人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「アジアユースオーケストラ」+イッサーリスでドヴォルザーク「チェロ協奏曲」を聴く

2013年08月30日 07時01分08秒 | 日記

30日(金)。昨日は休暇を取って、午前中はマンションの消防設備点検に立ち会い(異常なし)、午後はS市の実家に帰って母の葬儀の残務整理と四十九日の打ち合わせをしました 早いもので通夜から1週間が経ってしまいました 昼のS市はなお夏の暑さでしたが、トンボが飛び交っていて秋の気配を感じました

 

  閑話休題   

 

昨夕、東京オペラシティコンサートホールで「アジアユースオーケストラ東京公演」を聴きました コンサートを聴くのはほぼ2週間ぶりです プログラムは①ウェーバー「魔弾の射手:序曲」、②ドヴォルザーク「チェロ協奏曲」、③シベリウス「交響曲第2番」で、指揮はジェームス・ジャッド、②のチェロ独奏はスティーヴン・イッサ―リスです

アジアユースオーケストラは、中国、香港、台湾、日本、韓国、マレーシア、インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムから選出され、各地での厳しいオーディションを通過した若い演奏家98名から成ります。彼らは香港での3週間のリハーサル・キャンプに続き、3週間のアジア演奏ツアーを組むなど毎夏6週間の活動をしています

 

          

 

毎年、入口で渡される70ページを超える立派なパンフレット(プログラム)は各国ツアー共通の内容で、英語、中国語、日本語で書かれています キャセイパシフィック、SMBC、ペニンシュラ・グループ、フィナンシャル・タイムスなどグローバル・スポンサーのサポートが無ければこのツアーは実現不可能です こういう活動こそ”企業の文化的な活動=メセナ”と言うべきものでしょう

会場は残念ながら7割程度の入りでしょうか。自席は1階21列11番、センターブロック左通路側です 最初に同オケの芸術監督リチャード・パンチェスがマイクを持って登場、若干判りにくい流暢な日本語で次のように挨拶をしました

「アジアユースオーケストラのツアーは今回で23年目を迎えます 春のオーディションで11か国から98名の若い演奏家を選抜しました。ハノイ、シンガポール、中国、香港、台北、日本(大阪~鎌倉)と回り、今回の東京が最後になります。お楽しみください

登場するメンバーを見ると、男女とも上がグレーのシャツ、下が黒のパンツまたはロング・スカートで統一しています 98人のメンバーを数えてみると男59対女39で、なぜか男はメガネ着用が多いようです。コンマスもメガネのインテリ風青年です オケの態勢は左奥にコントラバス、前列は左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴィオリンという対向配置です。コントラバスは8人、チェロは12人います

ビートルズのポール・マッカートニー似のジェームス・ジャッドが登場、さっそく1曲目のウェーバー「魔弾の射手」序曲が始まります 冒頭で管楽器の一部に出遅れがあったようですが、すぐに持ち直しました 相当緊張していたのだと思います。フィナーレの追い込みは興奮を呼びました。すると、後方から「ボー」の声が・・・・・・「ブラボー」とはっきり言わず「ボー」と叫ぶのは東響サントリー定期で自席の後方の席の中年男性です2週間前の読響のコンサートの時も「ボー」を連発していましたが、今回もしっかり存在感を示していました向こうも「また、あいつが来ている」と思っているかも知れません

 

          

 

2曲目はドヴォルザークの名曲「チェロ協奏曲」です。ベルリン・フィルの常任指揮者サイモン・ラトル似のスティーヴン・イッサーリスが登場します 指揮者ジャッドと並ぶと、ポール・マッカートニーとサイモン・ラトルが競演しているような錯覚を覚えます

イッサーリスは演奏中、自分の指使いを一切見ません 目を瞑って上空を見ながらひたすらチェロを奏でます。その音の何と艶やかで美しいことか 彼は完全に曲を把握し切っています。チェロが雄弁にドヴォルザークを語ります

 

          

 

客席はもちろん、舞台上の若手演奏家たちからもアンコールが催促されます 彼らの流儀は足で床を踏み鳴らすのです。イッサーリスは明るい行進曲風の曲を楽しげに演奏、拍手喝采 を浴びましたが、それでも拍手、地鳴らしが止まないので、2曲目は静かな曲を演奏しました。会場は静まり返っています。1曲目でホットにさせて、2曲目でクールダウンを図った憎い演出です 後でロビーの掲示を見ると、1曲目がプロコフィエフの「マーチ」(ピチカート)、2曲目がカタロニア民謡「鳥の歌」とありました。後者は、チェロ演奏のパイオニア的存在パブロ・カザルスが国連で演奏して有名になった曲です

 

          

 

15分間の休憩後はシベリウス「交響曲第2番」です。迫力のある演奏でしたが、演奏者98人はシベリウスを演奏するには若干規模が大きすぎると感じました シベリウスはある意味、透明感が求められると思うのですが、楽器が多いとマスとしての音が大きくなり、その分透明感が失われるような気がします とは言うものの全体的には若さに溢れる清々しい演奏でした

最後に再度パンチェスが登場して、出身国別にメンバーを紹介しました。自分の国を呼ばれたメンバーはその場で立ち上がり、会場や仲間から大きな拍手を浴びました

中国 19人  

香港 12人(インテリ・コンマスも含む)  

韓国 1人(首席チェロの女性)  

インドネシア 3人 

マレーシア 3人  

フィリピン 3人  

シンガポール 3人  

タイ 3人  

台湾 25人  

ベトナム 3人  

次は皆さん、わかりますね、まだ出ていない国・・・・

日本 14人  

そして最後に、イギリスが1人います

ここでポール・マッカートニー、もといジェームス・ジャッドが登場します  

こういう演出はいいですね アジア各国から集まった若者たちが同じ音楽を演奏する そして、国の別に関係なく拍手を送って健闘を讃える。本当に素晴らしいことだと思います 

今日もアジアユースオーケストラを聴きに行きます。今日が彼らAYOの今年最後のコンサートです

コメント
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