司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

印鑑登録をしていない外国会社等が発起人等として定款に契印を行う方法

2017-03-10 17:55:27 | 会社法(改正商法等)
印鑑登録をしていない外国会社等が発起人等として定款に契印を行う方法について(お知らせ)by 法務省
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00047.html

「会社法(平成17年法律第86号)第933条の規定に基づく外国会社の登記をしていない外国会社又は印鑑を押印することのできない外国人が,数葉にわたる定款に会社法第30条第1項及びその準用規定並びに一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)第13条及び第155条の規定により公証人の認証を受けなければならないとされている定款に発起人又は社員として契印を行う方法については,各葉ごと又は袋つづりのつづり目に署名する方法(いわゆる割サイン)によるほか,各葉の余白部分に署名し,又はイニシャルを自書する方法によっても差し支えない」

cf. 平成29年1月25日付け「商業登記の申請書に添付される外国語で作成された書面の翻訳について」


 「商業・法人登記関係の主な通達等」のサイトに載せないと,誰も気付きませんよ。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00098.html

 「新着・更新情報」でもお知らせした方がよいと思います。
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原始定款の任意的記載事項中,会社法の趣旨に反する規定が存する場合

2017-03-10 16:46:02 | 会社法(改正商法等)
 旬刊商事法務昭和32年1月25日号に,実務相談「定款に取締役の代理人指定規定を設けることの可否」(阿川清道法務省民事局民事第四課長)がある。

 同解説の末尾において,原始定款の任意的記載事項中商法の趣旨に反する規定が存する場合,定款全部の効力に影響しないけれども,公証人はこれに課せられた予防的法務行政の職責上,その定款の認証を拒否すべきであるとしつつ,看過されて,設立登記申請の受否を決する段階においては,登記官吏はこれを「商法に適せざる登記の申請」であるとして却下するのは,行き過ぎである旨が述べられている。
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定款に取締役の代理人指定規定を設けることの可否

2017-03-10 16:45:38 | 会社法(改正商法等)
 取締役会決議における議決権の代理行使について,定款にこれを認める規定を設けることは許されてよいのではないかという主張が現れているそうだ。

 例えば,内田貴教授(法学協会雑誌108巻9号1537頁)や弥永真生教授(金判1510号1頁)であるそうだ(未確認)。

 そもそもそういうニーズがあるのであろうか?

 TV会議等の活用により現実に会議の場にいなくても,出席することができるし,書面決議の活用により,会議の開催回数等の負担も軽減することもできる。

 また,最近の会社法研究会でも議論された取締役会への付議事項を絞ったり,取締役会から取締役に委任可能な事項を委任するようにすればいいわけである。

 代理出席を認めなければ,定足数を満たすことが難しいというのであれば,そもそもそのような人材を取締役に選任すること自体が間違っているというべきであろう。

 そもそも取締役とは何なのかを考えれば,代理出席が背理であることは自明のはずである。公益法人制度改革における法改正の際にも,理事会への代理出席は,明確に否定されている。

 この論点に関しては,旬刊商事法務昭和32年1月25日号の「実務相談」に阿川清道法務省民事局民事第四課長の解説があり,「商法の趣旨に反する」として,明確に否定されている。

 同解説によれば,昭和25年商法改正当時の大隅教授等の逐条解説中に「株主全員の同意をもって定めた定款による場合はとにかく」と許容する学説もあったそうであるが,阿川解説は,この点についても「無意味である」として否定している。

 同解説は,会議体における議決権の性質上代理は許されないとして,株主総会における議決権の代理行使も,法律が例外的に認めたものという立場であるようだ。故松田二郎元最高裁判事は,否定説(「株式会社の基礎理論」,1942年)だったそうで,阿川解説は,その見解を引用しつつ否定したものである。松田見解は,昭和25年改正により取締役会が法定される前のものであるが。

 とまれ,内田論文と弥永論文を探してみなければ。
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