官報(令和3年8月12日付け)
https://kanpou.npb.go.jp/20210812/20210812h00552/20210812h005520032f.html
本日の官報に「訂正公告」が2件掲載されている。
うち1件は,資本準備金の額を減少させようとして,官報公告をしたところ,減少額に誤りがあったということである。
cf. ニュースリリース
https://pdf.irpocket.com/C3843/GbYe/ccPw/Z0dI.pdf
どうやら,「31億円のうち26億円を減少する」と記載すべきところ,「31億円減少する」と記載してしまった模様。
cf. 官報(令和3年8月3日付け)
https://kanpou.npb.go.jp/20210803/20210803h00546/20210803h005460031f.html
株主総会招集通知
http://xml.irpocket.com/C3843/2021_fbagm.pdf
痛いミスである。このような場合,訂正公告が掲載された日に正しい公告がされたものとして,債権者保護手続の期間計算を行うものとされている。
cf. 土井万二・鈴木浩巳編「最新 会社公告の手続と文例」(新日本法規)102頁
※ 私も,共著に加わっています。
ところで,上記ニュースリリースにおいては,効力発生日を変更した旨の記載がある。
資本金の額や資本準備金の額の減少の効力は,株主総会の決議によって定めた効力発生日に生ずる。
債権者保護手続が遅延し,効力発生日までに手続が終了しないことが確実な場合には,株式会社は,いつでも効力発生日を変更することができる(会社法第449条第7項)。この決定については,決定機関は法定されていないが,業務の決定に該当するので,取締役会の決議(取締役会設置会社でない株式会社においては,取締役の過半数の決定)で行うべきものと解されている。
なお,資本金の額等の減少に関する効力発生日の変更については,公告義務は課せられていない(会社法第790条第2項参照)。
cf. 内藤卓・尾方宏行「商業登記全書第4巻 新株予約権,計算」(中央経済社)248頁
※ ただいま在庫無しです。
というわけで,効力発生日の変更は,機動的に行うことができるのであるが,上記株主総会の招集通知の議案においては,「9月6日(予定)」と記載され,そのまま決議がされているらしい点が気になるところ。
効力発生日については,株主総会の決議によって,確定日を定める必要があり,その決定を取締役会の決議に委任することはできない。
上記ニュースリリースにおいて,変更後の効力発生日についても「効力発生日(予定)」とある点が気になるところである。