司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

清算株式会社における募集株式の発行等

2013-01-10 01:13:49 | 会社法(改正商法等)
 清算株式会社も,募集株式の発行等をすることができる。この点については,異論がないところである。

 しかし,この場合の「計算」については,まったく議論の俎上に挙がっていない。


 さて,清算株式会社については,会社法第509条第1項第2号の規定により,会社法第445条の規定は,適用されない。

 この点をどう解釈するかであるが・・・。

 第一感としては,いわゆる「2分の1以上は資本金,その余は資本準備金」という規律が働かないだけで,「資本金」「資本準備金」「その他資本剰余金」にどのように振り分けるかは自由,と考えるべきだと思うのだが。

 この点に関して,亀崎絹子「外国会社の日本における営業所・子会社たる株式会社の解散をめぐる実務上の留意点」(市民と法2012年8月号)によると,「資本金の額は増加しない」として取り扱われているようだ。

 確かに,清算株式会社は,剰余金の配当ができないので,純資産の部を資本金等で区分する必要がないし,また,清算株式会社の計算については,会社計算規則ではなく,会社法施行規則で規律されている。清算株式会社の貸借対照表の純資産の部は,項目で区分しない,ということになる。そうなのか~。

 しかし,そうなると,解散の登記の時には,本来,「資本金の額」も職権抹消すべきということになるであろう。現今は,商業登記法にそういう規定がないけれど。手当て漏れ?

 また,清算株式会社が会社継続をする場合には,純資産の部はどう区分する? という疑問も生ずる。

 さらに,巨額の登録免許税を要する場合に,解散→募集株式の発行→会社継続という流れを採れば,多額の節税ができてしまう。まあ,そんな馬鹿なことをする会社もないであろうが。
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子どもの人権SOSミニレター

2013-01-09 09:47:41 | いろいろ
産経新聞記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130106-00000061-san-soci

 法務局がやっています。相談件数も大幅に増加傾向。


cf. 子どもの人権SOSミニレター by 法務省
http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken03_00013.html
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京都市伝統的な木造建築物の保存及び活用に関する条例

2013-01-09 00:19:29 | 私の京都
京都市伝統的な木造建築物の保存及び活用に関する条例
http://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000118957.html

「景観重要建造物などの,景観的,文化的に特に重要なものとして位置付けられた木造の建築物については,建築基準法第3条第1項第3号の規定を活用することにより建築基準法の適用を除外し,その代わりにこれら伝統的な木造の建築物に適した安全性等を確保するための規定を定める」条例である。

 平成24年4月1日から施行されている。
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空き家の適正管理に関する条例

2013-01-08 16:13:28 | 空き家問題&所有者不明土地問題
京都新聞記事
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20130108000022

 滋賀県野洲市で,「空き家の適正管理に関する条例」が成立したとのこと。

 京都市でも,「空き家対策検討委員会」が設置され,検討が進められているようだ。
http://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/soshiki/9-1-2-0-0_13.html

cf. 「空き家に関する全国的な動向」by 京都市
http://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/cmsfiles/contents/0000129/129012/1-shiryou4.pdf
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「DO YOU KYOTO?」を知ってますか?

2013-01-08 15:57:57 | 私の京都
京都新聞記事
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20130107000009

 京都市民も,7割が理解していないんですと。
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不動産の表示に関する登記の申請義務

2013-01-08 14:34:04 | 不動産登記法その他
 官公庁が所有している建物等については,不動産の表示に関する登記の申請義務が免除されている(不動産登記法附則第9条前段)。

 「当分の間」が50年以上も続いているのは,なぜでしょうね?

 また,民間の所有の建物については,市区町村役場は,固定資産税の課税のための調査の過程で,未登記建物を発見し,不動産登記法第47条第1項違反を現認しているのであるから,同法第164条により過料が科せられるように,当局に通報すべきではないだろうか。法務省主導での仕組み作りが期待される。

 そもそも,地方税法第422条の3の規定による「課税価格の通知」がされているのであるから,登記所の職員が未登記の建物を拾い上げて,表示に関する登記の申請を促すようにすべきとも言えるであろう。現今は,通知も電子化されているのであるから,未登記の建物の探知は,容易であるはずである。

 不動産登記法第164条の規定が,抜かずの宝刀のままでよいはずがないであろう。



不動産登記法(平成16年6月18日法律第123号)
 (建物の表題登記の申請)
第47条 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。
2 【略】

附則
第9条 不動産登記法の一部を改正する等の法律(昭和35年法律第14号)附則第5条第1項に規定する土地又は建物についての表示に関する登記の申請義務については、なお従前の例による。この場合において、次の表の上欄に掲げる同項の字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
≪表は省略≫


不動産登記法の一部を改正する等の法律(昭和35年法律第14号)
附則
 (不動産の表示に関する登記の申請義務についての経過措置)
第5条 第一条の規定による改正後の不動産登記法第八十条第一項及び第三項、第八十一条第一項及び第三項、第八十一条ノ八、第九十三条第一項及び第三項、第九十三条ノ二第一項及び第三項並びに第九十三条ノ六の規定は、地方税法第三百四十八条の規定により固定資産税を課することができない土地及び建物並びに同法第三百四十三条第五項に規定する土地については、指定期日後も当分の間は適用しない。
2 第一条の規定による改正後の不動産登記法第八十条第一項及び第三項、第八十一条第一項及び第三項、第八十一条ノ八、第九十三条第一項及び第三項、第九十三条ノ二第一項及び第三項並びに第九十三条ノ六の規定は、指定期日以前に生じた事項についても適用する。ただし、これらの規定に定める期間については、指定期日の翌日から起算する。


地方税法
 (固定資産税の非課税の範囲)
第348条 市町村は、国並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合、財産区、地方開発事業団及び合併特例区に対しては、固定資産税を課することができない。
2 固定資産税は、次に掲げる固定資産に対しては課することができない。ただし、固定資産を有料で借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合においては、当該固定資産の所有者に課することができる。
 一 国並びに都道府県、市町村、特別区、これらの組合及び財産区が公用又は公共の用に供する固定資産
≪以下略≫


地方税法
 (土地又は家屋の基準年度の価格又は比準価格の登記所への通知)
第422条の3 市町村長は、第四百十条第一項、第四百十七条、第四百十九条第二項又は第四百三十五条第二項の規定によつて、土地及び家屋の基準年度の価格又は比準価格を決定し、又は修正した場合においては、その基準年度の価格又は比準価格を、遅滞なく、当該決定又は修正に係る土地又は家屋の所在地を管轄する登記所に通知しなければならない。
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「生活支援戦略」に関する厚生労働省案に対する意見書

2013-01-08 09:14:54 | 司法書士(改正不動産登記法等)
「生活支援戦略」に関する厚生労働省案に対する意見書 by 日司連
http://www.shiho-shoshi.or.jp/association/img/article_image/file/public%20comment_seikatuhogo_130107.pdf
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プロ野球選手が司法書士試験を受験?

2013-01-07 13:24:49 | 司法書士(改正不動産登記法等)
スポーツ報知
http://news.goo.ne.jp/article/hochi/sports/20130106-134-OHT1T00165.html

 早稲田大学ソフトボール部出身で,日本ハムファイターズに入団した大嶋選手だが,司法書士の資格取得を表明しているそうだ。

 思わぬところからの「司法書士」のPRだが,野球でがんばって欲しいところ。

 こういう方もいらっしゃいますが。
http://www.data-max.co.jp/2010/04/1_255.html
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破産手続が終了した株式会社に財産が残存する場合の清算人の選任等

2013-01-07 00:04:35 | 会社法(改正商法等)
0.問題意識
 破産手続が終了した株式会社に財産が残存する場合,会社法第478条第1項第1号の規定によって,取締役が清算人に就任する場合があるか。破産手続が終了して,しばらく経ってから財産が発見されたような場合(例えば,休眠抵当権の抹消を企図したところ,当該抵当権者が破産手続開始決定を受け,当該破産手続が終了していた場合)は,どうか。

 ある筋から指摘を受けて,びっくり。当初は,肯定せざるを得ないのではないかとも考えたが,熟慮の結果,以下のように,やはり否定すべきであると考える次第。


1.会社法が定める清算の手続
 株式会社が同時廃止(破産法第216条第1項)等によって破産手続が終了した後,当該株式会社に財産が残存する場合には,その後の手続は,会社法が定める清算の手続による(会社法第475条第1号)。


2.株式会社の破産手続の開始と取締役との委任関係
 平成17年改正前商法下においては,「この場合の清算人は,委任者たる会社の破産により委任契約が終了したこととなっている解散前の取締役がその地位に就任するのではなく,会社法478条1項2号または3号(※平成17年改正前商法第417条第1項第2号又は第3号)のいずれかの規定によって定めることとなる(最判昭和43年3月15日民集22巻3号625頁)」(相澤哲編著「立案担当者による新・会社法の解説」(商事法務)144頁)と解されていた。

cf. 最判昭和43年3月15日民集22巻3号625頁
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54066&hanreiKbn=02

 しかし,近時の最高裁の判例においては,「会社につき破産手続開始の決定がされても直ちには会社と取締役又は監査役との委任関係は終了するものではないから,破産手続開始当時の取締役らは,破産手続開始によりその地位を当然には失わず,会社組織に係る行為等については取締役らとしての権限を行使し得ると解するのが相当である(最高裁平成12年(受)第56号同16年6月10日第一小法廷判決・民集58巻5号1178頁参照)。」と解されている。

cf. 平成21年4月21日付け「株主総会決議不存在確認の訴えの係属中における破産手続開始の決定」

 したがって,破産手続が終了した株式会社に財産が残存する場合における会社法下の清算手続においては,会社法第478条第1項第1号の規定によって清算人が就任することもあり得るのではないかとの疑問が生ずるが・・・。

 昭和43年3月15日判決と平成16年6月10日判決等は,一見矛盾するようであるが,会社の代表機関の果たすべき職務として,会社の財産管理に関する職務とそれ以外の職務とを峻別したものと理解されている(瀬戸英夫・山本和彦編「倒産判例インデックス」(商事法務)287頁)。

 この理解に従えば,破産手続の開始によって財産の管理処分権を奪われていた取締役に対して,破産手続が終結したからといって,権限を復せしめるのは妥当ではないから,会社法第478条第1項第1号の規定によって取締役が清算人に就任することは,否定すべきであろう。

 よって,以下のように解することになるのであろう。


3.同時破産廃止の場合
 上述のとおり,同時破産廃止(破産法第216条第1項)の場合に,残余の財産が存するときは,会社法が定める清算手続に入る。したがって,取締役は,退任する(会社法第477条第6項)ことになるが,この場合の清算人は,最高裁昭和43年3月15日判決のとおり,従前の取締役が清算人に就任するのではなく,会社法第478条第1項第2号又は第3号のいずれかの規定によって定めることとなる。

4.異時破産廃止の場合
 異時破産廃止(破産法第217条第1項前段)の場合,破産手続開始決定時点では,取締役は当然には退任しない。しかし,財産の管理処分権は破産管財人に専属し,取締役は,会社組織に係る行為等について権限を行使し得るのみである。

cf. 最高裁平成16年6月10日第2小法廷判決
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52298&hanreiKbn=02

 したがって,破産財団から放棄された財産を目的とする別除権につき,別除権者が破産者の破産手続開始決定当時の代表取締役に対してした別除権放棄の意思表示は,これを有効とみるべき特段の事情の存しない限り,無効である。

cf. 最高裁平成16年10月1日第2小法廷決定
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62619&hanreiKbn=02

 破産手続中であっても,清算人を選任することは可能であると考えられている(東京地方裁判所商事研究会編「類型別会社非訟」(商事法務)48頁)。

 その後,破産手続が終結したものの残余財産が存するとき,会社法が定める清算手続に入り,取締役は,退任する(会社法第477条第6項)ことになるが,この場合の清算人は,最高裁昭和43年3月15日判決のとおり,従前の取締役が清算人に就任するのではなく,会社法第478条第1項第2号又は第3号のいずれかの規定によって定めることとなる。


5.平成17年改正前商法下における破産の場合
 破産手続が終了して,しばらく経ってから財産が発見されたような場合も,会社法が定める清算手続に入るのであり,会社法第478条第1項第2号又は第3号の規定によって清算人を選任することになるが,平成17年改正前商法下において破産手続が終了していた株式会社について,当該株式会社の財産が発見された場合は,どうか?

 この場合,「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成17年法律第87号)第108条本文により,「施行日前に生じた旧商法第404条各号に掲げる事由により旧株式会社が解散した場合における新株式会社の継続及び清算については,なお従前の例による」ものとされている。

 したがって,清算人の選任についても,「なお従前の例のよる」ことになるが,従前は,前述の最高裁判例(最判昭和43年3月15日民集22巻3号625頁)に従って,実務上の取扱いがされていた。

 よって,この場合の清算人は,平成17年改正前商法第417条第1項第2号又は第3号のいずれかの規定によって定めることとなる。


6.裁判所への清算人選任の申立て
 清算人の選任を裁判所に申し立てることができる旨の規定(会社法第478条第2項)があるが,いきなり同項の選任の申立てによるのではなく,同条第1項第2号又は第3号の規定により清算人が定まらない場合に限って,裁判所への選任申立てが認められるという点は,留意すべきである。

 すなわち,株主総会を招集すればその決議によって清算人を選任できる見込みがある場合には,清算人の選任申立てではなく,仮清算人の選任申立てをすることが適当である(前掲「類型別会社非訟」47頁)。

 平成17年改正前商法下において破産手続が終了していた株式会社に関する手続も同様である。
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家庭裁判所の裁判官を増員へ

2013-01-06 21:55:38 | 家事事件(成年後見等)
讀賣新聞記事
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130106-OYT1T00032.htm?from=tw

 書記官や調査官等の増員も必要ですね。
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ベアテ・シロタ・ゴードンさん逝く

2013-01-06 17:14:55 | いろいろ
時事通信記事
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013010100081

 GHQ憲法草案制定会議のメンバーとして著名なベアテ・シロタ・ゴードンさんがお亡くなりになりました。平成19年10月に,京都での講演会に参加したことが懐かしいです。御冥福をお祈りします。

cf. 平成19年9月27日付け「ベアテ・シロタ・ゴードンさんの講演会 in 京都」
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著作権の切れた作品をインターネット上で無料公開

2013-01-05 10:21:25 | いろいろ
讀賣新聞記事
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20130104-OYT1T00517.htm

 「青空文庫」が,著作権の切れた作品をインターネット上で無料公開している。

 無料で読めるのはいいが,普段パソコンをにらめっこの時間が長い者にとっては,余暇の時間もにらめっこを続けるのは,ちょっとしんどい感。
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競売で暴力団が事務所を取得可

2013-01-04 20:16:27 | 不動産登記法その他
讀賣新聞記事
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130104-00000241-yom-soci

 競売には,暴力団排除条項がないため・・・条例レベルの規制は,全国的に普及しているが,逆に条例止まりにならざるを得ないのであろうから,やむなしか。
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八重の桜

2013-01-04 15:46:50 | 私の京都
 昨夜,NHKで「八重の桜ツアー」をやってました。今度の大河ドラマは,ややニッチな主人公ですが,結構面白そうですね。

 私の事務所から徒歩5分ほどのところに,新島旧邸があり,ぶらりとのぞけて,人気もまばらな,いい感じの洋館なのですが,人気沸騰対策なのか,完全予約制となっているようです。
http://archives.doshisha.ac.jp/old_mansion/old_mansion.html

 福島県には,近々3月に郡山市を訪れる予定。会津若松市,福島市に続いて3度目です。
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「京都ここだけの話」

2013-01-03 20:05:51 | 私の京都
日経記事
http://www.nikkei.com/article/DGXBZO50116490Y2A221C1000000/?dg=1

 最近の京都事情をわかりやすく解説。お薦め。

 新書化もされている。
http://www.nikkeibookvideo.com/item-detail/26169/
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