tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

6月の輸入物価、企業物価が発表されました

2022年07月12日 20時33分21秒 | 経済
昨日、日本銀行から、恒例の輸出入物価と企業物価の統計が発表になりました。

マスコミは殆ど企業物価が最高になったという事しか報道していませんが、一緒に発表されている輸入物価の上昇は随分大幅ですね。

2022年6月主要3物価指数の推移

               資料:日本銀行、総務省

そうして、我々にとって最も気になる消費者物価は、ほとんど上がっていません。

参院選では、物価上昇対策についての議論が、最も大きな争点といった感じでしたが、消費者物価落ち着いたものです。(それでいいのかどうかは別として)
これは一体どういう事でしょうか。

輸入物価は世界中で資源や半導体などいろいろなものの価格が上がれば上がります。
それに加えて、今日の日本の場合は円安になるので、円安分が加わります。

そして6月は円安が大分進みました。それで図のように6.7ポイント(165.0→171.7)も上がったのでしょう。
しかし円安の分は(円は乱高下する可能性があるので)すぐには値上げしにくいのでしょうか。企業物価にはあまり反映されていない感じです。

その結果、企業物価は、最高になったと言っても前月からわずか0.2ポイント上がっただけです。確かに最高には違いありませんが・・・。

更に、消費者物価に至っては、この物価騒ぎの中でも6月は5月と同じです。これは原数値ですから季節調整済みの数字は0.1ポイント上がったと説明がありますが、どちらにしても、これでは消費者物価は「安定」と言うしかないでしょう。

消費者物価の安定の原因を探してみますと、目につくのは生鮮食品が6月は下がっていることがあります。天候が良くて、野菜などの安かったことがあるのでしょう。
(ただしこの消費者物価は、20日ごろ発表される正式なものではありませんで、6月と言っても東京都区部の6月中旬の速報値です。全国の数字が出次第差し替えます)

今騒がれてる物価上昇、インフレ懸念のもともとの原因は、海外価格の上昇と円安でしょう。そして現状までの動向は、まさに上の図のようなもので、これら3つの物価指数の動きには大幅な差があります。消費者物価はなかなか上がらないのです。

先月のこの欄でも書きましたが、日本と欧米の場合は大きく違います。欧米では消費者物価も8~9%上がっています。
価格転嫁をしにくい日本は、インフレが嫌いな国だからと言われますが、無理をしてもインフレにしない方がいいのどうか、という見方もあり、日本だけが特異な(変な→困った)国だと見られる危険もあります。

日本の物価問題、ひいては日本経済のありかたの問題点も、この辺りに原因があるのだという視点も含めて、この3本の物価指数の線の動きの違い大きさから、物価問題、経済政策の根本を確り考え直していく必要があるというのがこのグラフを、新しい数字が出るたびに毎月出している理由です。