16日(火)。昨日の日経夕刊 文化欄に「芸術団体存続へ制度の見直しを 日本フィル・平井理事長に聞く」という見出しの記事が載っていました 「コロナ禍で途絶えていたクラシックの公演が再開へ動き出したが、存続が危ぶまれるオーケストラもある。日本フィルの平井俊邦理事長に現状や支援策などを聞いた」というリードにより、概要次のようなインタビューが紹介されていました
「日本フィルは、7月まで活動が止まると、3億円ほどの収入減が予想される 一方、人件費を中心とした固定費は毎月5000万円程度かかる 仮に8月からソーシャルディスタンスに配慮しながら公演を再開しても年4億円の赤字になる 債務超過になると予想している。現在、活動が停止している状態なので、経営努力のしようがない。できることは金融機関から融資を引き出すことぐらいだ 課題としては、制度上の問題が大きい。多くの楽団が公益財団法人という形態をとっているが、年間の収入と支出をトントンにしなければならない『収支相償の原則』がある 利益を出し、積立てておくことが難しいため、今回のような危機への備えができない 一方、2年連続で純資産が300万円を下回ると、法人資格を失い解散を迫られる 自治体の予算や大きな支援母体に頼らない自主運営の団体は、軒並み解散の危機が迫っている。芸術の危機だ 長期的には抜本的見直しが必要だが、時間がかかる。差し当たって公益財団法人の資格喪失にモラトリアム(猶予期間)を設けてもらいたい コロナの影響で経済が落ち込み、芸術を支援しようとする企業の業績も低迷するだろう。芸術団体の財務改善の道のりは相当長引きそうだ 2年で資格を失うところを4年以上に延ばしてもらいたい。また、無利子無担保の貸付制度の拡充を求めたい。どの団体も1回融資を受けられたとしても、キャッシュフローは1年もつかどうかという程度ではないか 返済期限がなく、実質的に自己資本と看做せる『永久劣後ローン』の文化・芸術団体への活用も検討してほしい。芸術活動はいったん凍結してしまうとどうしてもレヴェルが下がり、やがて死に至る。再開したとしても、活動できなかった間に毀損された芸術性を回復するには相当な時間がかかるものだ だが各団体が生き残らないことにはどうしようもない。日本フィルも近年演奏レヴェルが向上してきていたので、回復には時間がかかるかもしれない。だが存続さえできれば、必ず良い演奏を届けられる コロナ禍の社会ではもちろん文化・芸術団体のあり方も問われるだろう オーケストラでいえば、単独で演奏会を開催し、その収入を支えにしていくもろさ、リスクの大きさが明らかになった 新しい時代を生きるための模索を今から始めなければならない」
平井氏は2007年に日本フィル専務理事に就任し債務を解消した実績があり、14年から理事長を務めています 経営手腕はさすがだと思います
先日のブログにも書きましたが、オーケストラの安定的な経営を担保するためには、現在の公益法人制度の抜本的な改革(『収支相償の原則』の見直し)しかないのではないかと思います しかし、平井氏の指摘のとおり 時間がかかるので、当面の応急処置としては「公益財団法人の資格喪失にモラトリアムを設ける」こと、そして経営が安定するまで「無利子無担保による融資制度の充実を図ること」などの措置が必要だと思います これは日本フィルだけの問題ではなく、新日本フィル、東京交響楽団、東京フィル、東京シティ・フィルをはじめとする自主運営オーケストラに共通の問題です とくに平井氏の最後の問題提起は重要です。「新しい時代を生きるための模索」としては、個々のオーケストラだけでなく、これからは組織を横断した「協同組合的」な取り組みも必要とされるのではないかと思います
ということで、わが家に来てから2085日目を迎え、トランプ米大統領は13日、陸軍士官学校の卒業式で「皆さんは全ての違いの克服して真の結束を果たすという国民共通の目的を成し遂げた模範だ」と強調し、人種差別を巡る抗議デモへの政権への批判の対応に米軍内でも批判が強まっていることに配慮し、関係修復を探った というニュースを見て感想を述べるモコタロです
普段の言動から どれだけの卒業生がトランプの言うことを信用しているか疑問だ
昨日、夕食に「ポークカレー」と「生野菜サラダ」を作りました 何となく月曜日にカレーが多いような気がします
ツイッターを見ていて、新日本フィルの第2ヴァイオリン首席・吉村知子さんが5月末で退団したことを知りました 本人のツイートによると新日本フィルには21年半在籍していたとのことで、退団はコロナで大変になる前から決まっていたそうです ツイッターには2月28日にトリフォニーホールで開かれた「ルビー・コンサート」の写真が紹介されていますが、この時の演奏が、新日本フィルのコロナ禍による休演前の最後となり、私にとっても彼女の演奏を聴いた最後となりました
ところで、吉村さんと言えば忘れられない出来事があります 2000年代はじめの頃、小澤征爾がウィーン国立歌劇場管弦楽団の音楽監督に就任したばかりの頃だったかもしれません 帰国して新日本フィルを振ることになり、定期会員向けの公開リハーサルがトリフォニーホールで開かれました プログラムはドヴォルザーク「交響曲第7番」です。第2ヴァイオリンの首席には(多分 入団したての)吉村さんがスタンバイしていました 小澤氏の指揮で演奏が始まりましたが、演奏の途中、なぜか吉村さんが急にクスクス笑い出したのです 小澤氏が指揮を止め「君、何が可笑しいの?」と訊いても、彼女はただクスクス笑ってばかりで答えません 演奏が再開されても彼女は思い出し笑いをして、なかなか身が入らない様子です。何度か小澤氏が「そんなに可笑しい?」と訊いたりしましたが、クスクス笑いが止まらないので、とうとう小澤氏は諦めたようでした 笑いが止まらないのは①大金が転がり込んで笑いが止まらないか、②何かが可笑しくて笑いが止まらないかのどちらかですが、②であることは明らかです 天下の小澤征爾を前に笑いが止まらない吉村知子 彼女はいったい何が可笑しかったのだろうか? 今なお不思議でなりません
吉村さんは、これからも新日本フィルと室内楽で一緒に演奏する機会があるそうです。これからも頑張ってほしいと思います
新日本フィルの第2ヴァイオリン奏者といえば、篠原英和さんも5月末を持って退団されました 篠原さんは、長い間、新日本フィルの「楽員プロデュースによる室内楽シリーズ」で進行役を務め、原稿なしでキッチリ15分で話を収める内容充実の名解説ぶりに、私は「トークの天才」と名付けたほどです 機会があれば(フェースガードして)飲みたいものです
昨日、6月26日(金)午後7時からサントリーホールで開催予定の「東京交響楽団 第681回 定期演奏会」の座席再指定を取りました これは、新型コロナウイルス感染防止の観点から、客同士のソーシャル・ディスタンシングを確保するため、現行の会員席を無効にして、新たに座席の前後左右を1席ずつ空けた座席配置(東京オリンピックのエンブレムと同じ「市松模様」の型)とすることになったためです
午前11時から電話受付開始でしたが、やっと繋がったのは12時13分頃でした 私の現在の定期会員席は1階後方の通路側ですが、幸いにもその席の通路を挟んで向かい側の通路側席が確保できました これほど良い席が取れるとは思ってもいませんでした。超ラッキーです
プログラムは①ベートーヴェン「プロメテウスの創造物」序曲、②同「ピアノ協奏曲第3番」、③メンデルスゾーン「交響曲第3番”スコットランド”」で、②のピアノ独奏=田部京子、指揮=飯守泰次郎です
私にとってはコロナ禍明け後 初のコンサートになります。今から楽しみです