本日の マンション管理関連試験等サポートのオリジナル問題です
2問あります
W管理組合法人(Wと表する)に対し、組合員であるⅩ・Y・Zは、連帯して300万円の
金銭債務を負っている(3名の内部的な負担割合は平等)。
XはWに対し、200万円の金銭債権〔G債権と呼ぶ〕を有している(弁済期は到来してお
りWに負っている債務とは相殺適状にある)。
各肢についてそれぞれの場合の、現行民法に拠る、正誤を答えなさい。
1、 300万円の支払の請求を受けたXが、G債権と相殺すると告げ100万円のみ
を支払った場合であっても、WはZに対し100万円の支払いを請求することは
できる。
2、 300万円の支払の請求を受けたYが、G債権と相殺すると告げ100万円のみ
を支払った場合、WはZに対しYからの弁済額100万円を除いた残金200万
円の支払いを求めることができるが、Zは100万円については履行を拒むこと
ができる。
1 について 誤 り
相殺は、弁済等と同様に債権者が満足を受ける消滅原因である(連帯債務での影響関係において
相殺は弁済等と並んで絶対的効力事由であるということについては、改正の前後で変わりない)。
Xによる200万円の債権による相殺と100万円の支払いによって、Wの債権は全額について
消滅するので、請求はできない。
下記、439条 を 参照ください。
2 について 正しい
連帯債務者のうち反対債権を有しているXは相殺の援用が可能だが、他の連帯債務者は相殺
権限はなく、Ⅹが〈相殺を援用〉しない間は、Ⅹの負担部分の限度において履行を拒絶でき
るにすぎない。
反対債権を有しているわけではないY(G債権を有しているのはX)の相殺には効力が無い。
なので、Yの支払った100万円の残金200万円についてWは請求はできるが、ZはXの
負担割合である100万円についてはその履行を拒絶できる(100万円のみ支払えばよい
ことになる)。
下記、439条 を 参照ください。
記
(連帯債務者の一人による相殺等)
第四百三十九条
連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用
したときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
2 前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分の限
度において、他の連帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。
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民法における改正(平29法44)〈この度の改正と表す〉に関しての、某マンション管理組合
に対する顧問マンション管理士の説明に関し、下線部の正誤を答えなさい。
『契約上の地位が、譲渡や法律規定によって移転できることについては、一般的には承認されて
いたのでしたが、この度の改正までは①明文の規定がありませんでした。
現行の規定では、譲渡人と譲受人のみで契約をして契約上の地位を譲渡する場合にその効力が
生じるには、②契約の相手方の承諾が必要とされることが条文にあります。
合意によって契約上の地位を移転するには契約の相手方の承諾が必要なことが明文で示された
ので、賃貸人の地位の移転、つまり新しい賃貸人に変わる場合は賃借人の承諾が必要となると
解釈されるので、マンション専有部を貸している場合、または今後貸し出す場合にはその点注
意しなければならないことになりそうです。
このことは、重要なことなので、③条文が是非必要になると思われるのですが、今のところ
ハッキリしないです。』
① 正しい
契約上の地位の移転とは、〔債権・債務が個別に移転するのではなく、解除権など
付随的な権利義務も含めた包括的な契約上の地位が一体的に移転するもの〕と判例
通説で解釈されていました。
ということで、債権譲渡や債務引受だけでは果たせない機能を担っている制度です。
② 正しい
第三款 契約上の地位の移転
第五百三十九条の二
契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合
において、その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その
第三者に移転する。
③ 条文がある 誤 り
(合意による不動産の賃貸人たる地位の移転)
第六百五条の三
不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要
しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。
※ 上記、539条の2 の 特則と 位置づけられる。
この場合においては、前条第三項及び第四項の規定を準用する。
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