本箱を整理していると、以前読んだ本をパラハパラ読むことになり、結局、整理整頓が進まないというパターンがよくあります(笑)。
雑誌の整理なども、そんな感じです。
本や雑誌を捨てるということは、本当に難しいことですね。
今回、発掘?発見したのが、この一冊。
「ビジネス版 悪魔の辞典」
山田英夫著 日経ビジネス文庫 524円+税
同著は、早稲田大学ビジネススクール教授。
奥付が2002年4月となっています。
日頃、仕事で使っているビジネス用語を辛口に定義していこうというもの。
アンブローズ・ビアスの「悪魔の辞典」をビジネス風にアレンジしたものです。
パラパラめくる中で、思わず引き込まれていきました。
同じ組織、同じ業界で永年過ごしていると、価値観やものの見方が固定化され、マンネリ、ワンパターンに陥っていきます。
そんな状況から脱却するためには、定義の仕方を変えるということが効果的なようにも思えます。
同書は、ビジネスのプロが、アイロニーとウイットをベースにまとめた一冊。
発想力や創造性が落ちてきたなあ、と感じる方にオススメの本です。
なんと、この文庫本には「索引」がついています。
一部をご紹介させていただきます。
「本社」・・・いろいろ文句を言われても、居心地のよいコストセンター。
「単身赴任」・・・本社で月曜日と金曜日に会議が増える原因。
「栄転」・・・本人を前にした場合の左遷の丁寧語。
「人事考課」・・・先に順序をつけてから、各人に評点を書き込む作業。好き嫌いや印象ほ定量化する作業。
「社会人向け大学院」・・・学部生しか教えた経験がない教授が、社会人から経営の情報を得るために解説される大学院。リストラおよび業績不振をいち早く察知した社員が駆け込む待避所。
「中小企業診断士」・・・なぜか大企業に勤めている人が取りたがる資格。
「OJT」・・・何も研修をやっていない企業が、会社案内に書くときの研修制度。
「eラーニング」・・・勉強しているという錯覚を抱かせる、新手のパソコンゲーム。
「お客様」・・・シェアの次に大切なもの。
「戦略的」・・・自分の考えを重厚に見せるための枕詞。
「本社ビル」・・・業績悪化の前年に完成される記念碑。
「目標管理」・・・ノルマの割り当てが美しい衣を着て再登場したもの。
「ロジカルシンキング」・・・ロジカルでない人ほど、ロジカルシンキングが重要とする傾向がある。
「コンサルティング会社」・・・前もって温めていた案に、客観的な装いをするための表紙を作ってくれる会社。
「SWOT分析」・・・思いつきの戦略を、もっともらしく見せるお膳立て。
その後、山田先生の名著「ビジネス・フレームワークの落とし穴」の執筆に繋がっていきます。
「定年」・・・名刺を出さないと、初対面の人と雑談できないことに気づく日。
一定のストレス解消にもつながる、面白い一冊です。
2021年版・・・新版が欲しいですね。