ⅩⅩⅩⅥ「交差する」
僕に割り振られた時間の全てを
思い通りの自由に使える筈も無いのだ
たった一人で生きるのなら
それは確かに百%だが
その事を大喜びした直ぐ後から
きっと嘆くことになる、必ず
僕じゃない誰かの時間と
何処かで交わらなければ
その交差する数々の瞬間に
生きた証を残して行かなければ
存在する甲斐さえ無意味になる
存在する主張さえ失われる
それ故、度々
僕の時間割に
補習の為の項目が増えるというのは
寧ろ
歓迎すべきことかも知れぬ
*
「七十年近くも」
いろいろな事柄の真髄が
ほんの僅かだが
見えつつあるような気がする
もしも
この儘の状況が続いてくれるとしたら
感情を失くしてしまう前に
或いは
感覚が狂ってしまう迄に
幾つかの物事の
例えば
イノチの成り立ちや
一人では何故駄目なのかや
如何してアナタを捜すのかや
ココロの芯はなぜ必要か?
五情五感を磨く手立ては?
更にその先の朧気な心髄にも
迫ってゆけそうな気がする
それを理解したところで
何かに脱皮できる訳でもないが
新しいイノチを授かる訳でもないが
最近物事の本質に
時々気づかされることが有って
人生の達人になれるかも知れないと
ふと、思い上がったのだ
七十年近くもかかった集大成として・・
*12/13 23:11 万甫