法務大臣閣議後記者会見の概要(令和元年8月30日(金))
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_01154.html
〇 同性婚に関する質疑について
【記者】
同性婚について3点お伺いします。1点目,国として同性婚に慎重な理由を改めてお伺いしたいと思います。
2点目,世界27か国で同性婚が認められている中,来年オリンピックも控え,世界から注目されている日本で同性婚が認められていないという現状をどのようにお考えでしょうか。
3点目,現在,全国で同性婚を求めて訴訟が起こっていると思いますが,その中で,国側で「同性の結婚は憲法が想定していない。」という反論をされていると思います。大臣のお考えを教えてください。
【大臣】
まず第1点目として,同性婚を法律婚として認めるのに慎重だという理由ですが,家族法における根本をなす法律上の婚姻関係というのは,家族法で要件が定められ,その始期や終期,あるいはそれに伴う法的効果というものが民法等で定められているところです。例えば,法律上の夫婦については,相互に同居・協力・扶助の義務があり,婚姻関係の解消についても,仮に合意が得られなかった場合には,裁判によってこれを解消するために,法定の離婚原因を満たしている必要があります。
また,例えば,法律上の夫婦の間に生まれた子については,原則として嫡出推定が及んだり,あるいは死別による婚姻関係の解消の場合には生存配偶者に相続権が,あるいは離婚による場合には財産分与の請求権が認められることになります。このように法律上の婚姻関係については,様々な法律上の規定があり,また,これらの権利義務や法律効果については,多数の判例が蓄積されているところです。そして,同性婚をこのような法律婚として認めるかどうかについては,このような要件であるとか,効果,あるいはそれに対する解釈などについて慎重に検討しなければならないのだろうと考えています。それを検討するに当たって,判例の趣旨をどのような範囲で及ぼすべきか,あるいは様々な権利義務や法律効果をどのような範囲で認めるべきかということについては,我が国の家族についての在り方の根幹に関わるところですので,私としては,極めて慎重な検討を要すると考えています。
また,次に,世界27か国で同性婚が認められているという御指摘ですが,確かに諸外国において,同性婚を認める国が一定数存在するということは承知しているところです。もとより来年の東京オリンピック・パラリンピックの実施に向け,国際社会の実情や,LGBTの方々に対する理解を益々深める必要があると考えますが,我が国の民法上等による法律婚としての同性婚を認めるかどうかについては先ほども申し上げたとおり,我が国の法体系に位置づけるかということについては慎重に検討しなければならないと考えています。
続いて訴訟についてですが,同性婚に関する立法を怠っているのは憲法に違反するとして,国に対する国家賠償請求訴訟が提起されていることは承知しているところです。
この中身については,現在係属中の訴訟に関する事項であり,それについて私から具体的なコメントをすることは現段階では差し控えさせていただきたいと思います。