司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

土地所有権の放棄は制度設計に工夫を

2019-09-09 22:14:46 | 空き家問題&所有者不明土地問題
日経記事(有料会員限定)
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO49582960Z00C19A9SHF000?type=my#AAAUAgAAMA

「所有権には義務が伴う」ことについての国民の理解が乏しいことが問題である。

 そろそろ,国策として,不動産の「整理回収機構」的のものを創設して,放棄を受け容れて行かざるを得ないであろう。

 管理コストがかかるのであれば,固定資産税の税率の軽減の廃止等をすればよい。
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法務大臣閣議後記者会見の概要「同性婚に関する質疑について」

2019-09-09 21:39:33 | 民法改正
法務大臣閣議後記者会見の概要(令和元年8月30日(金))
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_01154.html

〇 同性婚に関する質疑について
【記者】
 同性婚について3点お伺いします。1点目,国として同性婚に慎重な理由を改めてお伺いしたいと思います。
 2点目,世界27か国で同性婚が認められている中,来年オリンピックも控え,世界から注目されている日本で同性婚が認められていないという現状をどのようにお考えでしょうか。
 3点目,現在,全国で同性婚を求めて訴訟が起こっていると思いますが,その中で,国側で「同性の結婚は憲法が想定していない。」という反論をされていると思います。大臣のお考えを教えてください。

【大臣】
 まず第1点目として,同性婚を法律婚として認めるのに慎重だという理由ですが,家族法における根本をなす法律上の婚姻関係というのは,家族法で要件が定められ,その始期や終期,あるいはそれに伴う法的効果というものが民法等で定められているところです。例えば,法律上の夫婦については,相互に同居・協力・扶助の義務があり,婚姻関係の解消についても,仮に合意が得られなかった場合には,裁判によってこれを解消するために,法定の離婚原因を満たしている必要があります。
 また,例えば,法律上の夫婦の間に生まれた子については,原則として嫡出推定が及んだり,あるいは死別による婚姻関係の解消の場合には生存配偶者に相続権が,あるいは離婚による場合には財産分与の請求権が認められることになります。このように法律上の婚姻関係については,様々な法律上の規定があり,また,これらの権利義務や法律効果については,多数の判例が蓄積されているところです。そして,同性婚をこのような法律婚として認めるかどうかについては,このような要件であるとか,効果,あるいはそれに対する解釈などについて慎重に検討しなければならないのだろうと考えています。それを検討するに当たって,判例の趣旨をどのような範囲で及ぼすべきか,あるいは様々な権利義務や法律効果をどのような範囲で認めるべきかということについては,我が国の家族についての在り方の根幹に関わるところですので,私としては,極めて慎重な検討を要すると考えています。
 また,次に,世界27か国で同性婚が認められているという御指摘ですが,確かに諸外国において,同性婚を認める国が一定数存在するということは承知しているところです。もとより来年の東京オリンピック・パラリンピックの実施に向け,国際社会の実情や,LGBTの方々に対する理解を益々深める必要があると考えますが,我が国の民法上等による法律婚としての同性婚を認めるかどうかについては先ほども申し上げたとおり,我が国の法体系に位置づけるかということについては慎重に検討しなければならないと考えています。
 続いて訴訟についてですが,同性婚に関する立法を怠っているのは憲法に違反するとして,国に対する国家賠償請求訴訟が提起されていることは承知しているところです。
 この中身については,現在係属中の訴訟に関する事項であり,それについて私から具体的なコメントをすることは現段階では差し控えさせていただきたいと思います。
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民事裁判手続をIT化するe裁判

2019-09-09 21:34:30 | 民事訴訟等
京都新聞記事
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190908-00000005-kyt-soci&fbclid=IwAR3kq03Jj0o0GEgyl097XO0NhYxbi3FvR1eKHkAVuIGV3i9jcREyTFlDrw0

 9月7日に開催された日弁連の弁護士業務改革シンポジウムの分科会について,紹介されている。
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商業登記の印鑑届出の義務付けの廃止~来年の通常国会に提出へ

2019-09-09 21:29:02 | 会社法(改正商法等)
時事通信社
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019090900833&g=soc

「法務省は、会社設立の手続きを迅速化するため、完全オンライン化を図る。具体的には印鑑の届け出を不要とし、こうした内容を盛り込んだ商業登記法改正案を来年の通常国会に提出、再来年2月からの実施を目指す。」(上掲記事)

 来年の通常国会・・・ですか。
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会社の継続と代表者の選定を証する書面の押印

2019-09-09 20:26:18 | 会社法(改正商法等)
 清算株式会社が会社継続をすることを決議し,同時に代表取締役を選定する場合に関しての取扱いであるが・・。

 取締役会設置会社を選択する場合には,会社継続が効力を生じた後,取締役会決議によって,代表取締役を選定することになるので,商業登記規則第61条第6項第3号の適用があり,取締役会議事録には,出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑につき,市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。

 この場合,文理解釈としては,同項ただし書の適用はないが,いわゆる善解理論によれば,当該印鑑と従前の代表清算人が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでないと取り扱って差し支えないと考えるべきであろう。

 取締役会設置会社でない株式会社を選択する場合に,取締役の互選によって代表取締役を定めたときも同様である。

 ところで,取締役会設置会社でない株式会社を選択する場合に,株主総会又は種類株主総会の決議によって代表取締役を定めたときは,如何。

 この場合・・・会社法施行の際の手当漏れである。商業登記規則の改正もなく,通達にも何の言及もない。

 商業登記規則第61条第6項第1号を素直に読めば,この場合に直接適用がないことは明らかである。

 代表取締役を選定したことを証する書面の真正担保の要請から同号の類推適用の余地はあろうと思われるが,そうであれば,もちろん同項ただし書の類推適用も認め,代表清算人の登記所届出印が押印されていればこの限りでないとされるべきであろう。

 そもそも,昭和40年代に,商業登記規則第61条第6項の規定が設けられた理由は,不実の登記の防止のためであったからであり,代表清算人の登記所届出印の押印があれば,真正は担保されるからである。

 しかしながら,一部の登記所においては,代表取締役の選定を証する株主総会議事録に代表清算人の登記所届出印が押印されているにもかかわらず,補正(個人の実印を押印して印鑑証明書を添付せよ)という不条理な取扱いをしているようである。

 商業登記制度の原理原則を理解せず,規則の字面に拘泥しているようで,何とも・・・。

 また,同号には「議長」とあることから,議長が存しないと,議長の押印がないので,代表取締役を選定したことを証する書面としては不適格とされている云々。

 ??????

 まったくの「新説」発見である。


 商業登記の実務においては,不実の登記を防止するために,数々の真正担保の策が講じられているのであるが,本件は,甚だ不可解至極である。

 法令の不備で,添付書面に関する手当が漏れているのであれば,原則として求めることはしないのが登記実務であるし,仮に求める場合であっても,ユーザー・フレンドリーに,過度な負担は求めないのが登記実務であったはずである。

 商業登記規則第61条第6項の立案の趣旨からすれば,会社継続の場合においても,代表取締役の選定を証する書面に代表清算人の届出印の押印があれば,同項ただし書の類推適用を認めるべきであろう。

 登記実務に関して,全ての事項について網羅的に,民事局長通達なり,商事課長通知なりが発出されているわけではなく,担当者自ら常識的な判断をすることが求められる場合も少なくないのだが,いやはや何とも・・・。


 商業登記事務の集中化による大量かつ迅速処理の要請もあり,思考停止に陥っているのかもしれないが,合理的で,社会通念上相当であると認められる取扱いが望まれる。
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