1400年の歴史を持つ京都。
泣くよ(794)鶯、平安京」で覚えた794年に築かれた京の都。
桓武天皇によって遷都された日本の中心です。
神社、寺、文化施設、花街・・・戦災を受けなかった都は、底知れずの魅力を持つ日本の都でもあります・・・。
「京都<千年の都>の歴史」
高橋昌明著 岩波新書 840円+税
著者の高橋さんは、神戸大学名誉教授。
中世史が専門の学者です。
同書の帯のタイトルは、「花の都を知り尽くす」。
地味で真面目な岩波書店としては、ぶっ飛んだキャッチフレーズ・・・。
ただ、内容的には、歴史検証をベースとした、とても学術的な一冊です。
歴史に寄り添いながら地道に解説していくスタイルには、とても共感を覚えました。
特に、第3章の「平安京から京都へ 中世の幕開け」は圧巻です。
中世を専門とする高橋先生の独壇場の解説です。
・院政と王家の成立
・白河の六勝寺
・法勝時と八角九重寺
・鳥羽殿
・摂関家と宇治
・六波羅と西八条
・法住寺殿
・鳥羽利休から法住寺殿御所へ
・青蓮院と三千院
・内裏と大内裏の造営・修造
・国家業務運営の場
・荘園の激増
・桑園領主の集住する都市へ
・淀・大津と
・平安京から京都へ
・街小路のにぎわい
著者の専門分野である中世史の解説は、ライプな迫力があり、読み応えもあります。
今日の都が出来たベースが、まさにここにあることを丁寧に解説していきます。
目次
第1章 平安京の誕生
第2章 花の都の光と影
第3章 平安京から京都へ 中世の幕開け
第4章 京と六波羅 内乱と災厄を経て
第5章 武家の都として 南北朝から室町へ
第6章 都を大改造する 信長と秀吉の京都
第7章 イメージとしての古都 江戸時代の京都
結び 古都京都のゆくえ
1868年の明治維新まで日本の都だった京都。
その京の都の今までと、これから・・・。
著者の高橋さんは、京都への愛着とともに、明日の京都への想いを寄せます。
その愛情がひしひしと伝わってくる同書。
以前、経営コンサルタントの大前研一さんが首都遷都に関わるアイデアとして、
京都を「本京都(本当の京都)」とし、「東京都」と対比させながら説明されていたことを思い出しました。
西の京都、東の京都という韻を踏んだユニークなアイデアです。
政治・行政の京都、経済の東京というポジショニングも、日本の国土軸という観点からすると、なかなか面白いと思います。
京都好きな方に、ぜひとも読んでいただきたい一冊です。