人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ジョン・アダムズ ✕ エスメ弦楽四重奏団 ✕ 東京都交響楽団でアダムズ「アイ・スティル・ダンス」「アブソリュート・ジュスト」「ハルモニーレーレ」を聴く

2024年01月19日 00時50分29秒 | 日記

19日(金)。わが家に来てから今日で3292日目を迎え、時事通信が18日、大手メディアで唯一の個別面接方式で12~15日に実施した世論調査の結果を発表したが、自民党支持率が前月比3.7ポイント減の14.6%となり、1960年の調査開始以来で、野党だった期間を除くと最低になったと報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     パー券を巡る裏金問題が影響しているようだが 自民党の体質だ 派閥解消しなきゃ

 

         

 

昨日、夕食に「肉じゃが」「生野菜とアボカドのサラダ」「白菜の味噌汁」を作りました 肉じゃがは前回作った時にちょっとしょっぱかったので、今回は醤油の割合を加減したら、ちょうどよく美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールで東京都交響楽団「1月度Bシリーズ定期公演」を聴きました オール「ジョン・アダムズ」プログラムで、①アイ・スティル・ダンス、②アブソリュート・ジュスト、③ハルモニーレーレです 演奏は②の弦楽四重奏=エスメ弦楽四重奏団、指揮=ジョン・アダムズです

ジョン・アダムズ(1947~)はハーヴァード大学で作曲を学び、ボストン交響楽団などでクラリネット奏者を務めたのち、サンフランシスコに拠点を移して作曲活動を続けました オペラ「ニクソン・イン・チャイナ」はMETライブビューイングでも上映されました 指揮者としては、ベートーヴェン、モーツアルトからストラヴィンスキー、エリントンに至るまで広いレパートリーにより世界の主要オーケストラを指揮しています

 

     

 

オケは16型の大編成で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの都響の並び コンマスは元東響コンマスの水谷晃です 久しぶりに彼が定位置に座っているのを見ました。このまま都響に居ついちゃえばいいのに

1曲目はジョン・アダムズ「アイ・スティル・ダンス」の日本初演です この曲は2019年に作曲されました

アダムズの指揮で演奏に入りますが、本人が「プログラム・ノート」に書いているように、「特定のダンスというよりも、トッカータとの共通点が多い」曲想で、約8分のこの曲をひと言で表せば「疾風怒濤の音楽」です 通常、単一楽章の作品は急ー緩ー急という組み立てが多く見られますが、この曲は、いつ「緩」のテンポが現われるかと待ち受けていても高速テンポは止まりません それどころか、途中から より速くなっていきます    これには度肝を抜かれました  都響はアダムズの精力的な指揮によりエネルギッシュな演奏を繰り広げました

2曲目は「アブソリュート・ジュスト」です この曲は2011年に作曲されました   曲のタイトルは「徹底的な悪ふざけ」という意味で、アダムスに言わせれば「パロディ」です   編成は「弦楽四重奏+オーケストラ」という珍しいものです

オーケストラが幅広く扇型に拡がるなか、エスメ弦楽四重奏団の4人がその手前に立奏(チェロを除く)でスタンバイします    左から第1ヴァイオリン=ペ・ウォンヒ、第2ヴァイオリン=ハ・ユナ、ヴィオラ=ディミトリ・ムラト、チェロ=ホ・イエウンです   4人は揃って電子楽譜を使用します

アダムズの指揮で高速テンポの演奏に入りますが、しばらくすると、ベートーヴェンの「第九」の第2楽章「スケルツォ」のメロディーが表われたり、交響曲第8番のテーマが登場したり、極めつけはエスメ弦楽四重奏団によりベートーヴェン「弦楽四重奏曲第16番」の第2楽章「ヴィヴァーチェ」のスケルツォがパロディーとして現われたりして、楽しいことこの上ない音楽です 弦楽四重奏とオーケストラの共演というと、カルテットがオケに埋もれてしまうように思いがちですが、アダムズの作曲技法とエスメ・カルテットの技巧的でエキサイティングな演奏が相まって、見事に調和した音楽として迫ってきました その後もべート―ヴェンの「大フーガ」の断片などが現われては消え、最後はクライマックスを築くのではなく、脱力して静かに終わるのも”粋”で良かったです

大きな拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが5回(誤解?)繰り返され、エスメ弦楽四重奏団はベートーヴェン「弦楽四重奏曲第13番 変ロ長調 作品130」から第2楽章「プレスト」を鮮やかに演奏、再び満場の拍手を浴びました

 

     

 

プログラム後半はジョン・アダムズ「ハルモニーレーレ」です この曲は1984年から85年にかけて作曲されました タイトルは「和声の書」「和声論」と訳せます ①第1楽章、②アンフォルタスの傷、③マイスター・エックハルトとクエッキーの3つの楽章から成ります

この作品の解説をジョン・アダムズ自身が書いていますが、現代音楽の原点とでも言うべきシェーンベルクについて、彼は次のように書いています

「シェーンベルクは私にとって、どこかねじれ歪んだ存在でもあった 私はシェーンベルクという人物を尊敬し、畏怖さえ感じていたけれど、12音音楽の響きを心底嫌っていたことを正直に認めよう (中略)。シェーンベルクとともに「現代音楽の苦悩」は誕生し、20世紀にクラシック音楽の聴衆は急速に減少したことは周知の通りである

この文章を読んで、私は彼に親近感を覚え、アダムズが大好きになりました

この曲は、記憶に間違いがなければすでに一度聴いています 指揮者が誰でオケがどこだったか全く覚えていませんが、聴いた覚えがあります しかし、今回は作曲者自身の指揮による演奏なので格別の感慨がありました 都響はこの曲でもアダムズの精力的な指揮に導かれ、管楽器も打楽器も弦楽器も集中力に満ちたアグレッシブな演奏を展開しました どの楽器の誰が良かったーというレヴェルではなく、オーケストラ総力でアダムズの音楽に対峙し、素晴らしい成果を残しました

昨年の3月度定期におけるコパチンスカヤによるリゲティにしても、今回のジョン・アダムズの一連の作品にしても、都響のチャレンジ精神は素晴らしいと思います 現代音楽の中にも、”ちゃんと聴ける”音楽があり、十分楽しむことが出来ることを証明しています こうした進取の精神は他のオーケストラも見習うべきだと思います

都響がこの公演に向けて打ち出したキャッチフレーズは「これは事件だ」でした 幸い本公演では”演奏事故”もなく、無事に”事件”を終えることが出来ました 「過去のクラシック音楽に限らず、同時代の作曲家の作品もより多く聴くべきだ」と言うとき、「ジョン・アダムズこそ最適な音楽だ」と思ったコンサートでした

 

     

     

コメント
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