司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

「商業登記ハンドブック(第4版)」

2021-08-12 15:05:47 | 会社法(改正商法等)
松井信憲「商業登記ハンドブック(第4版)」(商事法務)
https://www.shojihomu.co.jp/publication?publicationId=15244547

 取り上げるのを失念していましたが,実務家必携の書の改訂版です。お薦め◎
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官報公告の誤りと効力発生日の変更の手続

2021-08-12 10:00:32 | 会社法(改正商法等)
官報(令和3年8月12日付け)
https://kanpou.npb.go.jp/20210812/20210812h00552/20210812h005520032f.html

 本日の官報に「訂正公告」が2件掲載されている。

 うち1件は,資本準備金の額を減少させようとして,官報公告をしたところ,減少額に誤りがあったということである。

cf. ニュースリリース
https://pdf.irpocket.com/C3843/GbYe/ccPw/Z0dI.pdf

 どうやら,「31億円のうち26億円を減少する」と記載すべきところ,「31億円減少する」と記載してしまった模様。

cf. 官報(令和3年8月3日付け)
https://kanpou.npb.go.jp/20210803/20210803h00546/20210803h005460031f.html

株主総会招集通知
http://xml.irpocket.com/C3843/2021_fbagm.pdf

 痛いミスである。このような場合,訂正公告が掲載された日に正しい公告がされたものとして,債権者保護手続の期間計算を行うものとされている。

cf. 土井万二・鈴木浩巳編「最新 会社公告の手続と文例」(新日本法規)102頁
※ 私も,共著に加わっています。


 ところで,上記ニュースリリースにおいては,効力発生日を変更した旨の記載がある。

 資本金の額や資本準備金の額の減少の効力は,株主総会の決議によって定めた効力発生日に生ずる。
 債権者保護手続が遅延し,効力発生日までに手続が終了しないことが確実な場合には,株式会社は,いつでも効力発生日を変更することができる(会社法第449条第7項)。この決定については,決定機関は法定されていないが,業務の決定に該当するので,取締役会の決議(取締役会設置会社でない株式会社においては,取締役の過半数の決定)で行うべきものと解されている。
 なお,資本金の額等の減少に関する効力発生日の変更については,公告義務は課せられていない(会社法第790条第2項参照)。

cf. 内藤卓・尾方宏行「商業登記全書第4巻 新株予約権,計算」(中央経済社)248頁
※ ただいま在庫無しです。

 というわけで,効力発生日の変更は,機動的に行うことができるのであるが,上記株主総会の招集通知の議案においては,「9月6日(予定)」と記載され,そのまま決議がされているらしい点が気になるところ。

 効力発生日については,株主総会の決議によって,確定日を定める必要があり,その決定を取締役会の決議に委任することはできない。

 上記ニュースリリースにおいて,変更後の効力発生日についても「効力発生日(予定)」とある点が気になるところである。
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