8月1日(木)。油断していたら、今日から8月です カレンダーをめくりましたか?
昨夕、東京文化会館で第33回「響きの森」コンサートを聴きました 今回のテーマは「ダンス・ダンス・ダンス」。村上春樹の小説をもじったものでも、ビーチ・ボーイズの歌をもじったものでもなく、舞曲を集めたプログラムのようです
プログラムは①バルトーク「ルーマニア民族舞曲(管弦楽版)、②ラロ「ヴァイオリン協奏曲第2番”スペイン交響曲”」(ヴァイオリン独奏=竹澤恭子)、③ブラームス「ハンガリー舞曲」全21曲で、演奏は広上淳一指揮東京都交響楽団です
自席は1階15列25番、右の島の左通路側です。会場はほぼ8~9割方埋まっている感じです 東京文化会館はホールの響きとしては良いと思うのですが、座席が狭いのが欠点です 前の席との間、隣の席との間が狭いのです。その欠点さえなければ最高級のホールだと思います
小柄な広上淳一が、類人猿のような歩き方で肩を揺すらせてノッシノッシと登場します オケは向かって左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといった態勢を採ります。コンマスはソロ・コンマスの矢部達哉です。第2ヴァイオリンにエンカナ(遠藤香奈子)さんの姿が見えないのはちょっと寂しいです
1曲目のバルトーク「ルーマニア民族舞曲」(管弦楽版)は全6曲からなる10分程の短い曲です バルトークはコダーイとともにハンガリー各地の民謡を収集し研究を進めました。その結果、生まれたのが「ルーマニア民族舞曲」全6曲です 当時のハンガリー帝国はハンガリー、ルーマニアなどを含む大帝国だったのです。演奏を聴くと分かりますが、どの曲も民族色豊かな踊りのための曲です。後半に演奏されるブラームスの「ハンガリー舞曲」と相通ずるものがあります
2曲目のラロ「ヴァイオリン協奏曲第2番」は「スペイン交響曲」と名付けられています 1874年に作曲されサラサーテのヴァイオリンによってパリで初演されました
ワイン・レッドのドレスに身を包まれたソリストの竹澤恭子が指揮者とともに登場します 小柄ながらもダイナミックな広上の指揮で第1楽章が開始されます。すぐに竹澤の鋭い切れ味のヴァイオリンが入ってきます実に奔放な演奏です。ときに指揮者に戦いを挑むかのような姿勢を見せながら自身の感じるラロを表出していきます ストラディヴァリウスが会場一杯に響き渡り、爽快感の残る演奏でした
休憩時にロビーの一角で1㎏はあろうかというチラシの束と格闘していると、そばにいた2人の老紳士の会話が耳に入ってきました
「しばらくでした!」
「やあ、どうも。竹澤さんの演奏は自由奔放でしたね」
「そうですね。あの曲はあまり考えすぎないで、彼女のように思うがままに弾く方がいいと思いますよ」
「私もそう思います。ところで夏休みはどちらかへお出かけになるのですか?」
「はい、バイロイトへ行きます」
「ああ、ワーグナーをお聴きになるんですね。いいですねえ」
「そうです。それと河村尚子さんが結婚するので式に参列するのですよ」
「ああ、ピアニストの河村さんですね ドイツで式を挙げるのですか?」
「そうです。相手はあちらの方なので」
彼らの会話が本当だとすれば人気ピアニスト河村尚子さんは、この夏、ドイツ人と結婚されるということです安倍政権はこの極秘情報を把握しているんでしょうか アメリカだったら、きっと盗聴してます
休憩後、ブラームスの「ハンガリー舞曲集(全21曲)」が演奏されました 生で全曲を聴くのは生まれて初めてです。ブラームスは「ハンガリー舞曲集」に彼自身の作品番号を付けていません。それは、ブラームスがハンガリーのメロディーを編曲したに過ぎないと考えたからです そんな控えめな性格だから、一生クララ・シューマンにプロポーズが出来なかったのだと思います
アンコール・ピースでお馴染みの第1番、あまり演奏される機会のない第2番、オーボエのソロがユーモラスな第3番、哀愁に満ちたメロディーで始まる第4番、ハンガリー舞曲の代名詞のような第5番、指揮者が踊る第6番・・・・・と1曲1曲プログラムに印象をメモしていったのですが、途中で面倒になって止めました ハンガリー舞曲の中で演奏される機会が多いのは第1番~第8番位で、それ以降は滅多に演奏されません。広上は第10番まで演奏し終わったところで指揮台を降り、しばし休憩、第11番から演奏を再開しました
たまには全曲を聴くのもいいのですが、アンコール・ピースを一気に21曲聴くようなもので、若干飽きが来るのも事実です 広上は指揮台の上で踊ったり、蛸のように身体をくねらせたり、飛び上がったりして、聴衆を飽きさせないよう工夫をしていましたが、それにも限度があります
まあ、普段聴く機会のない番号のハンガリー舞曲を聴けたのは良かったと思います