28日(木)。月刊音楽祭は27日、「ネトレプコが約2か月ぶりにオペラの舞台に、4回目の声明でロシアでの出演を否定」という記事を配信しました 内容は次の通りです
「モンテカルロ歌劇場の『ルイザ・ミラー』の公演で約2か月ぶりにオペラの舞台の復帰したソプラノ歌手アンナ・ネトレプコが25日、自身の Facebook への投稿で、ロシアで出演する予定はないとする声明を出した これまでの報道では、古巣マリインスキー劇場が5月から7月にかけて行う『白夜の星音楽祭』に出演すると見られていた 声明では、新しいマネージメントについても明らかにしている。ロシアのウクライナ侵略が始まって以来、ネトレプコが声明を出すのはこれが4度目。3月30日に出した声明では、それまでのプーチン政権との関係については曖昧だったが、3回目は一歩踏み込み、ウクライナ侵略によって生じた戦争を非難、また、大統領との関係についても否定した これに対しロシア側は、ノボシビルスクの国立オペラ・バレエ劇場が彼女の出演を取り止め、下院議長が『祖国の敵』とネトレプコを非難していた 今回の『ルイザ・ミラー』は4月24日に初日を迎えたプロダクションで、マリア・アグレスタの代役としての起用。カーテンコールでは、ステージ上にウクライナ国旗が写し出され、ネトレプコも他の出演者たちとその下に並んで拍手を浴びた ロシア側のさらなる反発も予想されるが、まだ動きはない この後、スカラ座は5月にリサイタルを予定、夏のヴェローナ音楽祭への出演も発表されている」
ロシアのウクライナへの侵略戦争が終わり、ロシアが自らの過ちを認めない限り、もう二度とネトレプコがロシアの歌劇場で歌うことはないでしょう ロシアの聴衆にとっては残念なことですが、それ以外の世界のオペラ・ファンにとっては喜ばしいことです 一日も早く米メトロポリタン歌劇場で歌うことを祈るばかりです
ということで、わが家に来てから今日で2664日目を迎え、米ニューヨーク州の裁判所は25日、「トランプ・オーガニゼーション」が資産価値を不正に操作した疑惑を民事事件として調査していることに関連し、州司法長官や裁判所による書類提出命令に応じないのは法廷侮辱罪に当たるとして、トランプ前米大統領に対し、書類提出まで1日1万ドル(約128万円)の罰金を科すと決定した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
法廷侮辱罪で罰金を科せられるなんて 米国大統領史に汚点を残す 情けない事態だ
昨日、夕食に「赤魚の粕漬け焼き」「マグロの山掛け」「生野菜サラダ」「冷奴・ウニ醤油かけ」「舞茸の味噌汁」を作りました 「赤魚」と称して売っているけど、いったい正体はなんだ? 赤尾鯛ではないし
西村賢太著「小銭をかぞえる」を読み終わりました 西村賢太は1967年東京生まれ。中卒。2011年「苦役列車」で芥川賞を受賞 「どうで死ぬ身の一踊り」「二度はゆけぬ町の地図」「暗渠の宿」ほか著書多数
26日のブログで西村賢太の芥川賞受賞作「苦役列車」をご紹介したばかりですが、2冊目をご紹介します この本には「小銭をかぞえる」の前に「焼却炉行き赤ん坊」を収録しています
「焼却炉行き赤ん坊」
冒頭、主人公である「私」は次のように自己紹介しています
「殊更に胸を張って言える話でもないが、私はこれまで女性から、余り、と云うか、殆ど好意や愛情と云ったものをもたれたためしがなかった 無論、それにはそうなるだけの理由がこちら側にあることも確かで、それは私の場合だとまず容姿が醜いとか閨事がしつこいとか、或いは貧乏人だとか中卒だとか多汗症だとか、いろいろにかぞえあげられるのだが、加えて持って生まれた性質がひどく短気にできている上、やたらと弱い者苛めを好む癖のある点なぞも、多分に自らの野暮を増幅しているきらいがあるようだった 頭に血がのぼると、女性にも構わず手を上げてしまう悪性は、その昔、父親がよく母親を殴りつけていた光景を見慣れてきた影響なのかも知れぬ・・・」
この自己分析通り、主人公の私=西村賢太は同棲している女性に対し酷い仕打ちをします 子供が出来ない女性が犬のぬいぐるみを買って大事にしているのですが、女性が不注意で「私」が大事にしていた古書を傷つけてしまった時、「私」は逆上して、ぬいぐるみをズタズタに引き裂いてゴミ袋に放り込んで、マヨネーズやケチャップをかけてしまいます この小説の最後は「もし、これで逆上して、こちらの虚を衝く行動をとってきたなら、そのときは女を連れて自滅共倒れの道をゆくまでだ、と心中で叫びながら。・・・」です。もう救いようがありません
「小銭をかぞえる」
「私」は個人的に崇拝する藤澤清造という作家の全集本を編纂するため、同棲相手の女性の実家から300万円を借り、それでも足りずに印刷所に渡す前金としてさらに50万円を女性に無心します 本当は30万円で足りるのだが、すこし贅沢気分を味わいたいと思って多めに吹っかけていたのです ところが、女性から印刷所に支払った領収書を出せと言われると、逆上して彼女を殴りつけるのです まさにDVの最先端を行く男と言ってもいいでしょう たまには外食でもしようと外出しますが、お金のことで痴話げんかになり、「私」は先に自宅に戻り寿司を3人前注文して一人で平らげ、それに逆上した女性が小銭を集めてピザを注文します。玄関口で小銭を配達人に渡す様子を見て、「私」は「薄みっともねえな。これでこの家じゃ、出前の代金を全部ジャラ銭で払ってくるとの評判が立ってしまうなあ。珍妙な格好をした若作りのおばさんがよ、十円玉抱えてでてきますってな。おまえのおかげで、ここもすっかり変わり者の巣窟扱いにされちまうよ」と言い放ちます まさに「焼却炉行き赤ん坊」の冒頭で自己紹介した「私」そのものの自己中のDV男です 同棲女性もよくそこまで耐えているな、と同情を禁じ得ません 主人公を一言で言えば「全女性の敵」です
こういう本が「芥川賞」受賞作家による作品として広く読まれているのは驚くべきことです