能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

マネジメント理論、経営理論を世のため人のために役立てるために

なぜハーバードビジネススクールでは営業を教えないのか?MBAを超える「生きる力」と「売る力」

2014年02月01日 | 本と雑誌

営業 Eigyoは、日本独自の概念で、単なる販売とは異なる

マーケティングとセリングは違う

・・・といったことをビジネススクールで教わります。


が、具体的な売り方、売上の伸ばし方、対面場面での販売技術などは教えてくれません。

それは、あなたが考えなさいということなのです。

一番大切な・・・一番役立つことを教えてくれないのは、やはり困ったことです。


なぜハーバードビジネススクールでは営業を教えないのか? 

拒絶から始まる世界一やりがいのある仕事

フィリップ・ブルヴス・ブロートン著 関美和訳 プレジデント社刊 1700円+税


副題の「拒絶から始まる世界一やりがいのある仕事」もなかなか素敵です。

原題は、「The art of  the sale」。

「販売の技術」といったところでしょうか。


目次

0.世界を動かしているのはセールスだ

1.拒絶と失敗を受け入れる

2.ストーリーと共感力で売り込む

3.生まれつきか、経験か

4.教祖と信者

5.誰にでもチャンスがある

6.芸術作品を売るということ

7.仕事と自我を切り離す

8.複合的な才能

9.ものを売る力と生きる力


著者のブロートンさんは、バングラデシュ出身。

名門HBS、ハーバードビジネススクール出身です。

最初の著作「ハーバードビジネススクール 不幸な人間の製造工場」が大ブレーク。

今回の著書は、その続編ともいえる大作です。


同書では、販売の持つ泥臭い部分を丹念な取材をベースとして構成されており、説得力抜群です。

一度でも営業をされた方であれば、頷く場面が多々あります。


「セールスの能力は、売り手の動機次第で、善にも悪にもなる」

「セールスストーリーは、売り込みの道具であり、自分を納得させる道具である」

事件・・・悩み・・・解決は、アリストテレスの詩学と同じ」

「セールスの基本原則は、値段・プロセスの構造的要因・人間心理

「最大の成功要因は、役割認識


この本の中に、「スーパーセールスマンの秘密」の著者ロバート・マクナリーの言葉も紹介されています。

それは、セールスというのは、経済学と心理学の中間に位置づけられるというものです。

そして、彼は、セールスのステップを次のように構成しています。


1.見込み客の感情や夢を素早く見抜く。夢をかなえる商品を準備する。

2.買う合理的な理由をあたえる。

3.成約に持ち込む


また、同書では、セールスパースンには「求愛力」が必要だとし、5つの特性の重要性を説いています。

「元気と気楽さ」

「ことわられても、めげない自信」

「金への執着」

「自制心と勤勉さ」

「挑戦する姿勢」


これらは、ビジネススクールでは教えてもらえない内容です。

そして、セールスパーソンに必須のコンセプトとして、「共感力」と「自我」を取り上げます。

共感力とは、顧客に耳を傾けること、

そして、自我とは成約に結び付ける自我の強さのことだということです。


同書の巻末の解説は、ライフネット生命の岩瀬社長が書かれています。

また、同書の事例、ケースでは日本の第一生命のトップセールスの取材も取り上げられており、リアルな営業を知ることができます。


営業にかかわっている方、営業に携わろうとしている方、マーケティングや企画を担当されている方にお奨めの一冊です。

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