司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

官報による決算公告の実施会社「わずか1.5%」

2022-03-10 20:32:49 | 会社法(改正商法等)
東京商工リサーチ
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220309_01.html

「決算公告が義務付けられている「株式会社」では、約8割の企業が決算公告を官報と記載している。だが、2021年に官報に決算公告した株式会社は4万154社で、全株式会社のわずか1.5%にとどまることがわかった。」(上掲記事)

 え~! 「1.5%」もあるの? という感。

 とまれ,昨年も,減資が大流行。同時に決算公告をした事例も多いと思われる。それがなければ・・・。継続的な統計が望まれる。


「「電子公告」は商法等の改正で2017年から始まり、自社ホームページなどでの公告で利便性は高いが、まだ2.4%にとどまっている。」(上掲記事)

 電子公告は,平成16年改正商法により,平成17年2月1日からスタートしたもの。「2017年から始まり」は,誤りである。
コメント

タワマン節税訴訟,最高裁で弁論

2022-03-10 13:09:48 | 税務関係
日経記事(有料会員限定)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC272HF0X20C22A1000000/

 タワマン節税訴訟について最高裁に上告されていたが,弁論が開かれるようで,注目されている。

「本件は,上告人らが,相続財産の価額を財産評価基本通達の定める方法によって評価した額(通達評価額)により相続税の申告をしたところ,税務署長から,相続財産のうち不動産の一部の価額は上記通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められるから別途実施した鑑定による評価額(鑑定評価額)をもって評価すべきであるとして,それぞれ更正処分等を受けたため,被上告人を相手に,その取消しを求める事案である。」

cf. 事案の概要「相続税更正処分等取消請求事件について」by 最高裁
https://www.courts.go.jp/saikosai/vc-files/saikosai/2022/jiangaiyou_02_283.pdf
コメント

株式移転による設立の登記と実質的支配者リストの活用

2022-03-10 11:38:54 | 会社法(改正商法等)
 株式移転による設立の登記においては,一般の設立の登記と同一の事項が登記事項となる。株式移転完全親会社の登記記録には,株式移転があった旨や株式移転完全子会社の商号及び本店の記載は登場しない。

 また,株式移転完全親会社の定款には,公証人の認証は要しない(平成12年1月5日法務省民四第9号商事課長通知)。したがって,一般の株式会社の設立手続のように,公証人が発行する定款認証時の申告受理及び認証証明書も存在し得ない。

 そのため,株式会社の設立の登記後,金融機関で口座を開設しようとする際に,「???」の反応をされるケースが頻発しているらしい。

 さもありなんである。

 このような場合に,設立の登記後,すぐに実質的支配者リストの保管等の申出をして,同写しの交付を受け,金融機関等に提出する,というのは,便宜な方法である。実務のスタンダードにすべきである。

 それはそれとして,株式移転による設立の登記の登記事項として,株式移転があった旨や株式移転完全子会社の商号及び本店を登記事項とすることが望ましいのではないか。
コメント