tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

平均消費性向は一進一退(2022年5月)

2022年07月09日 16時28分40秒 | 経済
昨日は安倍元首相が撃たれるというニュース一色でしたが、例月通り家計調査の月報は総務省から昨日発表されています。

このブログでは、日本経済復活は民間消費需要の回復からという視点をベースに、「勤労者2人以上世帯の「平均消費性向」を長期にわたり追いかけてきています。

アベノミクスの期間を通じてじりじりと下がり続けてきた消費性向は、コロナ禍に入って、感染者が多くなれば下げ、減少すれば上がるといった動きなって来ました。

もともと老後不安、将来不安が原因の貯蓄性向の上昇が消費性向低下の原因とみられていたのですが(消費性向+貯蓄性向=100)、コロナの中で動き方が乱高下になりました。

さらにこの所、インフレの昂進が現実になり、所得が増えない中で、ますます消費行動は複雑な要因に影響されることになりそうです。

2人以上勤労者世帯の平均消費性向の推移

資料:総務省「家計調査」

5月の数字はグラフにもありますように87.6%で、昨年5月の86.4%より1.2ポイント高いのですが、これは「そろそろコロナ終息も目鼻がつくかな」といった雰囲気があっての数字という気もしますので、問題はこれからです。

図のように、今年に入って、これまでのところ上記勤労者世帯の平均消費性向は一進一退で、それでも前年に比べ高い月が増えています。
これがコロナ感染者減少のせいであれば、7月以降は、一部に予想される第7波の影響を受けて低下の可能性が出てくるかもしれません。

一方、秋ぐらいまでは確実に続きそうな物価の上昇傾向を考えますと、物価が上がれが上がった分支出が増増える傾向があるのと、同時に、物によっては買い急ぎの傾向も出るでしょうから、消費性向は上がる可能性が大きくなります。

さらに、インフレになると、ゼロ金利の預貯金が目減りするので、貯蓄性向が下がって消費性向が上がるというのが経済理論ですが、日本人は、預貯金が目減りすると将来大変だからと目減り補填のためにさらに貯金を殖やすという傾向があるという理論もあって、先行きはますます解りません。

しかし、いずれにしても、消費が増えない事には経済は成長しませんから、経済成長実現のためにも、消費は安定的に増えてほしいものです。

そのカギになるのが消費性向で、その唯一の指標が、総務省の家計調査の2人以上勤労者世帯の「平均消費性向」ですから追いかける価値はあると思っています。

いずれにしても、結果は毎月必ず数字で出ますので、宜しかったらおつきあい下さい。