アカデミックな筑摩書房から面白い本が出されています。
風水・・・ちょっと謎めいた、怪しい占いのようなジャンルです。
風水 中国哲学のランドスケープ
エルネスト・アイテル著 中野美代子・中島健訳
ちくま学芸文庫 1000円+税
著者のエルネスト・アイテル(1838年~1908年)は19世紀を生きたドイツ人。
バーゼル伝道会に入会し、1862年に香港で布教活動をしていたそうです。
その後イギリス国籍を取得、教育行政官として活動しています。
192ページというコンパクトな文庫本の中に、中国が生んだ風水の研究成果がコンパクトにまとめられています。
真面目なクリスチャンだったんでしょうね。
目次
第1章 はじめに
第2章 天の法則、地の法則
第3章 羅盤の読み方
第4章 「気」の吉と凶
第5章 自然の外観と風水
第6章 風水の歴史および文献
第7章 むすび
風水は、天は理想、地はその反映とします。
天地の数的原理を、風水で使うコンパス・・・で分析していきます。
小職も若いころ香港で買ってきた羅盤を持っています。
最終章の「むすび」で著者は問います。
風水とは何か?・・・
彼は、「風水とは賢い母親の愚かな娘である。」と喝破します。
風水は、天文学や占星術から出発したが、2000年に渡り「手探り」で終わり、サイエンスではないという意味です。
きわめて欧米的なコメントです。
ただ、個人的には、風水が全くのデタラメとは考えていません。
中国4000年の歴史の中で皇帝や貴族が編み出した風水術には、何かがあると思います。
経験則や体験に基づく「環境地理学」というジャンルだと理解しています。
今、興味を持っていることは、風水とビジネス、仕事の関連性です。
香港や中国では、オフィスの席替えやレイアウト変更の際に、かなり揉めるそうです。
自分に最適な風水が乱されるからだそうです。
また、方向や生年月日、色や空間などで風水を観るプロフェッショナル、風水師という職業もあるそうで、これがビジネス、商業と結びついて結構繁盛しています。
荒俣宏さんの著作「風水先生」によると、日本の国家資格「中小企業診断士」は香港の風水師に近いと解釈されているようです(笑)。
ビジネス風水師というジャンルもアリだと思います。
ちょっと怪しいですが・・・笑。