自己実現時代のマーケティング4.0
日経ビジネス誌2014.10.27号でフィリップ・コトラー博士のインタビューが掲載されています。
とても面白く読ませていただきました。
そういえば、数年前にもコトラー博士の取材記事が出ていたように記憶しています。
「現代マーケティングの父」と紹介。
ピーター・ドラッカー博士と並ぶ現代経営学の巨匠です。
ドラッカー経営学は、とてもコンセプチュアル。
これに対しコトラーマーケティング学は、とてもテクニカル。
競争戦略論を説いた天才ポーター博士のように冷徹、クールではないコトラー博士は人間起点。
とても好きなマーケティング学者です。
そのコトラー博士は1931年の生まれ。
ということは83歳。
ドラッカー博士も含め経営学者は本当に長寿です。
はじめてコトラー博士の書籍に出会ったのが大学図書館。
その分厚い本のボリュームに圧倒されました。
マーケティング2.0の時代です。
そして、就職した広告代理店では、マーケティングの実務家から(当時マーケターと呼んでいました)コトラー博士の理論に肉付けしていただき、現場でのトライアル&エラーにチャレンジしました。
マーケティングのライフサイクル理論、マーケティングコンセプト、マーケティングコミュニケーションから始まり、
STP理論、ニーズ-ウォンツのフレームワーク・・・、
そして最近ではソーシャルマーケティング、CSRマーケティング・・・、
時代はマーケティング3.0の時代に突入しました。
マーケティング=経営というフレームも固まってきました。
マーケティング1.0・・・製品の販売を目的
マーケティング2.0・・・消費者の満足させることに知恵を絞る
マーケティング3.0・・・より良い社会を実現するという崇高な目標を掲げて消費者に価値観を訴える
マーケティング4.0・・・自己実現を求める消費者、生活者のニーズに応える
コトラーマーケティングの支柱は、マズローのピラミッドにあるように思えます。
となると、5段目のさらに上、「自己超越」というのがマーケティング5.0になるようと想像できます。
デジタルの進化、スマホの普及、ソーシャルメディアの浸透、グローバルの波といったものが、新たなウェーブとなってくるのでしょう。
日経ビジネス誌による「マーケティング後進国とも揶揄される日本企業に期待することは?」という質問に対し、
コトラー博士は次のように回答されています。
「対象とする顧客を明確にし、そのニーズを深く理解して成長を続ける、真にマーケット主導型の日本企業が増えることを願う。
マーケティングとは経営そのもので、消費者に自社を愛してもらうことが最終的なゴールだ。」
コトラー博士のマーケティングの円盤モデルの進化で説明できる今回の回答。
マーケティング戦略ではなく、戦略マーケティングの時代となっていることを再認識したインタビュー記事でした。