協会雑誌108巻9号1537頁(1991年))。公益法人においては公益の観点から代理行使を許すべきではないとしても,株主の利益を保護するために取締役会という制度が設けられているのだとすれば,株主が定款の定め等により代理行使を許容することを禁止するまでのことはないという見方にも一理ある」(上掲弥永)
確かに,一理はあるが,疑問符である。
cf. 平成29年3月10日付け「定款に取締役の代理人指定規定を設けることの可否」
上掲弥永論稿中に引用されている最高裁判例は,次のとおりである。
cf. 最高裁平成2年11月26日第2小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52470
【判示事項】
区分所有法47条2項の管理組合法人の理事会への理事の代理出席を認める規約の定めが違法でないとされた事例
【裁判要旨】
区分所有法47条2項の管理組合法人の規約中、理事に事故があり、理事会に出席できないときは、その配偶者又は一親等の親族に限り、その理事を代理して理事会に出席させることができる旨を定めた条項は、違法でない。
「法人の意思決定のための内部的会議体における出席及び議決権の行使が代理に親しむかどうかについては、当該法人において当該会議体が設置された趣旨、当該会議体に委任された事務の内容に照らして、その代理が法人の理事に対する委任の本旨に背馳するものでないかどうかによって決すべきものである」