私は、九州・玄海原発訴訟団に加わっています。
訴訟団には一万人以上が加わっていますが、私は名ばかりの団員で何もしていません。でも、毎回、ニュースだけはいただき、読んでいます。今日頂いたニュースの中に、佐賀市で行われた小泉純一郎元総理の講演要旨が載っていました。
小泉氏は先日も、原発推進の安倍首相とゴルフに興じる様子が報じられ、その姿勢に疑問を持ちましたが、「さよなら原発」に関しては評価しています。
訴訟団ニュースを以下紹介します。小泉氏がどんな考えで行動しているかを知ることは、原発について考える素材のひとつとなると思います。よろしかったら、ご一読ください。
原発なくそう!九州玄海訴訟ニュース
第1~28陣原告、支える会会員のみなさまへ(VOL.195)
(メールアドレスを登録いただいた方に配信しています)
【小泉純一郎元総理の再生エネルギーをめざしての講演会】
小泉純一郎元総理の講演会が8月25日(金)に佐賀市でおこなわれましたので、
その時の模様をお知らせします。
小泉元総理「3・11」後、初の佐賀県入り 原発問題を大いに語る
二〇一八年八月二五日、佐賀県保険医協会主催による小泉純一郎元総理講演会
が「原発ゼロ・自然エネルギーの推進を」と題して開催されました。メイン会場
は満席となる九〇〇名を超え、入りきれなった方は別室にてモニターでの講演に
聞き入りました。
以下、発言要旨(速記録より要約)
「総理在任中は原発必要だと言っていたのに、辞めたらなぜ反対なんだ。無責
任じゃないか」といわれてきた。あのぶれない小泉が「なぜだ~何でぶれたんだ
~」と(笑)。理由は2つある。
その当時(私が総理時代)、経済産業省を中心に推進し、原発は三〇%程度の日
本の電力を供給していた。日本の原発はスリーマイルやチェルノブイリの事故を
教訓に、安全対策第一でやっているので大丈夫であるという話を信じ推進してき
た。ところが七年前、東北大震災で状況がガラっとかわった。当時は民主党政権、
最悪の状況はどうなるのか、福島の原発は3基がメルトダウンをおこしてしまっ
た。4基目がメルトダウン起こした場合(4号機の使用済み燃料プールで燃料溶
融が起こった場合)の最悪の状況を想定せねばならなかった。幸いにも4基目は
メルトダウンはおこさなかったが、もし4基目がメルトダウンしたとなれば、半
径二五〇キロ圏内の住民すべてが避難しなければならない。
東京も含まれ、約五〇〇〇万人の避難、一億一千万人の国民のうちの五〇〇〇万
人、どこへ避難する。
これを契機に自分なりに勉強し始めた。あのフクシマ原発事故前から学者の中
でも原発は安全ではない、日本では原発をやってはいけないという学者の本もあ
った。日本の原発は「トイレなきマンション」。ウランを燃やして電気を供給す
るが、核の廃棄物は危険極まりなく、そのうえ捨て場所もない。現在、世界には
たった1ヶ所しか最終処分場(建設中)は存在しない。世界で唯一の最終処分場
をもつフィンランドの現地を視察した際、受け入れられる容量はたったの原発2
基分しかなかった。日本は福島の原発事故前は五四基も原発が存在し、最終処分
場さえないのに、無謀にも一〇〇基にしようという計画があった。
確かに私が総理のときは原発を推進してきただけに、「無責任じゃないか」とい
われて本当に申し訳ない気持ちがある。『過ちを改むるに憚ること勿れ』という
ことわざがある(拍手)。昔の人はいいこと言ったものだ。私はあやまちを反省
しつつ、転換し、原発をゼロにしていく考えとなった(拍手)。
先日、黒川清先生(元日本学術会議会長)に会った。あのフクシマ事故は「地震
が原因なのか津波が原因なのか」と聞いた。黒川先生は「確かにそれは1つの要
因だけれども、人災だ」といわれた。「なぜ人災なのか」尋ねた。あの福島原発
が完成する前から安全対策が不十分ではないのかという議論があった。ところが
当の東電は安全対策は十分といっていて対策を取ろうとしなかった。その時点で
もっと安全対策をしていれば、あのメルトダウン、放射能の拡散も防げたのでは
ないのか。東電は安全第一ではなく経営第一主義、黒川先生はそう言っておられ
た。
崩れ去った経産省の三大大義名分
二〇一一年三月一一日のメルトダウンの根本的な原因は原発を監督・監視する経
産省側と規制される側である電力会社の立場が逆転してしまったことにある。規
制する側の経産省の幹部たちは原発会社の虜になったとまでいわれていた。今だ
にこの体質は変わってない。大変理解に苦しむ。(中略)
つい最近だが、経産省は二〇三〇年のエネルギー計画で基幹電源として二〇~二
二%は原発電源で確保するといっている。この七年間、1日たりとも停電すらな
かったことが原発に頼らずやれることを証明しているではないか。今年の三月時
点で(再生可能エネルギーが)一五%以上占めるまでにあがってきた。太陽光だ
けでも原発一〇基分のエネルギーを生み出している(驚きの声)。
経産省の三大大義名分としてきたのが、①絶対安全、②コストが安価、③CO2を
出さないクリーン、これが全部ウソであると証明された。テレビ局から出演の依
頼が来て、出演した際に、「(全部ウソであるということを)ここだけは絶対カ
ットするな」と強調した。インタビュアーからは「わかりました」といってはい
たものの、見事にカットされていた(笑)。これはインタビュアーはカットする
つもりはなかったようだが、番組で電力会社の(原発推進)コマーシャルやって
いるためボツとなった(笑)。
そして、もんじゅ、「夢の原子炉」。名前がいい。核の廃棄物をこのもんじゅで
再処理するとまた原料となるので「夢の原子炉」と言われた。八五年着工、一〇
年後の九五年に完成(同年ナトリウム漏えい事故)、一〇年経っても修理できな
い、二〇年経ってもできない、夢の原子炉ではない、あれは「幻の原子炉」にな
った。これまで投入された金額は一兆一千億円。これは全部国民の税金。維持管
理費だけでも1日あたり五五〇〇万円かかっている。これも国民の税金。原発ほ
どカネがかかるものはない。(中略)
もう原発は必要ないし、その時代ではない。自然エネルギーの時代であり、野党
はこの点で結集している。与党も首相自身が示せばそうなるのだが、安倍さんは
それをやろうとはしない。本人にいくら言ってもわかろうとしない、不思議だ
(笑)。よく本人には話はしているのだけど(笑)。こんな当たり前なものをな
んで政治家はわからないのだろうか。やっぱり引退するとダメなのか(笑)
時代は脱原発、自然再エネへ
今年は維新一五〇年。日清・日露戦争、第一次世界大戦と戦争につぐ戦争の繰り
返す中で、戦勝により日本はおごりがでていた。しかし、猪瀬直樹氏の「昭和一
六年夏の敗戦」によると、太平洋戦争開戦前、日本政府の有力者で構成されるシ
ンクタンク(総力戦研究所)がすでにその報告書において、アメリカとの国力の
差は歴然でしかも負けるという結論に達していたにもかかわらず、当時の近衛内
閣は机上の空論として片付け、戦争への突入に閣議決定を下した経過がある。そ
して敗戦。危険を回避してこなかったという歴史的反省の上にたって戦後は出発
することとなった。
戦後は高度経済成長期、石炭から石油へのエネルギー政策の転換、七〇年代には
オイルショックが油代の高騰をまねき、すべての物価があがった。そして石油に
たよるエネルギーからの脱却を試みることとなり、そのため原発にエネルギー政
策を見出そうとした。今はその原発からの脱却にある段階、原発をゼロに段階的
にしていく、自然エネルギーへ転換するチャンスである。私、小泉もみなさんと
ともに脱原発に精進していく覚悟である。ご清聴に感謝します。
なお、訴訟団にはこんな方々が加わっています。
私たちも原告です。
この歴史的な取組みにご参加ください。
- 金本友孝氏(牧師、福島原発事故九州訴訟原告)
- 山本太郎氏(参議院議員)
- 片山恭一氏(作家「世界の中心で、愛をさけぶ」著者)
- 三宅勝久氏(ジャーナリスト)
- アーサー・ビナード氏(詩人)
- 中島孝氏(「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団長
- 斎藤貴男氏(ジャーナリスト)
- 菅波佳子氏(福島県大熊町の司法書士)
- 神田香織氏(講談師)
- 早川篤雄氏(福島原発避難者訴訟原告団長)
- 村山士郎氏(教育学者、大東文化大学教授)
- 松元ヒロ氏(芸人、元コント集団「ザ・ニュースペーパー」)
- 早乙女勝元氏(作家)
- 杉原洋氏(反原発・かごしまネット事務局長)
- 中嶌哲演氏(大飯原発福井訴訟原告団代表)
- 佐高信氏(評論家、「週刊金曜日」編集委員)
- 大石利生氏(「水俣病不知火患者会」会長)
- 宇都宮健児氏(弁護士、元日弁連会長)
- 長谷川健一氏(福島県飯館村の酪農家)
- 根本敬氏(福島県農民連会長)
- 村田弘氏(福島原発かながわ訴訟原告団長)
- 李眞燮氏(韓国・古里原発甲状腺がん訴訟原告)
- 青柳行信氏(原発とめよう!九電本店前広場村長)
- 伊東達也氏(いわき市民訴訟原告団長)
- 辻萬長氏(俳優、「母と暮らせば」出演)
- 小川泰彦氏(染色家)
- 野見山暁治氏(画家)
- 森村誠一氏(作家)
- 池辺晋一郎氏(作曲家)
- 谷口稜曄氏(被爆者)