人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

チョン・ミョンフン+東京フィルでマーラー「交響曲第1番」他を聴く

2015年10月21日 07時15分57秒 | 日記

21日(水),わが家に来てから389日目を迎え,居間を散歩するモコタロです

 

          

           パソコン 今日も動いたね お陰で僕も登場できるし

 

  閑話休題  

 

昨夕,サントリーホールでチョン・ミョンフン指揮東京フィルのコンサートを聴きました これは「サントリーホール・スペシャルステージ2015」の一環として開かれたもので,日韓国交正常化を記念したコンサートです.昨日に続いて第2日目です プログラムは①ヴェルディのオペラ「ラ・トラヴィアータ」第2幕から抜粋,②マーラー「交響曲第1番ニ長調」で,①のソプラノは天羽明恵,バリトンは甲斐栄次郎です

 

          

 

自席は1階11列15番、左ブロック右通路側です。会場は前日のソウル・フィルの時よりも入りが少ないようですが,それでも7~8割方埋まっているでしょうか

オケの面々がスタンバイし,コンマス・三浦章宏の合図でチューニングが行われます チョン・ミョンフンが登場し,1曲目,ヴェルディの歌劇「ラ・トラヴィアータ}(椿姫)の序曲が開始されます.これ程繊細な音で始まる序曲も少ないでしょう.このオペラの結末を暗示しています

序曲が終わると,ステージ左袖から白と淡い赤をベースにしたドレス(椿姫をイメージしている?)に身を包まれた天羽明恵が登場し,第1幕で歌われるヴィオレッタのアリア「ああ,そはかの人か~花から花へ」が歌われます この人はヴィオレッタに成りきって歌います 美しいソプラノです.ここで気が付いたのですが,チョン・ミュンフンは楽譜を見て指揮をしています.これは極めて珍しいことです もちろん,オペラの伴奏ですから楽譜があるのが当たり前と言えばそれまでですが,私はかつて,彼が演奏会形式でオペラを上演したのを聴いた時は,オペラなのに楽譜がありませんでした.それはぶったまげました

さて,聴衆の拍手がつなぎ役となって,天羽が退場,代わりにバリトンの甲斐栄次郎が登場します ヴィオレッタの恋人アルフレードの父ジェルモンが第2幕で歌う「プロヴァンスの海と陸」を朗々と歌い上げます この曲はバリトンが映える曲です

また聴衆の拍手がつなぎ役となって,今度は2人一緒に登場しますが,天羽はグリーンを基調としたドレスに”お色直し”しての登場です 華やかなパリの社交場から郊外の田舎に移ったヴィオレッタの姿をドレスで表現したのだと思います 二人は第2幕の二重唱「天使のように清らかな娘」を表現力豊かに歌い上げます この曲は,息子と別れるように迫るジェルモンと,それに抵抗するものの最後には受け入れるヴィオレッタの心の動きを表していますが,とくに天羽のヴィオレッタは迫真の演技のもと切々と”道を踏み外した女”を歌い上げ,聴衆の心を鷲づかみしていました

 

          

 

休憩後はマーラーの「交響曲第1番ニ長調”巨人”」です オケが拡大しフル・オーケストラで臨みます.第1楽章では,舞台上で演奏する管弦楽とステージ左袖奥で演奏するトランペットとの会話が印象的です 楽章の終結部で,チョン・ミョンフンはオケを煽り立て息つく間も持たせません 第2楽章では力強い低弦の響きと管楽器の咆哮が印象に残ります

第3楽章冒頭は,コントラバスの独奏で民謡「フレール・ジャック」のメロディーが奏でられ,切れ目なく第4楽章「嵐のように」に突入します.チョン・ミュンフンは指示通り「嵐のように」オケを煽り立て管弦楽の魅力を最大限に引き出します 終盤ではマーラーの指示通り,ホルン8人を立たせて演奏させます.フィナーレの畳みかけは凄まじいものがありました 最後の音が鳴り終るや否や,会場一杯の拍手とブラボーの嵐です 会場のそこかしこでスタンディング・オベーションが見られました

ここで,チョン・ミョンフンの指揮を振り返ってみると,テニスをやったことがある人は分かると思いますが,彼はテニスにおけるスイングと同じことを指揮でやっているように見受けられます テニスでは,相手のボールを待ち構えている時はグリップを軽く握ってスタンバイします.しかし,ボールが飛んできて,それを打ち返そうとするときは,その瞬間にグリップを強く握りラケットを振り抜きます チョン・ミョンフンの指揮をみていると,通常は肩の力を抜いて指揮しているのが,いざフォルテに移るときは瞬間的に力を込めてタクトを振り切っているように見えるのです

久しぶりにチョン・ミョンフンの指揮でマーラーの交響曲を聴きましたが,相変わらず緊張感に満ちた瞬発力を感じさせる指揮ぶりでした

 

          

 

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チョン・ミョンフン+ソウル・フィルでブラームス「交響曲第4番」他を聴く

2015年10月20日 07時01分07秒 | 日記

20日(火).わが家に来てから388日目を迎え,中国よりも日本経済の停滞を心配するモコタロです

 

          

           7%割れか・・・・それじゃ 日本は何パーセントなわけ?

 

  閑話休題  

 

昨夕,サントリーホールで,チョン・ミョンフン指揮ソウル・フィルのコンサートを聴きました これは「サントリホール・スペシャルステージ2015」の一環として開かれるもので,日韓国交正常化50周年を記念する公演です.プログラムは①ブラームス「ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調」,②同「交響曲第4番ホ短調」で,①のヴァイオリン独奏はスヴェトリン・ルセヴ,チェロ独奏はソン・ヨンフンです

 

          

 

自席は1階13列15番,左ブロック右通路側です.会場は8~9割方埋まっている感じです オケは左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスというオーソドックスな態勢をとります 全体的には韓国人が多いのですが,管打楽器は半数近くはヨーロッパ系に頼っています.コンマスはロング・ヘアをポニーテールにした女性です コンマスがソリストになるのでその代演です

1曲目はブラームス「ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲」です ちょっとした誤解からケンカ別れの状態にあった大ヴァイオリニスト,ヨアヒムとの和解を意図して作曲されたと言われています

ヴァイオリンのルセヴは1976年ブルガリア生まれで,2005年から,チョン・ミュンフンが長い間音楽監督を務めていたフランス放送フィルハーモニーのコンマスを務め,07年からはソウル・フィルの首席客員コンサートマスターも務めています チェロのソン・ヨンフンは別府アルゲリッチ音楽祭の常連の実力者です

二人のソリストがチョン・ミョンフンとともに登場します.チョン・ミョンフンはほとんど例外なく暗譜で指揮をします 彼のタクトで第1楽章冒頭,雄渾の管弦楽に乗ってチェロが登場します その後ヴァイオリンと対話を繰り返します.穏やかな第2楽章を経て,ハンガリー風の曲想の第3楽章に移行し,情熱的に対話を繰り返し,白熱のフィナーレに突入します ルセヴのストラディバリウスとヨンフンのカルロ・アントニオ・テストーレの力強くも美しい音色が会場一杯に響き渡ります

 

          

 

休憩後はブラームスの「交響曲第4番ホ短調」です 1曲目でソリストを務めたルセヴがコンマスを務めます.チョン・ミョンフンが登場,タクトで丸く円を描くと,その途中で”ため息”のメロディーが流れ出てきます.寄せては引き,引いては寄せる波のような音楽が続き,ブラームスの世界が描かれます 驚くべきは弦の厚みです.ヴァイオリンもチェロもヴィオラもコントラバスも圧倒的な力で迫ってきます 私が特に素晴らしいと思ったのはヴィオラ・セクションです.これほど存在感の大きなヴィオラ・セクションも珍しいでしょう とくに第2楽章「アンダンテ・モデラート」における演奏は特筆に値します 第3楽章ではフィナーレ部の畳み掛けが見事です.そして第4楽章では弦のウネリが身に迫ってきます

私が初めてソウル・フィルを聴いたのは,確か2011年の秋だったと思います 開演前のステージ上には意欲に溢れたピチピチの若者たちが処狭しとスタンバイし,直前練習に励んでいました 平均年齢は20代後半くらいだったのではないかと思います.女性は全員,上下黒のパンツ・ルックで,その機能的な統一感はとても美しく,日本のオケも女性は全員パンツ・ルックに統一した方がカッコいいのではないか,と思ったものです 演奏も若さに溢れた感動的なものでした

その時に比べて,今回目の前に見るソウル・フィルは,楽員の平均年齢が上がったのか,非常に落ち着いた印象を受けます あるいはメンバーの何人かは入れ替わったのかも知れません.いずれにしても,現代の数少ないカリスマ指揮者,チョン・ミョンフンのタクトの下,実力以上の力を発揮していたことは,4年前も昨日も同じでした

何度もカーテン・コールがあり,チョン・ミュンフンは再度タクトを持って登場し,振り返りざまタクトを振り下ろし,ブラームスの「ハンガリー舞曲第1番」を鮮やかに演奏しました 私は,アンコールをやるのなら,この曲か,あるいは同じ舞曲の第5番かどちらかだろうと予想していましたが,当たりましたね

この日の演奏は,私が今年聴いた百数十回のコンサートの中で間違いなくベスト・テンに入るでしょう 今日は一連のコンサートの2日目.チョン・ミョンフンが東京フィルを相手にマーラーの第1番を振ります いざ,サントリーホールへ

 

          

 

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ウルバンスキ+東京交響楽団でストラヴィンスキー「火の鳥」他を聴く

2015年10月19日 07時03分31秒 | 日記

 

19日(月).わが家に来てから387日目を迎え,ご主人の膝の上でオヤツを食べようとするモコタロです

 

          

              ご主人,今日もパソコン動いて良かったね~

 

  閑話休題  

 

昨日の日経に「モーツアルト手紙2600万円」という見出しの小さな記事が載りました 超訳すると

「モーツアルトが親友の植物学者に宛てた手紙がアメリカでオークションにかけられ,21万7000万ドル(約2600万円)で落札された 手紙は便せん1枚で,『この手紙を運んだ人を通じ,私に3つの楽曲を送り返してほしい』とドイツ語でしたためられている 『ピアノ四重奏曲第1番ト短調K.478』などを名指ししており,曲の完成時期から推定し,1786年7~8月ごろに書かれたとみられる

当時から230年も経った今頃こうしたことが話題になるのは,モーツアルトが多くの手紙を残していたからこそです 記事にあるのは「ドイツ語」の手紙となっていますが,彼の人生は旅に明け暮れていたので,旅先から家族に向けてドイツ語で,イタリア語で,フランス語で多くの手紙を書いていたのです 1786年と言えばモーツアルトが30歳の時です.前年には「ハイドン四重奏曲」を完成させ,この年には歌劇「フィガロの結婚」が各地で演奏されるなど,モーツアルトがノリに乗っていた時期です モーツアルトが今の時代に生きていたら,パソコン,スマホを駆使してメールを出しまくっていたかも知れません それにしても,1枚の紙切れがモーツアルトの手紙というだけで2600万円ですから,有名人になってみるものです.ムリだけど

 

  も一度,閑話休題  

 

パソコンが動くうちにコンサート会場で配られるチラシの中からチケット代が比較的安価なコンサートをご紹介します 最初は10月25日(日)午後2時からに第一生命ホールで開かれる「東京アカデミーオーケストラ第48回定期演奏会」です プログラムは①バッハ「シャコンヌ」,②モーツアルト「交響曲第36番”リンツ”」,③同「交響曲第41番”ジュピター”」です

残念ながら私はこのオケを聴いたことがないので,実態が良く分からないのですが,過去に47回も定期公演をやっていることをみると,それなりの演奏技術があるのではないかと思います チケット代は全席自由1,500円です

 

          

 

          

 

2枚目は10月31日(土)午後2時から日比谷公会堂で開かれる「近衛学友会オーケストラ第6回定期演奏会」です マーラーの「交響曲第1番」が演奏されます.このオケも聴いたことがありませんが,マーラーを生で聴くいいチャンスだと思います チケット代は全席自由で1,000円です

 

          

 

3枚目は,11月1日(日)午後3時からサントリーホールで開かれる「コバケンとその仲間たちオーケストラ 10周年記念コンサート」です プログラムは①ドヴォルザーク「交響曲第9番”新世界より”」,②ヴェルディ「アイーダ」より「凱旋行進曲」,③サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」,④チャイコフスキー「序曲1812年」ほか 出演者は全員ボランティアで,チケット代は全席指定で3,000円です.これお薦めです

 

          

 

          

 

  最後の,閑話休題  

 

17日(土)午後3時から文京シビック”響きの森クラシック・シリーズ”公演を,午後6時から東京交響楽団の定期演奏会を聴きました 昨日”響きの森”について書いたので,今日はサントリーホールで開かれた東響の第634回定期演奏会について書きます

プログラムは①ブラームス「悲劇的序曲」,②モーツアルト「ヴァイオリン協奏曲第5番K.219”トルコ風”」,③ストラヴィンスキー「バレエ組曲”火の鳥”」で,②のヴァイオリン独奏はステファン・ジャッキーヴ,指揮は首席客演指揮者のクシシュトフ・ウルバンスキです

 

          

 

土曜日, 文京シビックホールでのコンサートが終わったのが午後5時5分.地下鉄南北線で後楽園から六本木1丁目に移動,サントリーホールに着いたのは5時30分でした コーヒーを飲みながらプログラムを読む時間が十分取れました.セーフ自眠党です

 

          

 

オケはいつもの通り,左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスというオーソドックスな編成です コンマスはグレヴ・ニキティン.1曲目のブラームス「悲劇的序曲」はオペラの序曲ではありません.同時に作曲された「大学祝典序曲」と同様,純粋な管弦楽作品です

長身でスマートなウルバンスキが登場,指揮台に上がり,劇的な序曲の演奏に入ります 彼の華麗な指揮ぶりを見ていると,ホンの1時間ほど前まで聴いていた小林研一郎の指揮を思い出し,いつしか比較してしまいました コバケンは演奏家とともに汗をかいて熱い演奏を展開するタイプなのに対し,ウルバンスキはあくまでも冷静で,演奏家を燃えさせるタイプの指揮者です

そして,コバケンがコンチェルトでは楽譜を見て演奏するのに対し,ウルバンスキはすべての演目を暗譜で指揮します 一番最初にウルバンスキが東京交響楽団に呼ばれてリハーサルをやった時に,最初から最後まで暗譜で指揮をして楽員の度肝を抜き,その演奏会をきっかけに首席客員指揮者として迎えられたというエピソードがあるくらいです 相当の記憶力の持ち主であると同時に深い芸術性を兼ね備えているのでしょう

オケが縮小してモーツアルト「ヴァイオリン協奏曲第5番」の演奏に備えます モーツアルトは1773年(第1番)と1775年(第2~第5番)に集中して故郷ザルツブルクでヴァイオリン協奏曲を書いています そのため,1775年に作曲した第2番~第5番は「ザルツブルク協奏曲」と呼ばれて親しまれています 私はモーツアルト好きなのに,プログラムの解説を読むまで,ザルツブルクのコロレド伯爵がヴァイオリン愛好家で,オーケストラでも演奏したことがあったということを知りませんでした イタリア人贔屓なコロレド伯爵の関心を引き自分自身の実力を見せつけるためにモーツアルトは集中的にヴァイオリン協奏曲を書いたのかも知れません

1985年アメリカ・ボストン生まれのステファン・ジャッキーヴがウルバンスキとともに登場します 二人ともイケメンなので”役者がそろった”といったところです.ウルバンスキのタクトで第1楽章が軽快に始まります.聴いていて感じるのは,ジャッキーヴの特徴は弱音の美しさではないか,ということです 第1楽章のカデンツァは実に見事でした.彼がカデンツァを演奏している間,ウルバンスキは指揮台から降りて,ヴィオラ側のスペースで耳を傾けていました.終わる直前に指揮台に上がり,再びタクトをとりました 弱音の美しさは第2楽章で極まり,第3楽章では一転,テンポ感よく”トルコ風”メロディーを奏でていました

鳴り止まない拍手に,ジャッキーヴはバッハの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番」から「ラルゴ」をしみじみと演奏,大きな拍手を受けました

休憩後は古典的な曲から離れ,ストラヴィンスキーのバレエ組曲「火の鳥」です バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)を率いるセルゲイ・ディアギレフがストラヴィンスキーに委嘱した3大バレエ組曲「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」の一つですが,「火の鳥」こそストラヴィンスキーの名前を世界に知らしめた曲だったのです

ウルバンスキの指揮ぶりを見ていると,時に指揮台の上でバレエを踊っているような仕草があり,この曲がバレエのために書かれたものであることを思い起こしました ストラヴィンスキーだろうが何だろうが,ウルバンスキは暗譜で指揮をしますが,その指示は的確です 楽譜はすべて頭に入っているという感じで,まったく迷いなく確信を持って指揮に当たります

それまで静かに推移していた音楽が,8曲目の「凶悪な踊り」に入り会場を揺るがす音が響くと,隣席の中年男性が身体をピクッと震わせました.あなた,寝てましたね! ストラヴィンスキーの音楽に油断は禁物です

リズム感に溢れ色彩感豊かな「火の鳥」はウルバンスキにピッタリだと思いました

 

          

 

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コバケン+東京フィルでチャイコフスキー「交響曲第5番」他を聴く~文京シビック

2015年10月18日 09時18分01秒 | 日記

18日(日).わが家に来てから386日目を迎えたモコタロです

 

          

                         今日もパソコン動いて良かったね~ 一時はどうなるかと・・・

 

  閑話休題  

 

昨日,午後3時から文京シビックホールで「響きの森クラシック・シリーズ」公演を,午後6時からサントリーホールで東京交響楽団第634回定期演奏会を聴きました 今日は,最初に聴いた小林研一郎指揮東京フィルによる「響きの森」コンサートの模様について書きます

 

          

 

プログラムは①チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」,②同「交響曲第5番」で,①のピアノ独奏は及川浩治です このシリーズはいつも満席です.定期会員が多いのではないかと思います

オケの面々が登場し配置に着きます.コンマスは今年4月に就任した若きコンマス・依田真宣です それにしても名コンマス・荒井英治氏はどこに行ってしまったのでしょうか?

ソリストの及川浩治がコバケンに伴われて舞台に登場します.1曲目はチャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番変ロ短調」です コバケンの合図で第1楽章がホルンで開始されます.及川の力強いピアノが入ってきて,その瞬間から”チャイコフスキー・ワールド”です 及川は100メートル走に喩えるならば”全力疾走”です 全体の半分以上を占める第1楽章が終わるとハンカチで汗をぬぐいます 第2楽章はフルートに導かれた牧歌的な旋律で開始されます.この楽章ではピアノの音の粒立ちがきれいです そして第3楽章のフィナーレに突入しますが,終盤の激しいパッセージは,ピアノとオケとの協演ならぬ”競演”で,畳み掛けるように終結します 及川もコバケン+東京フィルも熱演を展開しました.及川は大汗です 全体的に男性的な力強い演奏でしたが,あまりにも有名な曲であるが故に,他者との差別化をどう図るかが難しい曲でもあります さて,数あるピアニストの中で名声を得て生き残って行くにはどうしたらよいのか・・・・しばし考え込んでしまいました

 

          

 

休憩時に,このシリーズの会員であるAさん,Tさんとホワイエでコーヒーを飲んで話をしました いつもはコンサート帰りに近くの喫茶店で話をするのですが,今回は私が次のコンサート会場に直行しなければならないので,休憩時間にお茶しましょうと約束していたのです コーヒーを飲んでいる時,Aさんから「東京スカイツリーに行ってきたので,お土産を買ってきました」として,お菓子をいただきました お二人は幼なじみで,80歳を超えた今でも時々誘い合ってコンサートに出かけたりしている元気なシニア・レディです 私も見習わなくては,といつも思っています.Aさん,ありがとうございました

 

          

 

休憩後はチャイコフスキー「交響曲第5番変ロ短調」です.この曲の大きな特徴は,第1楽章冒頭の旋律(運命のテーマ)が,この楽章では暗く響くのに,第4楽章では力強く”勝利のテーマ”として明るく響くことです いわばベートーヴェンの第9番”合唱付き”のように,「苦悩を乗り越えて歓喜に至る」という前向きな曲であると捉えることが出来ます

コバケンは第1楽章「アンダンテ」をかなりゆったりしたテンポで開始します そして徐々にテンポを整えて行く訳ですが,聴いていて感じるのは,「コバケンはテンポを大きく動かすことによって曲にダイナミズムを生じさせ,聴く側に強い印象を残す」ということです またオケに歌わせるところは存分に歌わせ,畳み掛けるところは超スピードで駆け抜けます.これがコバケンの音楽作りの大きな特徴と言えるでしょう

私はこの曲の中では,第2楽章が一番好きです この楽章を聴くと「人生の黄昏」を感じます.チャイコフスキーは只のメロディーメーカーではありません.それなりの辛い人生経験を背負って作曲に当たっているのです

白熱の演奏が終わるや否や,会場一杯の拍手とブラボーがステージに押し寄せました コバケンは管楽器群の,ほとんど一人一人と握手して演奏を称えていました.「指揮者は音を出さない.音を出す演奏家こそ賞賛されるべきである」という考えのもとなのでしょう 気持ちは分かります.が,私がいつも言っているように「やり過ぎ」は控えた方が良いと思います.嫌味になります

コバケンは拍手を制し,「前回の演奏会で『今日はアンコールはやらないが,次回はやります』と約束しましたので,本日はアンコールを演奏します.チャイコフスキーと仲が良かったドボルザークの『ユモレスク』を演奏します 短い曲ですが,この曲で人の一生を表してみたいと思います 最初は生まれたての赤ん坊で,次第に成長し,辛いことも経験し,穏やかな老後を生き,最後はアーメンで締めくくりたいと思います これは私と東京フィルの考え方です.それでは,お聴きください

として,『ユモレスク』をアンコールに演奏し,大きな拍手を受けました

ところで,コバケンは「私と東京フィルの考え方」と言いましたが,ここだけの話,実は8月7日のミューザ川崎での日本フィルとの演奏会でも同じ曲のアンコールを演奏しています 興味のある方は8月8日付の当ブログを”内緒で”ご覧ください

 

          

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小林美恵ヴァイオリン・リサイタルを聴く~萩原麻未とクァルテット・エクセルシオが協演

2015年10月17日 09時12分27秒 | 日記

17日(土).昨日,Mさんから「いつもお世話になっているから」としてプレゼントをいただきました

 

          

 

家に帰って,開けてみるとハンカチと靴下のセットが入っていました

 

          

 

「お世話になっている」というのは,私が読んだ本はすべて,読んだ感想をブログを書き終えてからは,Mさんに渡して読んでもらっているので,そのお礼なのでしょう Mさんには「センスのいいプレゼントをありがとう」メールを送っておきました

 

  閑話休題  

 

今年10月末から始まる「METライブビューイング2915-2016」(全10作品)の3枚セット券を買いました 単券だと1枚3,600円(学生2,500円)ですが、3枚セットで9,300円と1枚当たり500円割引になっています

          

          

 

          

 

ということで、今日もかろうじてパソコンがフリーズしないで無事にブログが書けそうなので,小さな幸せを感じている,わが家に来てから385日目を迎えたモコタロです 

 

          

            ご主人は いつフリーズするか 恐怖の中で書いているよ

 

  も一度,閑話休題  

 

昨夕、東京文化会館小ホールで小林美恵ヴァイオリン・リサイタルを聴きました プログラムは①フォーレ「ヴァイオリン・ソナタ」、②プーランク「ヴァイオリン・ソナタ」、③ショーソン「ヴァイオリンとピアノと弦楽四重奏のためのコンセール」です。ピアノは萩原麻未、弦楽四重奏はクァルテット・エクセルシオです

          

          

 

自席はK18番,センター左ブロック右から2つ目です.会場はほぼ満席 さてこの要因は何か?出場者は3組.主人公は小林美恵,ピアノは萩原麻未,クァルテットはエクセルシオです この日,会場に集まった聴衆はいったい誰が目当てで出来たのでしょうか?私は萩原麻未のピアノです

次にどの曲を聴きに来たのでしょうか?私は3曲目のショーソン「ヴァイオリン,ピアノと弦楽四重奏のためのコンセール」です この曲は,今年6月12日(金)に「サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン」のコンサートで,竹澤恭子のヴァイオリン,児玉桃のピアノで初めて聴いて感激した曲です

ロン=ティボー国際音楽コンクールのヴァイオリン部門で日本人で初めて優勝した小林美恵と,ジュネーヴ国際コンクールのピアノ部門で日本人として初めて優勝した萩原麻未が登場します 小林美恵は濃緑をベースとした,萩原麻未は黒のラメ入りドレスで登場です

1曲目のフォーレ「ヴァイオリン・ソナタ第1番」の演奏に入ります.ピアノから入りますが,音と音とが重なって濁っているような印象を受けました ピアノの位置の問題なのか,曲そのものがそういう風に書かれているのか,分かりません.しかし,それは冒頭部分だけで,曲が進むにしたがってその懸念は払しょくされました 二人のあまりに気持ちの良い演奏に思わず酔いしれて,頭の中が揺れているように感じました フランスのエスプリと言うのでしょうか,今の時代,日本人がこれほどフランス的な演奏が出来ることに驚きます

2曲目はプーランク「ヴァイオリン・ソナタ」です.はっきり言って,冒頭のピアノの音で目が覚めました フォーレといかに離れたところにある作品なのだろうか,と驚きます 緊張感に満ち,目先がクルクル変わり,高度なテクニックが必要とされることが容易に想像できます.フォーレよりもこのプーランクの方が,2人にはピッタリのような気がします

背丈もありスマートな小林美恵の立ち姿を見ていると,まるで女サムライのようです 「寄らば斬るぞ」といった緊迫感が漂っています.一方の萩原麻未も,動物的直観とでもいうような瞬発力のある演奏を展開します その意味では,二人ともサムライかも知れない

 

          

 

さて,休憩後は待望のショーソン「ヴァイオリン,ピアノと弦楽四重奏のためのコンセール」です 萩原のピアノをバックに,小林が左サイドに立ち,エクセルシオの面々がその右サイドに並びます.左から第1ヴァイオリン=西野ゆかの代演の若き鍵富弦太郎,ヴィオラ=吉田有紀子,チェロ=大友肇,第2ヴァイオリン=山田百子という態勢です.吉田は黒と金がベースの,山田は黒のドレスです

竹澤+児玉の演奏の時も感じたことですが,この曲はとても良い曲です いわばヴァイオリン協奏曲の室内楽版みたいな曲ですが,小林+萩原+エクセルシオのコンビは息がピッタリです 主役の小林美恵が素晴らしいのは言うまでもありませんが,私が特に素晴らしいと思ったのは萩原麻未の演奏スタイルです 主張するべきところはきちんと主張しているのに,主役のヴァイオリンの邪魔を決してしません.アンサンブルに徹しています.このスタイルは彼女の控えめで,しかし芯のある性格を反映しているのかも知れません

この日の演奏曲目はフランスのロン=ティボー国際コンクールの優勝者・小林美恵が選んだ”フランスもの”でした 3曲とも素晴らしい演奏でしたが,その中でも後にいくほど良かったように思います

 

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中村文則著「世界の果て」を読む~クライマックスな作品?

2015年10月16日 07時01分12秒 | 日記

16日(金).一時的にパソコンが復旧したので,パソコンから書いています そもそも,ここ数週間,スイッチを押してもすぐ消えたり,立ち上がってもすぐにフリーズしてしまったり,ひどい状態にあったため,もう4年近くも使用したから新しいのに替えるか,という訳で新規に購入することにしたのです 昨日,新しいパソコンの注文も済んだので,今のパソコンは使える間は使おうと思います(またフリーズすることは目に見えていますが).新しいパソコンはD社の新製品なので届くまで2週間以上かかるとのこと.安定的にブログが書けるのは11月に入ってからになりそうです.という訳で,わが家に来てから384日目を迎えたモコタロです

 

          

 

  閑話休題  

 

筒井康隆の「傾いた世界~自選ドタバタ傑作選2」と「中村文則の「世界の果て」を続けて読みました.毒のある筒井作品は横に置いといて,中村文則著「世界の果て」(文春文庫)について書くことにします 中村文則は1977年愛知県生まれ,福島大学卒業.2002年に「銃」で新潮新人賞を受賞してデビュー.2005年に「土の中の子供」で芥川賞を,12年に「掏摸(すり)」で大江健三郎賞を受賞しています

 

          

 

この本には「月の下の子供」「ゴミ屋敷」「戦争日和」「夜のざわめき」「世界の果て」の5編が収録されていますが,いわゆる連作短編集です

この中では標題になっている「世界の果て」が一番長い作品です 「部屋に戻ると,見知らぬ犬が死んでいた.誰がなぜそこに捨てたのか分からない.”僕”は犬の死体を自転車のカゴに詰め込み,犬を捨てる場所を求めて夜の街をさまよい歩く

全体的にほの暗い雰囲気の作品ですが,中村文則は巻末に「文庫解説にかえて~『世界の果て』について」を書いており,小説を書く姿勢を表明しています

「僕の読者さんからすると今さらだけど,全体的に暗く,こういうのが苦手な人には,世の中にはこういう小説もあるのだなとご容赦願うしかない でも,何というか,明るさは時に人を阻害することもある.単行本の方のあとがきにも書いたことだけど,世の中に明るく朗らかな小説だけしかなくなったら,それは絶望に似ているのではないかと個人的には思っている そんな小説は世の中に溢れているから,別に僕が書く必要はないのではとも 自分の暗さをいい訳にしてもしょうがないのだけれど,色んなものがないとその文化は痩せていくとか,思っていたりする

「どうも暗いな」「暗いマックスな作品だな」と思いながらも,書店に行くと「中村文則」の名前に引き付けられて作品をつい手に取ってしまうのです そういう不思議な魅力のある小説家です

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パソコン更新へ

2015年10月15日 08時34分49秒 | 日記
昨日パソコンが壊れたので、今日新しいのを注文してこようと思います。たまたま休暇をとっていたので良かったですU+1F605 新しいパソコンが届くまで、レイアウトも内容も不充分だと思いますが、届くまでご容赦くださいU+1F647
ということで、わが家に来てから383日目を迎えたモコタロですU+1F430
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パソコン壊れる

2015年10月14日 21時58分06秒 | 日記
パソコンが壊れましたU+1F622初めてスマホから投稿しています。うまく反映しているか不明ですU+1F631
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下野竜也+読売日響でジョン・アダムズ「ハルモ二ーレーレ」他を聴く

2015年10月14日 07時01分53秒 | 日記

14日(水)。わが家に来てから382日目を迎え,近い将来を見つめるモコタロです。

 

          

             近い将来の展望かぁ~  点棒がないとリーチかけられないんだよね~

 

  閑話休題  

 

昨夕、サントリーホールで読売日本交響楽団の第552回定期演奏会を聴きました プログラムは①ベートーヴェン「序曲コリオラン」、②ヒンデミット「白鳥を焼く男」、③J.アダムス「ハルモ二―レーレ」で,②のヴィオラ独奏は読響主席の鈴木康治,指揮は下野竜也です

 

          

 

オケの面々が登場します.コンマスは小森谷巧です.下野竜也が登場し,1曲目のベートーヴェン「序曲”コリオラン”」の演奏に入ります 下野はいつも通り,背の低さを瞬発力でカバー,メリハリのある音楽を展開します 彼はタクトを持ちません.もしタクトを持ってベートーヴェンを指揮したら指揮棒があらぬ方向に飛んでいくでしょう

序曲”コリオラン”と言えば,若き日のセルジュ・チェリビダッケがベルリン・フィルを指揮したモノラル映像を思い出します あれは戦後間もなくのベルリンかどこかの廃墟で演奏していたのではないか,とうっすらと思い出します.鋭い眼光が忘れられない演奏でした

弦楽器群が一旦退場して,態勢を整えます.2曲目がヒンデミットの「白鳥を焼く男~ヴィオラと管弦楽」のため,ヴァイオリンとヴィオラという弦の中高音部の楽器が外され,ヴィオラが主役となります

ステージ上は左サイドにハープが1台,右サイドにチェロ4,コントラバス3,中央後方に管楽器という態勢をとります.ソリストの読響首席ヴィオラ奏者・鈴木康治が下野とともに登場します

この曲は4つの古いドイツ民謡が素材として用いられており,「白鳥を焼く男」というちょっと”危ない”タイトルもその民謡に基づいています 3つの楽章から成りますが,第1楽章はヴィオラ独奏でゆったりとした音楽が奏でられます 表現力と言い,色彩感覚と言い,さすがはベルリン・フィルの契約団員を務めた経験のある演奏家だと思います 読響のどこが好きか,と問われた時,この鈴木康治の存在が大きく影響しています.この人ほど,身体全体で音楽を表現している人は珍しいと思います.曲によっては,演奏するのが楽しくてしかたがない,という気持ちが顔の表情や演奏する姿勢から伝わってきます

第2楽章はハープとヴィオラとのコラボレーションですが,これがまた美しく,ヴィオラの音色を堪能しました 第3楽章は民謡に基づく変奏曲ですが,ヴィオラの明るい面が強調されて楽しく華やかに曲を閉じます

低弦楽器群と管楽器群,そしてハープが『我らが首席奏者』をしっかりとサポートしていました 当たり前のことですが,ヴァイオリンでもない,チェロでもない,ヴィオラ特有の音色を存分に堪能しました

 

          

 

休憩後はジョン・アダムズ(1947~)の「ハルモ二―レーレ(和声学)」です 『現代音楽』に対して,私は常に警戒しています.その第一の対象はシェーンベルクです 彼の音楽のどこがいいのか,さっぱり分かりません.「浄められた夜」以外は

プログラムに掲載されている解説を読んでいたら,「タイトルは,20世紀前半の大作曲家アルノルト・シェーンベルク(1874-1951)の『ハルモ二―レーレ(和声学)』に由来する」と書かれていたので,なおさら警戒しました

この曲は3つの楽章から成り,演奏時間にして40分ほどの曲です 第1楽章冒頭の強烈な総奏と続くミニマル(同じリズムの繰り返し)を聴いて,『これは,イケるかも知れない』と思いました.少なくともシェーンベルクのように音楽を破壊してはいません 第2楽章,第3楽章を通じて受けた印象は,ミニマル・ミュージックにメロディーが乗った独特の『現代音楽』だというものです この音楽はそのまま映画音楽として使えるのではないか,と思いました 宇宙的な広がりを感じる曲なので,「宇宙人の襲来」とか,そういうタイトルならピッタリだと思います

音楽を聴きながら,解説を垣間見ると「アダムズはシェーンベルクを彼の弟子のキルシュナーを通して知り,『12音音楽の響きは好きではない』が,芸術家としての揺るぎない姿勢に刺激を受けた.広い意味で,タイトルは『精神的または心理的な調和(ハーモニー)』を指している」と書かれていました.『12音音楽は好きではないが』というところが気に入りました

そうしたこともあって,私は初めて聴いたアダムズのこの曲が好きになりました 日本では1986年に初演以降,演奏される機会がなく,この日の演奏が約30年ぶりの再演となるそうです.こんな良い曲が・・・・と,とても信じられません

ジョン・アダムズと言えば,数年前のMETライブビューイングの上演演目にオペラ「中国のニクソン」(演出:ピーター・セラーズ)がありました 残念ながら私はその映画を観そこなっています.今となっては観ておくべきでした

1980年には「ハーモニウム」という曲を作っているとのこと.今度,是非,下野竜也指揮読響で聴いてみたいと思います

 

  も一度,閑話休題  

 

気分を良くして家に帰ると,テーブルの上に娘が用意してくれた誕生祝のお花が飾られていました 昨夜はコンサートで遅くなったので,誕生会は今夜に延期してもらいました

 

          

 

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寺岡清高+新交響楽団でフランツ・シュミット「交響曲第1番」他を聴く

2015年10月13日 07時02分26秒 | 日記

13日(火)。わが家に来てから381日目を迎え,大きな赤い手の上でくつろぐモコタロです

 

          

           久しぶりに赤い手と遭遇したよ 赤ちゃんの手じゃないよね

 

  閑話休題   

 

昨日、池袋の東京芸術劇場で新交響楽団の第231回演奏会を聴きました プログラムは①ニコライ「歌劇”ウィンザーの陽気な女房たち”序曲」、②ベートーヴェン「交響曲第1番ハ長調」、③フランツ・シュミット「交響曲第4番ハ長調」で、指揮は寺岡清高です

新交響楽団は1956年創立のアマチュア・オーケストラの草分け的存在です 故・芥川也寸志が,創立以来音楽監督を務め,旧ソ連への演奏旅行,ストラヴィンスキーの3大バレエ曲一挙上演など,画期的な演奏活動を展開してきました プログラムに記載されたメンバー表を見ると,会社員,教員,学生など様々な職業の音楽好きが集まって練習を重ねています 東京を拠点に年4回の演奏会を自主運営で行っているとのことです

一方,指揮者の寺岡清高は福岡生まれの東京育ちで,早稲田大学を卒業後,桐朋学園大学を経て,1992年にウィーン国立音楽大学指揮科に入学した変わり種です 2000年にミトロプーロス国際指揮者コンクールで優勝しています 現在は大阪交響楽団の常任指揮者を務めています この日のプログラムはウィーン在住の寺岡のこだわりで,ウィーンに因んだ作曲家の作品が演奏されます

 

          

 

自席は2階M列22番,センターブロック左通路側席です.会場は8割方埋まっている感じでしょうか アマチュア・オケでこれだけの動員をかけられるのは新交響楽団ならではでしょう

オケは左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスというオーソドックスな態勢をとります.コンサート・ミストレスは青山学院高等部教諭の堀内真美さんです 私がコンサートのたびに密かに応援しているのは首席チェロ奏者の隣に座っている唯一ノースリーブのステージ衣装を身にまとった女性奏者です.残念ながら名前が分かりません メンバー表によると,女性チェロ奏者は首席の柳部容子さんの他に4人いらっしゃいますが,このうちのどなたかなのでしょう.いつも応援しています

さて,丁寧なチューニングが行われ,指揮者の寺岡清高がタクトを持って登場します

1曲目のオットー・ニコライの歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲は,シェークスピアの同名の戯曲を題材にしたオペラの序曲です

寺岡のタクトで,静かな導入部が始まり,徐々にテンポアップしてウィーンのオペレッタを思わせる賑やかで楽しい音楽を展開します まずは小手調べといったところですが,オケは絶好調です 管楽器も弦楽器も寺岡のタクトのもと,ウィーン情緒豊かに楽しい序曲を演奏していました

 

          

 

2曲目はベートーヴェンの交響曲第1番ハ長調です.管楽器が入れ替わり,規模が縮小します.この曲は「ピアノ協奏曲第1番」と「七重奏曲」とともに初演されましたが,「七重奏曲」は聴衆に歓迎ムードで受け入れられたものの,「交響曲第1番」の方は,当時の聴衆にとっては冒頭の和音が斬新でちょっと違和感があったようです

寺岡の合図で第1楽章「アダージョ・モルトーアレグロ・コン・ブリオ」に入ります.厚みのある弦楽器,歌うような管楽器を聴いていると,初期のベートーヴェンはいいなあ,と思います 第2楽章は「アンダンテ・カンタービレ・コン・モト」ですが,曲想はほとんどモーツアルトのようです.第3楽章は「メヌエット」ですが,これはハッキリ言って「スケルツォ」でしょう 躍動感溢れる音楽です.第4楽章は第1楽章と同様,アダージョの序奏があって,次に主部がくる,というスタイルをとっています 本当に楽しい楽章で,若き日のベートーヴェンの息吹を感じさせます.この曲でも管楽器,弦楽器,そして打楽器も絶好調だったと言えます

 

          

 

さて,休憩後は指揮者・寺岡清高のこだわりの曲,フランツ・シュミットの「交響曲第4番ハ長調」です フランツ・シュミットは当時オーストリアだったプレスブルクで,シェーンベルクと同じ1874年に生まれました 幼少の頃から音楽の才能があったようで,音楽アカデミーを卒業後は宮廷歌劇場管弦楽団のチェロ奏者として採用されました.その頃,グスタフ・マーラーが宮廷歌劇場の指揮者だったので,彼の指揮の下,首席チェリストとして活躍したとのことです

シェーンベルクが十二音音楽で19世紀末音楽をリードしていったさなか,シュミットはその流れには乗りませんでした 伝統を破壊するのではなく,伝統の上に新たな音楽様式を打ち建てようとしたようです

この交響曲第4番は単一楽章で書かれているのが大きな特徴です 1932年から33年にかけて作曲されましたが,ちょうどその頃は,最初の妻カロリーネが精神に変調をきたし精神病院に収容され,32年には娘のエンマが,出産の直後に死去するなど,悲惨な出来事が続いた時期です したがって,この曲にはそれらの暗い影が落とされています

冒頭はトランペットにより悲しげなメロディーが静かに奏でられますが,このメロディーはシュミットが黄泉の世界にいる娘エンマに発した呼びかけという位置づけにあります 本人によれば「人を永劫へと導く最後の音楽」です.このメロディーが全曲を通して,色々な楽器で再現されることになります.全体的には深い悲しみを湛えた憂いのある曲ですが,時に大きく感情を爆発させるようなところもあったりします しかし,それは一時的なもので,すぐに悲しみの世界に呼び戻されます

寺岡清高は前の2曲ではタクトを持って指揮をしていましたが,このシュミットでは両手のみで指揮をしました まるで両手でシュミットの音楽を手繰り寄せ,それを聴衆に届けるような姿勢を感じました

アダージョの部分では,独奏チェロが憂いに満ちた旋律を奏でますが,首席チェロの柳部容子さん(JTB)の演奏は素晴らしいものがありました

この日のコンサートは,3曲とも素晴らしい演奏で,これが本当にアマチュア・オケだろうか?と思うほど完成度が高く見事なアンサンブルでした 終演後の会場一杯の拍手とブラボーが何よりそのことを物語っていました

さて,次回の第232回演奏会は来年1月24日(日)午後2時から東京芸術劇場で開かれます 残念ながら私は例によってその日,ピンポイントでオペラを観る予定があり聴きに行けません プログラムは新交響楽団の創設者・芥川也寸志の「交響曲第1番」とエルガーの「交響曲第2番」です.入場料はS席:3,000円,A席:2,500円,B席:1,500円です.超お薦め公演です

 

          

 

誕生日の今日は,サントリーホールに下野竜也+読売日響による定期演奏会を聴きに行きます

          

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