人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

室積光著「史上最強の内閣」を読む~北朝鮮が中距離弾道ミサイルを日本に発射!

2013年08月05日 07時00分18秒 | 日記

5日(月)。3日付の日経朝刊「文化欄」に同紙文化部記者が書いた「現代映す交響曲 大ヒット~佐村河内守のロマン派風新作~ストレス社会に共感呼ぶ」という記事が載りました 記事によると、

音楽評論家の山崎浩太郎は「ゲーム『バイオハザード』の劇伴を作曲してきた佐村河内作品に、『エヴァンゲリオン』の映画監督・庵野秀明と似たものを感じる ともに1960年代生まれで、幼い頃から好きだったものを、まねやパロディーではなく自然に自作に取り入れている 精神的苦悩が反映された音楽は多くの人がストレスを抱える現代に共感を得やすい」と語る

一方、音楽評論家・林田直樹は「メディアの力も大きい。音楽は歴史的に放送メディアと強く結びついてきたカラヤンやバーンスタインからビートルズに至るまで”メディアが育てた芸術家”とも言える」と語る メディアの影響力ということで言えば、全国放送のNHKが佐村河内守の半生を取り上げたことがブームのきっかけになったことは間違いないでしょう

2009年に佐村河内守の「交響曲第1番」が芥川作曲賞の候補になった時、ただ一人この作品を推した作曲家・三枝茂彰は「ネット社会では大衆が評価を決める 佐村河内作品は、21世紀の芸術の一つの方向性を現しているのではないか。現代はコンセプトよりも『伝える力』が必要な時代」と語る

記者は「日本に突如現れた19世紀ロマン派風の音楽は、現代の社会や芸術のありようを多面的に映している」と結んでいます 現代はメディアとインターネットの力を抜きにして音楽事情を語ることはできません 佐村河内守の「交響曲第1番」のCDの売り上げは17万枚を超え、今年から来年にかけてのコンサートは50回といいます。年末恒例の第9公演に匹敵するほどの回数です。秋以降は新作のピアノ・ソナタのコンサート・ツアーも控えています。これらはメディアやネットの力がなければ実現不可能です

今や音楽家たちは、コンサートで音楽を聴衆に伝える前に、そのコンサートの存在自体をメディアやネットを駆使してより多くの一般大衆に伝えることが求められています その上で数多くの音楽家集団・個人の競争の中で”選ばれる存在”でなければなりません。現実は厳しいです

 

  閑話休題  

 

室積光著「史上最強の内閣」(小学館文庫)を読み終わりました 著者の室積光は1955年、山口県生まれ。映画・テレビの俳優を経て、作家になったという変わり種です

北朝鮮が、日本に向けた中距離弾道ミサイルに燃料注入を開始した 果たして中身は核なのか。不人気な自由民権党の浅尾総理(明らかに当時の自由民主党の麻生総裁をもじっている)は、危機一髪の有事を前にして、京都に隠されていた「本物の内閣」に政権を譲ることを決意した 指名された影の内閣は、京都の公家出身の二条友麿首相を筆頭に、世襲議員たちでは太刀打ちできない国家存亡の危機に対処すべく密かに準備されていた最強の内閣だった

内閣官房長官:松平杜方、総務大臣:高杉松五郎、法務大臣:島崎楼村、外務大臣:坂本万次郎、財務大臣:浪花秀吉・・・・・・だれをとっても日本を代表する偉人たちの名前をもじった錚々たるメンバー そして、内閣官房情報調査室のトップは服部万蔵で、まさに伊賀忍者・服部半蔵をもじった名前の逸材

北朝鮮の動きを察知しようとする動きの中で、東京ネズミ―ランドで北朝鮮のシン・チョンイル将軍の長男シン・ジャンナムの身柄を拘束したという情報が入る。実際にありましたね、そういう事件が そのシン・ジャンナムが六本木のクラブに入り浸っている様子が実に面白可笑しく、思わず「ありそ~」と叫びそうになります

さて、いよいよ北朝鮮が日本に向けてミサイルを発射しました。さて、そのミサイルはどうなったのか それを影の内閣はどうしたのか。読んでいると「そ、そんなアホな・・・・」と面喰うことが少なくありません しかし、理屈の通じない国、北朝鮮に対する日本のシャドー・キャビネットの活躍ぶりには思わず拍手を送ってしまいます

この小説で政権を投げ出して影の内閣に全権を委譲したのは麻生総理をもじった浅尾総理でしたが、その麻生氏は憲法改正がらみで「ナチのやり口を見習え」とか発言して国際的にもサンドバック状態にあります この人はまったく過去の経験に学ばない人ですね。いっそのこと誰かに副総理の権限を委譲したらどうでしょうか。この小説に出てくる影の内閣に西郷利明が国家公安委員長として登場します。さしあたって彼に代わってもらったらどうでしょうか

とにかく面白い。国際政治を笑い倒す数少ない痛快小説です。お勧めします

 

 

          

 

コメント (2)
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