松江へのバスの中で図書館で借りた
![]() |
世界でいちばん貧しい大統領からきみへ |
くさば よしみ | |
汐文社 |
を読んだ。
「昔は、崇高な目的を達成するための正義の戦争と、
悪い戦争があると思っていた。
しかし武力による犠牲と苦しみを肌身で知って、
どんな戦争であれ、
社会で最も弱い人の犠牲で終わることを知ったんだ。
最悪な話し合いは、最高の戦争に勝つんだ。」
そして、時間があったので今井書店で和田秀樹さんの
「この国の冷たさの正体」を買いました。
この国の冷たさの正体 (朝日新書)和田秀樹朝日新聞出版
「何かを決定する時には、正しい情報を収集して、正しく分析する必要があります。しかし、テレビの情報番組だけ見ていると、ときにに私たちは間違った情報に支配されてしまいます。
『ギリシャは公務員が多い。だから財政が破綻した』
報道によってこう思っている方も多いかもしれませんが、2005年にOECD(経済協力開発機構)の調査によれば、ギリシャの労働人口に占める公務員の割合は14.1%です。
実はこの数字は、OECD諸国では平均的な数値であり、アメリカやイギリスとほぼ同じ比率です。
『ギリシャが財政破綻したのはギリシャ人が怠け者だから』というイメージも先行していますが、これも嘘です。どの統計でもギリシャ人はEUの優等生ドイツ人と比べてはるかに労働時間が長い。もっとも、労働生産性が低いためにそれだけ働かなければならないという面がありますが、『怠けている』というのは間違っているのです。
こんなことはいくらでもあります。例えば、日本の財政破綻が問題になる場合、必ずセットで語られるのが消費税の問題です。消費税を欧米並みに引き上げて、法人税を下げなければいけない。これがグローバルスタンダードだと言います。
しかし、現在のところ国際的に見て経済が好調なのはやはりアメリカです。日本の法人税率は15年で32.11%。16年からは31.33%まで下がります。ところがアメリカの法人税率は40.75%(カリフォルニア州、ニューヨーク州は45.67パーセント)で、日本より断然高いのです。しかも消費税が10%を超えている州は一つもありません。
北欧をはじめヨーロッパ諸国の消費税が高いのは、医療費無料、大学までの教育費も無料といった手厚い福祉をさあ得るためという面が大きいのですが、日本の福祉はそうして国々と比べると比較にならないほどお粗末なのです。むしろ、アメリカに近いぐらいでしょう。
つまり、「高い消費税はヨーロッパ並み、粗末な福祉はアメリカ並み」という悪いとこどりになりつつあるのが今の日本の状況です。
グローバルスタンダードにおいては、消費税は高く、法人税は安くなければいけないと私たちは信じ込まされているわけですが、世界で一番競争力の強いアメリカ(普段はこの国のあり方がグローバルスタンダードとされています)は、法人税が日本よりも高いのです。しかもアメリカは経費についてはかなり厳しい基準を用いているので、実質的な税率の差はもっと大きいはずです。日本は経費が認められる基準はアメリカよりも緩いですし、控除が多いので実質税率はもっと低くなるはずです。結局、消費税を高くして、法人税を安くすることで、持たざる者は、ますます苦しくなり、持つ者はますます富むということになるのです。」(37ページ〜40ページ)