人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

小林研一郎 ✕ 松田華音 ✕ 東京フィルでラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」、ドヴォルザーク「交響曲第9番」を聴く ~ 響きの森クラシック・シリーズ:カーテンコール時に拉致事件も

2024年01月21日 00時01分45秒 | 日記

21日(日)。わが家に来てから今日で3294日目を迎え、11月の米大統領選で共和党候補者指名獲得を目指すヘイリー元国連大使は19日、トランプ前大統領が党候補に決まった場合、副大統領候補になる考えはないと明言した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ヘイリーさんは トランプが大統領の時 どんな悪事を働いたか知ってるから 当然だ

 

         

 

昨日、文京シビックホールで「響きの森クラシック・シリーズ」第78回演奏会を聴きました プログラムは①ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18」、ドヴォルザーク「交響曲第9番 ホ短調 ”新世界より”」です 演奏は①のピアノ独奏=松田華音、指揮=コバケンこと小林研一郎です

 

     

 

看板通り会場は満席です コバケン ✕ カノンですから当然です

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東京フィルの並び。コンマスは近藤薫です ヴィオラのトップには須田祥子、ホルンのトップには高橋臣宣という日本のオケを代表するアーティストがスタンバイしています 考えてみれば、東京フィルは新国立オペラのオーケストラ・ピットに入るのは、東京交響楽団が入る1~3月を除くオペラ公演なので、この間は人的に比較的余裕があるのかもしれません

1曲目はラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1900年から01年にかけて作曲、1901年モスクワで初演され大成功を収めました よく知られているように、ラフマニノフは1890年代末期に「交響曲第1番」の初演が大失敗に終わるなど、作曲が出来ないほどのスランプに陥っていました 彼は1900年に精神科医ニコライ・ダーリ博士の暗示療法を受け、立ち直ったと言われています そのためこの曲はダーリ博士に献呈されています 第1楽章「モデラート」、第2楽章「アダージョ・ソステヌート」、第3楽章「アレグロ・スケルツァンド」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の松田華音は香川県高松市生まれ 2002年、6歳でモスクワに渡り、名門音楽学校のモスクワ市立グネーシン記念中等・高等音楽専門学校で学び、2013年2月に同校で外国人初の最優秀生徒賞を受賞 2014年に同校を首席で卒業し、同年9月モスクワ音楽院に日本人初のロシア政府特別奨学生として入学、2019年首席で卒業。2021年6月モスクワ音楽院大学院修了 これまで国内外のオーケストラと共演を重ねています

松田華音が鮮やかなローズレッドの勝負衣装で登場、ピアノに向かいます

松田のソロにより教会の鐘を模した和音が力強く奏でられ、コバケン ✕ 東京フィルの重厚感溢れる演奏が続きます テンポは一貫してゆったりしており、ロマンティシズムの極致を行く雄大な音楽が繰り広げられます 松田のピアノはどこまでもクリアです 第2楽章では、いっそう緩やかなテンポによる演奏が続き、甘美なメロディーが奏でられます フルート、クラリネットがソリストを盛り立てます 第3楽章に入ると一転、テンポが上がり、リズミカルで軽快な演奏が展開します ピアノ・ソロとオケが混然一体となって展開したフィナーレは圧巻でした

松田華音といえば、2015年4月7日に東京オペラシティコンサートホールで「CD発売記念ピアノ・リサイタル」を聴きました 当日のプログラムはほぼCDと同じ内容でしたが、この日に聴いたシューマン/リスト「献呈」にすっかり魅了され、CDで何度も繰り返し聴きました 当日の感想は翌日 8日付のブログに書きましたので、興味のある方はご覧ください    下の写真は終演後のサイン会でサインをもらったCDです

 

     

     

 

コンサートの話に戻ります 満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されます アンコール(ラフマニノフ?)が演奏され、その後のカーテンコールの時、突然 センター右側の通路をステージに向かって走っていく男性の姿が見えました    いったい何があったのか?と思った次の瞬間、今度は右端の通路と左端の通路をアテンダントの女性が凄いスピードでステージに向かって走っていくのが目に入りました    すると、男性が指揮台の手前まで来たところで、右側の通路から走ってきた女性に腕を掴まれ、何やら説得され腕を取られて引き上げていきました どうやら、男性(30代位か?)は松田華音に何かプレゼントを渡そうとしたか(その割には花も手提げ袋も持っていなかったようだが)、握手を求めにいったか、どちらかだと思われます 私が驚いたのは、男性は足が速かったけれど、彼に勝るとも劣らないスピードで男性の所まで走り、彼を拉致した女性アテンダントの足の速さと素早い行動力です ハイヒールなんか履いていたらこんな俊敏な行動は取れません 彼女たちはわれわれが知らないところで、演奏者に危害を与える恐れがある人物を排除するため、あるいは、まだコロナ禍が終息していない中、許可なく演奏者に近づこうとする観客を排除するため、普段から訓練を受けているのかもしれない、と思った”逮捕劇”でした

拉致された男性は「道路交通法」の「コンサート会場においては 速いスピードで走ってはならない」という規定により「スピード違反」で東京地検に送検されました・・・嘘です

ちなみに、松田華音と握手をするためには、彼女のCDを10枚購入し「握手券」を手に入れて、長い行列に並ばなければなりません・・・これも嘘です

 

 

     

 

プログラム後半はドヴォルザーク「交響曲第9番 ホ短調 ”新世界より”」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)が米ニューヨークの私立ナショナル音楽院の院長として活躍していた1893年に作曲、同年ニューヨークで初演されました 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ・モルト」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「スケルツォ:モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ・コン・フォーコ」の4楽章から成ります

学生時代から続くクラシック音楽人生の中で、私はいったい何回この曲を聴いてきただろうか?? 「世界中のコンサートホールで最も多く演奏される作品は『新世界より』である」とどこかで読んだ記憶があるが、それだけに他の作品よりも多く聴いてきたのかもしれない・・・・と、しばし感慨に耽りました

コバケンの指揮で第1楽章に入ります 何より高橋臣宣のホルンが素晴らしい そして全体的な音楽の流れが自然です かつてコバケンの指揮する演奏を聴いた時、「あざとさ」を感じることがしばしばありましたが、最近はそれが全く感じられなくなりました 第2楽章はイングリッシュ・ホルン(コーラングレ)の独壇場です オーボエ、クラリネット、フルートが素晴らしい演奏を展開しますが、どんなに頑張っても、いいところはすべてイングリッシュ・ホルンの「家路」がかっさらっていきます この日の演奏も最高に素晴らしかったです 誰? またこの楽章の終盤における弦楽トップによる室内楽的な演奏が透明感に溢れ、しみじみと素晴らしい演奏でした 第3楽章では木管楽器群の演奏が冴え、固いマレットで打ち込まれるティンパニが小気味よく響きました 第4楽章冒頭は、”鉄道オタク”のドヴォルザークらしい音楽で、まさに蒸気機関車が発進する時の音楽そのものです 金管楽器が咆哮し、木管楽器が歌い、打楽器が炸裂し、弦楽器が渾身の演奏を展開します 終結部は管楽器の伸ばした音が弱まりながら消えていき余韻を残します

大きな拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されます いつものように、コバケンがマイクを持って挨拶します 「あけましておめでとうございます」から始まり、「アンコールを演奏しようと思ったのですが、やりません いえ、やるんですが、『新世界より』の後に 別の曲を演奏すると、ドヴォルザークをお忘れになってしまうのではないかと心配です そこで、第4楽章の終結部をもう一度演奏します」とアナウンスして、アンコールの演奏に入りました

コバケンの「(アンコールとして)別の曲を演奏すると、ドヴォルザークをお忘れになってしまうのではないかと心配です」という発言は、すごく重要な意味を含んでいます ピアニストのアファナシエフは「絶対アンコールはやらない」と宣言していますが、その理由は、「プログラムに掲げた作品を聴いてほしいというのが本来の目的であるから」であり、「アンコールを演奏すると、プログラムに掲げた演奏が忘れられるから」です 時々、「アンコールが一番良かった」という感想を耳にすることがありますが、それはコンサートが大失敗に終わったことを意味しています 「それでは、いったい本番で何を聴いたの?」という話です あるいはコバケンも、「アンコールのダニーボーイが良かった」とかいう無邪気な声を、あちこちで聞く機会が少なくなかったのかもしれません 「お客様は神様です」的なサービス精神はコバケンのトレードマークのようなものですが、あまりやり過ぎると逆効果になる、と気づかれたということでしょうか

 

     

コメント
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