世界最高レベルの人口減少、少子高齢化という課題を持つ日本。
政府も「一億総活躍社会」「働き方改革」といった政策で労働力人口、生産年齢人口を増やすために躍起となっています。
高齢者雇用安定法を改正し、65歳定年の義務化、70歳までの雇用努力義務を課しています。
公務員の定年延長もアウトラインが出されています。
20歳代後半、コンサルティング会社で働く後輩から相談を受けました。
日々忙しく、仕事上の悩みや課題をたくさんかかえて少し疲れ気味の彼。
「70歳定年になりそうですが、このまま、あと30年以上も働けるんでしょうか?」
う~ん、難しい問題です。
彼に助言したのは、「まず、自分のスキル、価値観を活かして、イキイキ、楽しく働くための工夫・努力を日々積んで行くこと」という当たり前のごくごく普通なアドバイス。
新型コロナウイルスもあり、今の日本の職場から、笑顔や雑談が消えかけています。
飲み会や忘年会もなくなりました。
会議や打ち合わせもオンラインになり、かたやDXやデジタルでPC、タブレット、スマホといった機械相手の仕事になりつつあります。
職場が、全体的に無機質になっているのです。
しかめっ面、眉間にシワ、無表情・・・そんな人ばかりの職場で働くのは、本当につらいと思います。
どうせ働くのなら、楽しく、他者に貢献でき、お客さまが喜ぶような仕事をしましょう!というのが小職の考えです。
まずは、一燈を照らす・・・笑顔と感謝で自分の周囲3メートルだけでも明るくしていけば、より良い明日とより高い成果が獲得できると思います。
四書五経の大学でいう「修己・斉家・治国・平天下」。
まずは自分をしっかりマネジメントし、家庭を取りまとめ、職場での役割使命を果たせば、万事うまく行くはずです。
風水的に言うと、「1.命、2.運、3.風水、4.積陰徳、5.読書」。
風水で重要な事柄をランキングしたものです。
読書(自己啓発、勉強)をしっかり積み重ねて、人知れず陰で徳を重ね、風水の術を取り入れれば、ラッキーになり、運命も変えられる・・・という意味です。
若い人に古典の話をすると、説教臭く聞こえると思うので、かなりオブラードに包んでお話しました(笑)。
現在では、大学や高校からキャリア教育が行われていますが、その内容はまだまだステレオタイプのものが多いと思います。
今までの仕事経験、キャリアを積んできた経験則から年代別のキャリア論について考えてみました。
20歳代のキャリア論
・最低5年間は、最初についた仕事で仕事基礎力を固めること。ビジネスマナー、PCスキル、デジタル、商習慣、ビジネス知識などを「現場」で習得。ホリエモンの寿司職人論のように、マニュアルを読んだだけでは身につかないものが「現場」にあります。
・最初に入った会社は、ドラッカー博士が指摘するようにギャンブル。30歳になるまでに自分の適性、価値観、スキルなどを熟考して次のステップを考え行動すること。
・若き日、尊敬する先輩が言いました。「30歳までは貯金しなくていい。自分に投資しろ。歌舞伎や狂言を観たか?マキシムドパリ銀座でフレンチを食べたか?自腹でグリーン車に乗ったことはあるか?銀座で飲んだか?スポーツジムに行っているか?」・・・今ではその助言が活きています。ありがとう!先輩
・資本主義社会、新自由主義社会に生きていることを自覚すること。マーケット情報や為替、経済指標に敏感になること。株とは言わなくても、自分の判断で少額でもいいからインデックスファンドや投資信託を買うこと。それは、プロレタリアートから搾取はされない資本家になるということ。
30歳代のキャリア論
・20歳代の経験を活かし、自分の専門性、強みに磨きをかけ続けること。この分野では社内で一番、出来れば業界トップクラスという評価を獲得できるレベルを目指すこと。
・仕事上の人脈、ネットワークを拡大していく努力をすること。
・自分の仕事に関係性のある国家資格を取得すること。資格をOSとして、その上に専門性を乗せていくこと。例えば、営業であれば中小企業診断士の資格を取得し、その上にコンサルティングセールス力、マーケティング力を乗せていく。
・DX、データサイエンス、デジタルに乗り遅れないように勉強すること。
・MBAやMOTの取得を考えてみる。
40歳代のキャリア論
・人を通じて仕事するマネジメント力を向上させていく。
・業界内に名前が知られるくらいのプレゼンスの獲得を目指す。
・古典を読む。哲学を学ぶ。
・東洋、西洋の歴史を学ぶ。
・70歳定年に備えて、準備を開始する。
この自分のキャリアプランの横には、キャリア以上に重要なライフイベントもあります。
恋愛、結婚、子育て、親の介護、老後への準備などです。
人生のチャート図を作って、年に一度くらいは見直し、修正していくとベターだと思います。
ある意味、今の日本は低学歴社会。
18歳の大学入学時の偏差値は重視されますが、大学時代の成績、社会人になってからの学習歴はあまり評価されません。
個人的には、これが「失われた30年間」の原因だと考えています。
新しいことを学ばなければ、イノベーションは産まれません。
グーグルやアマゾン、アップル・・・GAFAMの時代と呼ばれる昨今は、デジタル資本主義。
資本だけでは意味がなく、情報、データ、付加価値がマーケットを勝ち残る経営資源の時代です。
それを支えるのが、高学歴人財、学び続ける行動するインテリゲンチャです。
欧米の企業では、博士やPh.D、修士やダブルマスターの学歴を持つ経営幹部が、ごくごく普通にいます。
彼彼女らは、リベラルアーツや哲学にも精通した人財です。
リカレント学習(大学や大学院での学び直し)についても、日本はOECD諸国で最下位。
25歳~65歳で大学や大学院で学び直しをしている日本人は、わずか2.4%。
イギリス16%、アメリカ14%、OECD平均で11%・・・ケタが一つ違います。
明治維新、青雲の志を持った志士たちが、坂の上の雲を目指し、どん欲なまで学び続け、行動し続けました。
海外まで足を伸ばし、西洋の文化、テクノロジーを吸収し続け、近代日本の礎を築きました。
それが今では、学ばない日本人になり、国力も低下につながっているのです。
今や賃金や一人当たりGDP、国際競争力で先進国とは言えなくなった日本。
このままでは、没落の一途です。
よく働き(正しく働き)、よく遊び、よく学ぶ・・・そうするためのキャリア教育が必要な時にきたと思います。
リンダ・グラットン博士の「ライフシフト」、新刊の「ライフシフト2」では人生100年時代を生き残るための複線型のライフスタイルを提唱しています。
この国を、この経済界を、今いる職場を、自分の家庭をより良くしていくためには、「修己」セルフマネジメントが必須となります。
日本人は齢は取りましたが、もう一度「坂の上の雲」を目指し、立ち上がり行動しなければ、極東の小国家に逆戻りです。
若い人と話をしていて、大きな気づきをいただきました。
ありがとう!