人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイング、リヒャルト・シュトラウス「ナクソス島のアリアドネ」を観る ~ リーゼ・ダーヴィドセン、ブレンダ・レイ、イザベル・レナードにブラボー!

2022年04月27日 07時20分04秒 | 日記

27日(火)。わが家に来てから今日で2663日目を迎え、トランプ前米大統領は25日、米起業家イーロン・マスク氏によるSNSのツイッターの買収合意を巡り、買収後にアカウントを復活しても「私はツイッターには行かず、トゥルース(新たなSNSのトゥルース・ソーシャル)に残る」と表明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     フェイクのトランプだから信用できないけど  何がトゥルース(真実)だ 笑わせる

 

         

 

昨日、夕食に「サーロインステーキ」を焼きました あとは「卵スープ」です。サラダ用の野菜は別皿にすると場所を取るので、ワンプレートに盛り付けました ステーキにはワインです

 

     

 

         

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、リヒャルト・シュトラウス「ナクソス島のアリアドネ」(休憩含め2時間55分:ドイツ語)を観ました これは今年3月12日にニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です キャストはアリアドネ=リーゼ・ダーヴィドセン、ツェルビネッタ=ブレンダ・レイ、作曲家=イザベル・レナード、バッカス=ブランドン・ジョヴァノヴィッチ、音楽教師=ヨハネス・マルティン・クレンツレ、執事長=ヴォルフガング・ブレンデル(トーマス・アレンの代役)、管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、指揮=マレク・ヤノフスキ、演出=エライジャ・モシンスキーです

 

     

 

オペラ「ナクソス島のアリアドネ」はリヒャルト・シュトラウス(1864ー1949)がフーゴー・フォン・ホフマンスタールの台本に基づいて1911年から翌12年にかけて作曲(第1版)、1915年から翌16年にかけて改訂(第2版)、1912年にシュトゥットガルトで初演(第1版)、1916年にウィーンで初演(第2版)されました 第1版はモリエールの「町人貴族」に続けて上演、第2版は新たに作曲した序曲を加えた形となっています

舞台は大金持ちの広間。屋敷の主人の命により、豪華な舞踏会の後、若い作曲家によるオペラ「ナクソス島のアリアドネ」の上演が予定される 作曲家の師匠・音楽教師は、その後にイタリア風の道化芝居が上演されることを知り、不安を覚える 準備が進む中、執事長が「夜9時の花火に間に合うよう、オペラと道化芝居を順番にではなく、同時に上演するように」という主人の命令を伝える 作曲家は周りに当たり散らすが、喜劇一座を率いる踊り子のツェルビネッタは「舞台では移り気な娘を演じているけど本当は寂しい」と胸の内を告白する 2人は親密な雰囲気になる 作曲家は「音楽は神聖な芸術」と一旦は気を取り直すが、傍若無人に振る舞う道化役者たちを前に再び絶望してしまう しかし、舞台の幕は上ってしまう(以上 序幕=プロローグ)。

舞台は荒れ果てたナクソス島の岩山。3人の妖精が恋人テセウスに棄てられたアリアドネの不運な身の上に同情する 4人の道化たちはアリアドネを何とか慰めようと試み、ツェルビネッタも「人生と愛なんて移りゆくもの」と歌うが、取り合ってもらえない そこへ舟が漕ぎ寄せる。アリアドネは死神がやってきたのだと思い、自分を舟に乗せてほしいと懇願する。しかしそれは若い愛の神バッカスで、「自らと我がために生きよ」と歌い、アリアドネに口づける 新たな愛を胸に宿し、甘美な歌に身を委ねる2人 この光景を眺めていたツェルビネッタも、「新しい神がやってくると、私たちは黙って身を任せてしまう」と、ことの成り行きを満足げに見つめる(以上 本編=オペラ)。

 

     

 

本編に入る前にMETのピーター・ゲルブ総裁が画面に登場し、ロシアのウクライナへの侵略について批判するとともに、犠牲になった市民への哀悼の気持ちを示し、ウクライナ支援のための公演を近々開催する旨をアナウンスしました 次いで、MET公演(合唱団の衣装から3月下旬に上演された「ドン・カルロス」の公演と思われる)の際にMET合唱団によって歌われたウクライナ国家の映像が流されました こういうところはスポンサー企業や個人寄付者をはじめとする”外圧”が厳しいMETらしい俊敏な対応だと思います 新国立劇場でこういう事象は起こりません

次いで、オーケストラの様子が写し出されますが、オケは下手にマスク着用の弦楽器奏者、上手にノーマスクの管楽器奏者が向かう形で配置されています これは言うまでもなく狭いオーケストラピット内での新型コロナ感染拡大対策です

実はこのオペラは解りにくいという評判(?)があったので、あらかじめカラヤン指揮フィルハーモニア管弦楽団、シュワルツコップ他によるCDで予習しておきました しかし、音としては入ってくるものの、映像が浮かんできません。これがCDの宿命です

 

     

     

 

前半の「序幕」では、執事長が「夜9時までに、オペラと道化芝居を順番にではなく、同時に上演するように」という主人の命令を伝えたことに伴う作曲家と喜劇一座の大混乱が描かれますが、ここでは、作曲家を歌ったイザベル・レナードの一人舞台でした 1982年生まれのメゾソプラノですが、凛としたたたずまいと芯のある歌唱で聴衆を魅了しました 幕間のインタビューでマシュー・ポレンザーニから「ナクソス島のアリアドネ」の作曲家の役柄について訊かれたイザベル・レナードは「とにかく物語のテンポが速いので、自分の役柄を歌い演じているので精一杯という感じです」と答えていましたが、まったくその通りで、終始慌ただしく物語が進行していき、いつの間にか終わっていたという感じでした

後半の「オペラ=ナクソス島のアリアドネ」は、悲劇と喜劇が同時に進行していくというストーリーです ここでは、アリアドネを歌ったリーゼ・ダーヴィドセンがドラマティックな歌唱で存在感を示しました 1987年ノルウェー生まれのソプラノですが、メゾソプラノからソプラノに転向したそうです。アリアドネが被るティアラ(王冠)は1962年に製作され、歴代のアリアドネ歌手が受け継いで被ってきたといいます これについてリーゼ・ダーヴィドセンはインタビューで「憧れのジェシー・ノーマンが被ったティアラを被ることができて嬉しい」と興奮気味に語っていました。METの歴史を感じます

ヒロインに負けず素晴らしかったのはツェルビネッタを歌ったブレンダ・レイです アメリカ・ウィスコンシン州出身のソプラノですが、コケティッシュな存在感が際立っているうえ、超高音部も無理なく歌っているように見せる超絶技巧の持ち主です

リーゼ・ダーヴィドセンやブレンダ・レイが息の長いアリアを歌い終わると、会場からブラボーの嵐がステージに押し寄せます コロナ禍のもと、日本では考えられない光景ですが、映像を観ると聴衆はマスクを着用しています どうやらMETではマスクをしていればブラボーを叫んでも許されるようです

指揮をとったマレク・ヤノフスキは1939年ポーランド・ワルシャワ生まれのドイツ人ですが、妥協を許さない引き締まった音楽づくりで集中力に満ちた演奏を引き出していました

演出では、後半の「オペラ」で3人の妖精が登場しますが、上の写真のように高さ3メートルくらいありそうな女性歌手です もちろん、歌手は櫓の上に乗っており、超ロングドレスの中に役者が入っていて手動で動かすわけですが、存在感は抜群です

ご一緒したKiriokaさんが、「3人の妖精って、モーツアルト『魔笛』の『3人の侍女』と同じ役割みたいですね」と鋭い指摘をしていましたが、あるいは『3人の童子』かもしれません リヒャルト・シュトラウスは「ばらの騎士」をはじめとして常にモーツアルトを意識していたので、「3人の妖精」はモーツアルト「魔笛」へのオマージュなのかもしれません

CDを聴いていただけでは内容がよく把握できませんでしたが、映像としてオペラを観て初めて理解できました やっぱりオペラは目で観て耳で聴くものだ(とくに馴染みの薄い曲は)とあらためて思いました

帰りがけに新宿ピカデリー近くのイタリアン・レストラン T で生ビールとパスタ&ピザのランチをいただきながら、オペラの話を中心に楽しく歓談しました 次はヴェルディ「ドン・カルロス」を観たいと思います

 

     

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