人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

原田マハ著「暗幕のゲルニカ」を読む ~ ニューヨーク国連本部でイラク攻撃を宣言する国務長官の背後にあった「ゲルニカ」はなぜ消されたのか?

2020年08月21日 07時17分41秒 | 日記

21日(金)。わが家に来てから今日で2151日目を迎え、北朝鮮は19日、朝鮮労働党の中央委員会総会を開き、2021年に党大会を開くことを決めたが、総会の議定書では「予想しなかった挑戦が重なって計画した目標にとても達せず、人民生活を向上できない結果となった」と経済不振を認め、早くも異例の総括を行った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ミサイル発射実験に大金をつぎ込んだ結果 人民の生活が犠牲になったってことか

 

         

 

昨日、夕食に大学時代の友人S君が送ってくれた「アジを塩焼き」にして、「生野菜サラダ」と「海鮮汁(ワカメ、とろろ昆布、エビ、オキアミ入り)」を作り、私が買ってきた「真鯛の刺身」と、娘が原宿にある新潟県のアンテナショップで買い求めた「サーモンの塩辛」といっしょにいただきました 海産物尽くしですが、どれも美味しかったです

 

     

 

         

 

原田マハ著「暗幕のゲルニカ」(新潮文庫)を読み終わりました 原田マハは1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部日本文学科と早稲田大学第二文学部美術史科を卒業。馬里邑美術館、伊藤忠商事を経て、森ビル森美術館設立準備室在籍時に、ニューヨーク近代美術館に派遣され同館で勤務。2005年「カフーを待ちわびて」で日本ラブストーリー大賞を受賞しデビュー 2012年「楽園のカンヴァス」で山本周五郎賞、R-40本屋さん大賞、TBS系「王様のブランチ」BOOKアワードなどを受賞 当ブログでは「デトロイト美術館の奇跡」をご紹介しました

ニューヨークの国連本部で、イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後に飾られていたピカソの「ゲルニカ」のタペストリーが暗幕に覆われて隠されていた ニューヨーク近代美術館(MoMA)のキュレーター八神瑤子は、誰がなぜ「ゲルニカ」を隠したのかの謎を追ううち「ゲルニカ」を巡る陰謀に巻き込まれていく 一方、ピカソの恋人で写真家のドラ・マールの視点から「ゲルニカ」が生まれた背景が語られる 物語は瑤子が生きる現代とピカソ、ドラ・マールが生きた過去とが交錯するなかドラマティックに展開する

 

     

 

2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロを受けて、ブッシュ大統領は「テロとの闘い」を標榜し、アフガニスタンを攻撃した後、次の標的としてイラクに標的を定めていました イラクのフセイン大統領が大量破壊兵器を開発しているという疑惑がその根拠でした(この疑惑は後に、作り話だったことが暴かれます)。この時、コリン・パウエル国防長官は国連安全保障理事会のロビーで記者会見を開き、イラクが化学兵器や生物兵器などを密かに開発していると糾弾しましたが、この時、長官の後ろに位置する場所にあったピカソの「ゲルニカ」のタペストリーに暗幕がかけられていた 「ゲルニカ」はナチスによる無差別空爆によって地獄絵となったゲルニカの事態を表現したもの。アメリカがこれから実行するイラクへの空爆によって同じような悲劇が起こることを予想した人物が隠したのではないか、と著者の原田マハさんは推定したのです それをきっかけに書かれたのが本作です

アートの力で平和を訴えようとする八神瑤子は、かつてMoMAに”フランコ政権下のスペインから42年間”避難”していたことのある「ゲルニカ」を、同時多発テロを引き金に始まった負の連鎖を断ち切るシンボルとするため、再びニューヨークに持ってきて公開しようと奮闘します 一方、1937年にスペイン内戦中のパリで「ゲルニカ」に取り組むパブロ・ピカソに寄り添う実在の女性写真家・ドラ・マールは「ゲルニカ」の制作過程を写真に収め、歴史の証人となります

この本を読んでいると、いったいどこまでが史実で、どこからがフィクションなのか、まったく途方に暮れてしまいますが、原田マハさんの注釈によると、「20世紀の登場人物は、架空の人物であるパルド・イグナシオとルース・ロックフェラーを除き、実在の人物であり、21世紀の登場人物は全員が架空の人物である」としています

ところで、原田マハさんが本作を書くきっかけとなった「国連のゲルニカ」(タペストリー)は、本書の中で次のように解説されています

「オリジナルの『ゲルニカ』と寸分たがわぬ構図とサイズで、1955年に制作されたものである ルース・ロックフェラーの父であり、当時の大統領の側近として活躍していたネルソン・ロックフェラーが『ゲルニカの精巧な複製画が欲しい』とピカソに依頼、タペストリー職人のデュルバックがピカソの監修のもとに完成させた ネルソンの死後、未亡人、つまりルースの母が1985年に国連に寄託し、安全保障理事会会議場のロビーに展示されて現在に至る

原田さんの注釈によると、ルース・ロックフェラーは架空の人物ですが、Wikipediaによると、ルースの父親であるネルソン・ロックフェラーは実在の人物で、しかもニューヨーク近代美術館の設立に多大な貢献をした と書かれているので、どうやら上の解説は本当のようです

物語の最後は、ニューヨーク近代美術館で開かれる「ピカソの戦争」展のオープニングの模様が描かれています 果たして八神瑤子は門外不出の「ゲルニカ」を42年ぶりにスペイン・マドリード市内にある「国立ソフィア王妃芸術センター」からニューヨークのMoMAに持ち込み、展示することが出来るのか プレスリリースで公表された展示品目録に「ゲルニカ」は載っていない しかし、「ゲルニカ」は、展示されるのが最も相応しいニューヨークの某所に持ち込まれていたーーこのラストは衝撃的です

とくに美術に関心がない人にも、手に汗握るサスペンスとして楽しめる傑作です 一気読みをお勧めします

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ブログは何を書いてもいいのか? / ジェイ・ローチ監督「スキャンダル」 & ローリーン・スカファリア監督「ハスラーズ」を観る ~ ショパンのエチュードが全編を通して流れる

2020年08月20日 07時23分56秒 | 日記

20日(木)。「マージャンをやると、その人の性格が良く分かる」とはよく言われる言葉ですが、「ブログを読むとその人の性格が分かる」とも言えるのではないか 言い換えると「ブログで何をどのように書いているかを読むと その人の生きざまが分かる」ということです     私はそれほど多くの人のブログを拝見しているわけではありませんが、ブログを読んでいると、「この人は常に社会の問題を正面から捉え、未来の日本社会のことを考えているな 」とか、「この人は老親の介護をしながらも、自分のアイデンティティーを貫くために頑張っているな 」とか、「自らいつ倒れるか分からない病を抱えながら、子育てに、家事に、そして自分自身を磨くことに精力を注ぎ込んでいるな 」と思ったりして とても励みになります これらの人たちの共通点は、毎日を真面目に精一杯生きているということです

その反面、「他人の迷惑や痛みを顧みず、ただ言いたいことを書いて鬱憤を晴らしているだけではないか」と言いたくなるようなブログもたまにあります 4~5日前の他人様のブログを見ていたら、新日本フィルのコンサートに行った時のことが 次のように書かれていました

「スパイ手足要員奏者がコンサート終了後、楽器担いで、足早に駅に向かっていた。アメリカ人、朝鮮コンサートマスターのいる新日本フィルの裏には、CIAである。どうせ、他の楽団と合併になるであろう。意欲も、まとまりもなくなっている」(原文のまま)。

皆さん、これを読んでどう思いますか? 私が疑問に思ったのは、まず「スパイ手足要員奏者」とはどういう意味で誰のことを指しているのかということ。そもそも誰が何のためにどういうスパイ活動をしているというのか また、確かに新日本フィルにはスウェーデン生まれアメリカ育ちのチェロ奏者もいるし、崔(チェ)という韓国系の名前のコンサートマスターもいますが、彼らがメンバーである新日本フィルの裏にはCIAがいる?  CIAが彼らを操ってる? 何を根拠にそう断定できるのか その前に、「朝鮮コンサートマスター」という表現は、まるで新大久保でヘイトスピーチを叫ぶ右翼の言葉と同じだと感じるし、白人以外の人種を平然と差別し、再選されるためなら平気でフェイクを連発するトランプ大統領と同じレヴェルだと思います 違いはトランプが権力者でありツイッターのフォロワーが100万単位でいるのに対し、その人は無名の日本国民でありブログのフォロワーはご本人が一番良くご存知の通りの数だということです フォロワーの数を増やすために今まで以上に過激なことを書いて読者を煽っても無駄です。逆効果だと思います また「どうせ、他の楽団と合併になるであろう」と何の根拠もなく平然と書いていますが、その言葉を、コロナ禍のもと 生き残りをかけて懸命に努力している新日本フィルの皆さんの前で言えるのだろうか

こんなどうしょうもないブログは放っておけばよい、と言われるかもしれませんが、上にご紹介したブログの12行上に次のような文章が書かれてます

「人間なんて、汚く振舞った方が、生きやすいし、魅力もあるし、そんなものである。私だって、たまたま、逆路線で、今更、路線変更もめんどうだから、このまま行くだけの立ち位置に置かれただけで、どうせ、他にやる事もないし、守る物もないから程度である」(原文のまま)

つまり、「自分はこういう人間だから今更、性格を治そうとも思わない」と居直って、書きたいことを書きなぐっている”確信犯”なのです それで本人は 何を言っても許されると 勝手に思い込んでいる そこには、ブログで誹謗中傷を書かれた人や組織が どんなに傷つくかといった思慮がまったく働いていません これが ブログを通して見る その人の生きざまです

以上、「ブログで何をどのように書いているかを読むと その人の生きざまが分かる」という一例として、他人様のブログをご紹介してきましたが、要は「ブログは何を書いても許されるのか?」という問題です 私は良心のある多くの人が思っている通り、書かれる人の立場や気持ちをよく考えて書くべきだと思います ご紹介した当該ブログに関しては、「いくら言論の自由だとはいえ、根拠のないデタラメばかり書くな 少なくとも、ヘイトスピーチのようなことは書くな」と言いたいところですが、まことに残念なのは、このブログをご覧いただいている読者には 当該ブログを書くような無神経で破廉恥な人は一人もいないので、書くだけ無駄だということです

ということで、わが家に来てから今日で2150日目を迎え、トランプ米大統領は18日、中国発の動画投稿アプリ「TikTok」の米国事業売却先候補を巡り「米オラクルも良い会社だ」と述べたが、オラクルの創業者ラリー・エリクソン氏は1T業界では珍しいトランプ支援者として知られ、買収交渉に影響を与える可能性がある  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプはどんな権限があって 民間企業の商取引に干渉しようとしているのか?

 

         

 

昨夕、久しぶりに「ひき肉と野菜のドライカレー」を作りました 今や私の定番料理ですが、辛いものが若干苦手な娘のために最近は目玉焼きを乗せています 辛さと甘さがマッチして とても美味しいです

 

     

 

         

 

昨日、池袋の新文芸坐で「スキャンダル」と「ハスラーズ」の2本立てを観ました

「スキャンダル」はジェイ・ローチ監督による2019年製作カナダ・アメリカ合作映画(109分)です

アメリカで視聴率首位を誇るテレビ局FOXニュースを解雇された元・人気キャスターのグレッチェン・カールソン(ニコール・キッドマン)が同社CEOのロジャー・エイルズ(ジョン・リスゴー)をセクハラで提訴した 人気キャスターによるテレビ局の帝王へのスキャンダラスなニュースに、全世界のメディア界に激震が走った FOXニュースの看板番組を担当するキャスターのメーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)は、自身がその地位に昇りつめるまでロジャーに引き立てられてきた過去を思い出し、平静ではいられなくなっていた そんな中、メインキャスターの座のチャンスを虎視眈々と狙っていた若手のケイラ・ポスビシル(マーゴット・ロビー)にロジャーと直接対面するチャンスが巡ってくる グレッチェンは自分の後に後輩たちがついてきてくれることを信じて提訴に踏み切ったが、FOX社内の空気は保守的だった。鍵を握るのは看板キャスターのケリーがどう出るかだったが、ついに大きな決断をする

 

     

 

この映画は2016年にアメリカで実際に起こった女性キャスターへのセクハラ騒動を映画化した作品です

この映画の舞台になった2016年は前回のアメリカ大統領選挙の年で、スクリーンには共和党のトランプ候補 本人が登場し、キャスターに「過去に多くの女性問題を引き起こしている」と批判されています FOXの経営を支配するメディア王 ルパート・マードックは反トランプだったということを、この映画を観て初めて知りました 今年の大統領選挙はどうなるのでしょうか 2度目の”まさか”はごめん被りたいと思いますが

この映画は、シャーリーズ・セロンの特殊メイクを、「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」でアカデミー賞を受賞したカズ・ヒロ(辻 一弘)が担当し、本作でもアカデミー賞のメイクアップ&スタイリング賞を受賞したことで話題を呼びました スクリーンの彼女の顔は人工的に作り上げられ、文字通り「Make Up」されています

こうしたセクハラ・パワハラ問題は、アメリカに限らず日本でもどこの国でも、いまだに執拗に続いているのでしょう 問題の解決を個人に委ねていては いつまで経っても光明は見えてきません 国全体で取り組むべきだと思います

 

         

 

「ハスラーズ」はローリーン・スカファリア監督による2019年アメリカ映画(110分)です

年老いた祖母を養うためにストリップクラブで働き始めたデスティニー(コンスタンス・ウー)は、そこでひときわ輝くストリッパーのラモーナ(ジェニファー・ロペス)と出逢う 彼女からストリッパーとしての稼ぎ方を学び、ようやく安定した生活が送れるようになったデスティニーだったが、2008年に起こったリーマンショックによって経済は冷え込み、不況の波はストリップクラブで働く彼女たちにも押し寄せてきた いくら働いても自分たちの生活は向上しない一方、経済危機を起こした張本人であるウォール街のエリートたちの裕福な暮らしは相変わらずで、その現実に不満を募らせたラモーナが、デスティニーやクラブの仲間を誘い、ウォール街の裕福なクライアントから大金をだまし取る計画を企てる 彼女らはグループで行動し、顧客に薬の入った酒を飲ませ、キャッシュカードを奪って現金を引き出すという犯罪を繰り返す しかし、悪事はいつまでも続かなかった

 

     

 

この映画は、リーマンショック後のニューヨークを舞台に、ストリップクラブで働く女性たちがウォール街の裕福なサラリーマンたちから大金を奪う計画を立て、実行したという実話をもとに描いた作品です この映画を観終わって思ったのは、リーマンショックを超える景気後退を引き起こしている現在のコロナ禍のもと、社会は当時と同じような状況にあることを考えると、同じような犯罪が世界各地で繰り広げられているのではないか、ということです ただ現在は、相手が目に見えないコロナウイルスで、”夜の街”への外出もままならない状況なので、そう簡単に大金が奪われることもないかも知れませんが

この映画では、ショパンの「エチュード」(練習曲)が全編を通じて流れます 「12のエチュード作品10」から第1曲、第3曲「別れの曲」、第5番「黒鍵」、第10曲「革命」ほか、「12のエチュード作品25」から第1曲「エオリアン・ハープ」ほかです 「エオリアン・ハープ」はエンドロール中にも流れていました エチュードは全24曲あるのでこの映画で流れていた曲をすべて把握するのは困難です いずれにしても、1978年アメリカ生まれの女性監督ローリーン・スカファリアさんは、よほどショパンがお好きなようです

 

 

本日、toraブログのトータル閲覧数が580万ページビューを超えました(5,800,150 PV。トータル訪問者数は1,607,227 IP)。これもひとえに普段からご覧いただいている読者の皆様のお陰と感謝申し上げます これからも根性で書き続けて参りますので、モコタロともどもよろしくお願いいたします

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辻彩奈 ✕ 阪田知樹でモーツアルト「ヴァイオリン・ソナタ第34番」、ブラームス「ヴァイオリン・ソナタ第3番」他を聴く ~ 芸劇ブランチコンサート「名曲リサイタル・サロン 第6回 辻彩奈」

2020年08月19日 07時17分18秒 | 日記

19日(水)。わが家に来てから今日で2149日目を迎え、ロイター通信は17日、米国立気象局が西部カリフォルニア州デスバレーで16日に54.4度の気温を観測したと報じたが、世界気象機関によると、公式記録として確認されれば1931年以来89年ぶりの暑さとなる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     地球温暖化が原因だと言っても 科学無視のトランプは信じない 熱い選挙に期待だ

 

         

 

昨日、夕食に「手羽元の照り焼き」と「生野菜サラダ」を作りました 「手羽元~」は初めて  Rakuten レシピをもとに作ったのですが、手順5に「たれにとろみがつくまで、じっくりとたっぷりの愛情を注ぎながら火を通します」と書かれていて、思わず「料理は愛情じゃなくて技術でしょう」とツッコミを入れてしまいました 間違ってますか

 

     

 

         

 

昨日午前11時から、池袋の東京芸術劇場コンサートホールで芸劇ブランチコンサート「名曲リサイタル・サロン 第6回  辻彩奈」を聴きました これは当初3月11日に開催される予定だったのが新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け 延期された振替公演です。プログラムは①J.S.バッハ「G線上のアリア」、②モーツアルト「ヴァイオリン・ソナタ 第34番 変ロ長調 K.378」、③ブラームス「F.A.Eソナタ」より「スケルツォ」、④同「ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調 作品108」です    演奏はヴァイオリン独奏=辻彩奈、ピアノ=阪田知樹。ナビゲーターは加羽沢美濃です

辻彩奈は1997年岐阜県生まれの23歳。東京音楽大学卒。2016年モントリオール国際音楽コンクール第1位、併せて5つの特別賞を受賞しています 阪田知樹はリスト国際ピアノコンクール第1位ほか、内外のコンクールに多数入賞している実力者です

新たに会場受付で割り振られた席は2階F列14番、左ブロック右端です    座席は言うまでもなく前後左右に人がいない市松模様配置です

 

     

 

1曲目はJ.S.バッハ「G線上のアリア」です    この曲はヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)が1729年から31年の間に作曲した「管弦楽組曲第3番ニ長調」BWV.1068の第2曲「アリア」を、19世紀のヴァイオリニスト、アウグルト・ウィルヘルミがヴァイオリンのG線だけで演奏できるように編曲した作品です

ブルーのエレガントな衣装を身に着けた辻彩奈が阪田知樹とともに登場し、さっそく演奏に入ります 辻は一音一音慈しむように丁寧に演奏、阪田がそっと寄り添いました つくづく名曲だと思います

ここで、ナビゲーターの加羽沢美濃が辻彩奈にインタビューしましたが、「コロナ禍の影響で約5か月ものブランクがあり、久しぶりの再開となったが、これまでとは違った新たな気持ちで演奏したい」と語っているのが印象的でした 次に演奏するモーツアルトの曲について尋ねると、「一番好きな作曲家がモーツアルトで、K.378は可愛くて明るくてキラキラしています」と答えていました

2曲目はモーツアルト「ヴァイオリン・ソナタ 第34番 変ロ長調 K.378」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1778年から1781年にかけて(20代前半)作曲した6つの「ヴァイオリン・ソナタ」の一つです 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンティーノ・ソステヌート・エ・カンタービレ」、第3楽章「ロンド:アレグロ」の3楽章から成ります

二人が再登場し、さっそく演奏に入ります 第1楽章は「天翔けるヴァイオリン」と「心弾むピアノ」の饗宴です 辻の伸び伸びと演奏されるヴァイオリンの素晴らしさはもちろんのこと、阪田のピアノが、この曲が一般に「ヴァイオリン・ソナタ」と呼ばれているが 正確には「ヴァイオリン伴奏付ピアノ・ソナタ」であることを思い出させます    阪田のピアノは明快で雄弁です   第2楽章は二人の演奏家の優しい人間性が伝わってくるようでした 第3楽章は喜びに満ちたロンド 辻がインタビューで語っていたとおり「キラキラ輝いて」いました

ここで再びインタビューが入ります 二人はデュオとしては今回が初共演とのことです 加羽沢は「演奏ではどちらが主導権を握るのですか」という いかにも音楽家(作曲)らしい 答えにくい質問を浴びせましたが、二人とも「そちらです」と譲り合っていました モーツアルトに関しては明らかに阪田がリードしていました 次に演奏するブラームスの2曲について訊かれた阪田は「F.A.Eソナタの方は若い時の作品で、若い時の勢いのある情熱を感じますが、ソナタ第3番の方は晩年に近い年齢で作曲したもので、それに相応しい円熟期の情熱を感じます」とコメントし、加羽沢に「まるで巨匠のような解説をいただきました」と驚かれていました。このほか、唐揚げに関する蘊蓄なども披瀝されましたが、阪田知樹というピアニストは外見はおとなしそうに見えますが、実は話好きなのではないかと思います 得がたいキャラクターの持ち主です

 

     

 

3曲目はブラームス「F.A.Eソナタ」より第3楽章「スケルツォ」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1853年に作曲した作品です 「F.A.E」は「Frei  aber  einsam(自由だが孤独)」の略語で、友人のヴァイオリニスト、ヨアヒムがモットーとしていた言葉です ヨアヒムのために第1楽章をA.ディートリヒが、第2、4楽章をロベルト・シューマンが、第3楽章「スケルツォ」をブラームスが作曲しました

二人の演奏で「スケルツォ」が開始されます モーツアルトのクインテットやシンフォニーが「疾走するかなしみ」であるとすれば、このブラームスは「ほとばしる情熱」です 二人の丁々発止のやり取りが凄まじく、手に汗握る迫真の演奏でした

最後の曲はブラームス「ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調 作品108」です この曲は1886年から88年にかけて作曲され、1888年(55歳)にブタペストで初演されました 指揮者でピアニストのハンス・フォン・ビューローに献呈されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「ウン・ポコ・プレスト・エ・コン・センチメント」、第4楽章「プレスト・アジタート」の4楽章から成ります

二人の演奏で第1楽章に入りますが、「ほの暗い情熱」というべき演奏が展開します 第2楽章はブラームスの”渋さ”が発揮された心に沁みる演奏でした 第3楽章を経て第4楽章は、二人による火の出るような丁々発止の演奏が展開、「ほとばしる情熱」を感じました

二人はアンコールにマスネ「タイスの瞑想曲」をしみじみと演奏し、大きな拍手のなか コンサートを閉じました

今回のリサイタルに当たり、辻さんは室内楽で協演したことのある阪田氏をピアニストに選んだということですが、これ以上望めない人選でしたね この日の演奏を聴けば分かります

 

     

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大林宣彦監督「海ベの映画館 キネマの玉手箱」を観る ~ まるで動くパッチワーク、大林ワールド全開!:TOHOシネマズ新宿

2020年08月18日 07時15分57秒 | 日記

18日(火)。わが家に来てから今日で2148日目を迎え、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻なブラジルで、経済活動の再開を提唱するボルソナロ大統領の支持率が37%となり、不支持率の34%を上回った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

        経済優先を提唱しても トランプの支持率が上昇しないのは 自分中心主義だからか

 

         

 

昨日、夕食に「豚しゃぶ」「生野菜サラダ」「もやしの味噌汁」を作りました 夏は豚しゃぶがいいですね

 

     

 

         

 

昨日、TOHOシネマズ新宿で大林宣彦監督による2019年製作映画「海ベの映画館 キネマの玉手箱」(179分)を観ました

尾道の海辺にある映画館「瀬戸内キネマ」が閉館を迎えた 最終日のオールナイト興行「日本の戦争映画大特集」を観ていた馬場毬男(厚木拓郎)、島鳳介(細山田陸人)、団茂(細田善彦)の3人の若者は、突如として劇場を襲った稲妻の閃光に包まれ、スクリーンの中の世界にタイムリープする 彼らは戊辰戦争、日中戦争、沖縄戦、そして原爆投下前夜の広島に辿り着く。3人は劇中で出会った希子(吉田玲)、一美(成海璃子)、和子(山崎紘菜)の無残な死と向き合い、戦争の悲惨さを味わう 彼らは8月の広島で移動劇団「桜隊」の看板女優・百合子(常盤貴子)ら劇団員を救うため、運命を変えるべく奔走するが、運命は変えられない

 

     

 

この映画は、大林宣彦監督が20年ぶりに故郷・尾道で撮影し、無声映画、トーキー、ミュージカルと様々な映画表現で戦争の歴史を辿ったドラマです これまで大林監督は日本各地を舞台に戦争にまつわる物語を紡いできましたが、この映画はその集大成と言うべき作品です それと同時に、幕末や戊辰戦争のシーンではモノクロ・サイレントで表現、トーキー時代になると音が入り、その後カラーの世界に移るといった具合に、映画の表現技術の歴史を併せて描き出しています

現実の世界、映画の中の世界、主人公の青年たちが映画の中にタイムリープした虚構の世界、これらが入り混じって次々と速いテンポで場面が切り替わり、まるで動くパッチワークです 観客であるわれわれは大林ワールドについていくのが精一杯です

この夏、私は集中的に大林監督の作品を観てきました 「HOUSE/ハウス」「狙われた学園」「時をかける少女」「青春デンデケデケデケ」「この空の花」「野のなななのか」「花筐 HANAGATAMI」「海辺の映画館 キネマの玉手箱」の8作品です これらの作品に共通して感じるのは「饒舌な映画」です 常にセリフが話され、音楽が流され、画面にはいつも”音”が存在しています 本作では、戦争の犠牲から守られたドイツのピアノ、ベヒシュタインによりショパン「革命のエチュード」、ベートーヴェン「月光ソナタ」が弾かれ、「ショパンのポーランドは敵国、ベートーヴェンのドイツは味方」というナレーションが流れます 音楽に敵も味方もないのですが、戦争時は敵か味方かしかないのです

この映画は2019年の東京国際映画祭で上映されましたが、その後、コロナ禍で当初の公開が延期となりました 当初予定されていた公開初日の4月10日、大林監督は他界し、本作が遺作となりました この映画では、古いピアノに向かい不協和音を弾く一人の男の後ろ姿が映し出されます。それは大林監督その人です 観客であるわれわれ一人一人に「あとのことは頼んだよ」と呼びかけているようでした

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大林宣彦監督「花筐 HANAGATAMI」を観る ~ バッハ「無伴奏チェロ組曲第1番」のプレリュードが通奏低音のように流れる:新文芸坐 / 給料分の仕事 ~ ケネディの言葉

2020年08月17日 07時16分11秒 | 日記

17日(月)。昨日の朝日新聞朝刊「総合面」のコラム「日曜に想う」に同社編集委員の福島申二氏が「政治の責任 給料分の仕事とは」というテーマで書いています その最後の部分を福島氏は次のように結んでいます

「ケネディ大統領に話を戻せば、核戦争の恐れが迫ったキューバ危機のとき、その顔は引きつり、両目は苦悩で灰色に見えたという そんなとき大統領が、自分を励ますためでもあったのだろう『今週は給料分の仕事をしている』とウィンクをしてみせたという余話が今に残る 現下のコロナ禍は病にとどまらず不安を広げ、経済的な焦燥や、社会の変容から落ちこぼれる恐怖などが人々を苛んでいる 厳しく荒みやすい時代である。すみやかに国会を開いて、首相も各政治家も給料分の仕事をするときだ

早々と国会を閉じて、与党も野党も何をやっているかと苛立ってきます 「給料分の仕事」で思い出しましたが、広島県で大金をばら撒いて県内の政治を滅茶苦茶にした河井夫妻にもまだ給料が支払われているんでしたね それに 自民党から彼らに渡った1億5千万円の資金はいったいどこに行ったんでしょうね リコールでも何でもやって早く議員を辞めさせないと「給料分の仕事」どころか、まったく仕事をしないで議員報酬だけを貰うことになりますよ もとは国民の税金ですよ こういうフザケタ奴らに国民はもっと怒るべきです

ということで、わが家に来てから今日で2147日目を迎え、自民党の甘利明税調会長は16日のフジテレビの番組で、新型コロナウイルスの対応で連続勤務となっている安倍晋三首相の疲労を心配し「ちょっと休んでもらいたい」と語ったというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     内閣支持率は落ちる一方だし  来年の9月末の任期満了まで休めばいい  無報酬で!

 

         

 

一昨日、池袋の新文芸坐で大林宣彦による2017年製作映画「花筐 HANAGATAMI」(169分)を観ました

1941年春。佐賀県唐津市の叔母・江馬圭子(常盤貴子)のもとに身を寄せている17歳の榊山俊彦(窪塚俊介)は、アポロの神のような美少年・鵜飼(満島真之介)、虚無僧のような吉良(長塚圭史)、お調子者の阿蘇(柄本時生)ら個性豊かな学友たちと共に「勇気を試す冒険」に興じる日々を送っていた 肺病を患う従妹・江馬美那(矢作穂香)に思いを寄せる俊彦だったが、その一方で女友だちのあきね(山崎紘菜)や千歳(門脇麦)と青春を謳歌していた そんな彼らの日常は、いつしか恐ろしい戦争の渦に飲み込まれていく

 

     

 

この映画は檀一雄の純文学「花筐」を原作に、戦争の足音が迫る時代を懸命に生きる若者たちの友情や恋を赤裸々に描いた作品ですが、実は1977年の大林監督デビュー作「HOUSE  ハウス」よりも前に脚本を書き上げていたものを映画化した作品です このことからもわかるように、大林監督は映画を撮る一番最初の段階から自分が撮るべきテーマを「戦争」としていたのです この作品は「この空の花」「野のなななのか」に続く戦争3部作の最終章として位置づけられています

どうでもよいことですが、主人公の榊山俊彦を演じた窪塚俊介を観ていたら、風貌から話し方や仕草までが大学時代の友人によく似ているなぁと思いました

江馬圭子の夫は生前チェロを弾いていたという設定から、バッハ「無伴奏チェロ組曲第1番」の「プレリュード」(前奏曲)が全編を通してこの映画の通奏低音のように流れます それはあたかも、いよいよ始まろうとしている戦争への前奏曲のように聴こえました

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大林宣彦監督「この空の花 長岡花火物語」&「野のなななのか」を敗戦記念日に観る ~ 新文芸坐

2020年08月16日 07時20分19秒 | 日記

16日(日)。わが家に来てから今日で2146日目を迎え、終戦から75年を迎えた15日、政府主催の全国戦没者追悼式が日本武道館で開かれ、天皇陛下が「さきの大戦のおいて、かけがえのない命を失った数多くの遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします」と述べられたのに対し、安倍首相は「わが国は積極的平和主義の旗の下、国際社会と手を携えながら、世界が直面している様々な課題の解決にこれまで以上に役割を果たす決意だ」と式辞を読み上げ、8年連続で歴代首相が述べてきた「深い反省」や「哀悼の意」などアジア諸国への加害責任には言及しなかった  という二ュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     初めて”積極的平和主義”を使ったけど  攻撃される前に攻撃するという意味かい?

 

         

 

昨日、池袋の新文芸坐で大林宣彦監督映画「この空の花 長岡花火物語」「野のなななのか」「花筐  HANAGATAMI」の3本立てを観ました ここでは「この空の花 長岡花火物語」と「野のなななのか」の2本をご紹介します

「この空の花 長岡花火物語」は大林宣彦監督による2011年製作映画(160分)です

2011年夏、熊本県天草の地方紙記者・遠藤玲子(松雪泰子)が新潟県長岡市を訪れる 目的は、中越地震を乗り越えて復興し、2011年の東日本大震災の被災者をいち早く受け入れた同地を取材すること。そして、長年音信不通だった元恋人・片山健一(高嶋政宏)からの「長岡の花火を見てほしい」という便りに心惹かれたためだった 長岡を訪ねた玲子は、「まだ戦争は間に合う」という連載記事を書いた新潟日報長岡支社の記者・井上和香子(原田夏希)の案内で、長岡の被災地を訪れ取材する。物語は女子学生・元木花(猪俣南)が書いた「まだ戦争は間に合う」の脚本を中心に、長岡空襲からはじまる長岡市の歴史が描かれる

 

     

 

この映画は2004年の新潟県中越地震から復興を遂げ、11年の東日本大震災発生時には”恩返し”として福島の被災者をいち早く受け入れた新潟県長岡市を舞台に、一人の女性新聞記者が様々な人と出会い、不思議な体験を重ねていく姿を描いた作品です 花火師3代目・野瀬清治郎(柄本明)は花火を絵に描こうとする山下清を、何者か知らずに追い払ってしまいますが、大林監督は山下清に「世界中の爆弾が花火に変わったら、きっとこの世の中から戦争はなくなる」と言わせます これがこの映画のテーマです

 

         

 

「野のなななのか」は大林宣彦監督による2014年製作映画(171分)です

北海道芦別市で古物商を営む元病院長・鈴木光男(品川徹)が92歳でこの世を去り、離れ離れに暮らしていた鈴木家の人々が葬式のために帰郷する そこに現れた謎の女・清水信子(常盤貴子)により、次第に光男の過去が明らかになっていく 彼女は光男が病院長を務めていた時の看護師をしていたが、密かに光男の絵のモデルになっていた。しかし、電車事故で亡くなっていた

 

     

 

この映画は、一人の老人の死によって郷里に集まった家族の姿と、その老人の人生に影響を及ぼした戦争体験を通して、3.11以降の日本再生のあり方を問うた作品です タイトルの「なななのか」とは四十九日のことです   

登場人物の誰かが「『なななのか』を過ぎたら魂は迷わない」と言いますが、まさに老人・鈴木光男はそれまでの間、家族や信子の意識の中に頻繁に登場し、迷いに迷っている感じがします 鈴木光男が清水伸子を過去に愛した女性・山中綾野(安達祐実)の生まれ変わりと見たように、この映画は輪廻転生をテーマにしているようです

「この空の花 長岡花火物語」と「野のなななのか」とは姉妹作品と言うべき映画ですが、共通しているのは”戦争の影”です 大林監督は声高に「反戦平和」を唱えることは決してしませんが、映像からは強くそのメッセージが伝わってきます ”敗戦の日”に観るのに相応しい映画でした

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G.K.チェスタントン「知りすぎた男」を読む / 門馬直美「ベートーヴェン 巨匠への道」、中山七里「セイレーンの懺悔」、望月衣塑子・佐高信「なぜ日本のジャーナリズムは崩壊したのか」他を買う

2020年08月15日 07時16分51秒 | 日記

15日(土)。昨日の朝日朝刊「ニュース3Q」コーナーに「ヒヒーン!地方競馬で脱走相次ぐ」という見出しの記事が載っていました 超訳すると、

「大井競馬場(東京都品川区)から5月と6月、2頭の馬が相次いで脱走した こうした『放馬事故』は先月も岩手県の競馬場であり、この10年間に全国で19件。いずれも地方競馬で起きている 近くの国道で車と衝突し、運転していた男性らがけがをしたこともある 競馬事情に詳しい民俗学者の大月隆寛さんは『地方競馬に多いのは当然のこと』とみる 中央競馬の場合は、競走馬は基本的に全国2カ所のトレーニングセンターで調教を受け、レースのある週末に合わせて各競馬場に輸送される。これに対し、『地方競馬は競馬場と厩舎などが一体のことが多い。昔ながらの競馬場のあり方だったところに、周囲に住宅が増え都市化が進んだことで、普通の人たちの日常生活に馬がうっかり関わってしまいやすい状況ができた』。また、柵を押し倒して突破されるなど設備の老朽化や不備が原因とみられるケースも相次ぐ

これは人間が何とかしてあげないといけない問題です 馬に「脱走するな」と命令しても「馬耳東風」ですから

ということで、わが家に来てから今日で2145日目を迎え、トランプ米大統領は13日、大統領選で野党民主党の副大統領候補に選ばれたハリス上院議員について「急進的な左派として失敗したのに、フェイクニュースメディアは無条件に受け入れている」とツイッターで攻撃し、バイデン前大統領とのコンビが注目されていることに焦りをにじませた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     コロナ対応で後進的な右派を演じて失速したトランプも 無条件で受け入れてるよ

 

         

 

昨日、夕食に「鶏のから揚げ」と「キャベツの中華スープ」を作りました 唐揚げは娘も私も大好物なので2週間に1度は作っています 朝のうちに栗原はるみ先生のレシピにより「うまみ醤油」(生姜・ニンニク・削り節・醤油)を作って冷蔵庫で冷やしておきました これに鶏もも肉を漬けてから揚げるととても美味しく出来ます

 

     

 

         

 

G.K.チェスタントン著「知りすぎた男」(創元推理文庫)を読み終わりました 著者のG.K.チェスタントンは1874年イギリス生まれの作家、評論家で、1936年に没しています

 

     

 

この本は「標的の顔」「消えたプリンス」「少年の心」「底なしの井戸」「壁の穴」「釣師のこだわり」「一家の馬鹿息子」「彫像の復讐」の8つミステリーから成る連作短編集です

新進気鋭の記者ハロルド・マーチが財務大臣との面会に行く途中でホーン・フィッシャーに出会います フィッシャーは上流階級出身で、大物政治家ともつながりを持ち、才気に溢れていますが、「知りすぎているがゆえに何も知らない」という奇妙な苦悩を抱えています この二人が中心となって物語が展開します

「標的の顔」は、「下手くそぶりができるほどの射撃の名手」というのが殺人犯の決め手になるミステリーです

「消えたプリンス」は、英国支配下のアイルランドで、プリンスと呼ばれるアイルランド独立運動家を城に追い詰めた警官たちが射殺されたが、プリンスの姿は消えていたという事件の顛末を描いています

「少年の心」は、国王の叔父が預けた「パウロの1文銭」なる銀貨が、盗難不可能な状況下で盗まれる事件を描いています

「底なしの井戸」は、アラビア半島にある英軍駐屯地で、絶大な名声を誇る老将軍が毒殺された事件を解決する物語です

「壁の穴」は、ある公爵が氷が張った井戸に落ちて死んだが、なぜそこに井戸があると気が付かなかったのかという謎に挑むミステリーです

「釣師のこだわり」は、海運王が田舎屋敷で釣りをしている姿で絞殺されているのが見つかった事件を解決するミステリーです

「一家の馬鹿息子」は、フィッシャーが青年時代、国政選挙に出た時のことがマーチを相手に語られます

「彫像の復讐」は、閣僚たちが集う宿屋の庭で起きた、ブリタニア像による圧殺事件の謎を解きます

いずれも、イギリスの上流階級が舞台になっているので、イギリスの歴史などを良く知らないと気軽に楽しめないところがあります 翻訳なので、諺などが出てくると「注釈」が付されますが、それを含めて読まないとストーリーの面白さが分からないきらいがあります ただ、この作家は文体で読ませる人ではないか、その意味では、英語がスラスラ読める人は言語で読むと独特の文章を味わうことができるのではないかと思います

 

         

 

本を5冊買いました まだ手元に未読の本が数冊あるので”不要不急”のはずで、買うのが分かっていながら どうして書店に行くのか? たぶん病気だと思います

1冊目は門馬直美著「ベートーヴェン  巨匠への道」(講談社学術文庫)です 門馬直美氏といえば、かつて毎月購読していた「レコード芸術」でレコード評を書いていた有名なクラシック音楽評論家です この本は1987年に春秋社から「ザ・ベートーヴェン」として刊行されたものを今年8月に文庫化したものです 門馬氏の名前が懐かしくて手に取りました

 

     

 

2冊目は中山七里著「逃亡刑事」(PHP文芸文庫)です 中山七里の本は文庫化されるたびにこのブログでご紹介してきました 今回はどんなどんでん返しが待っているのか、とても楽しみです

 

     

 

3冊目は同じく中山七里著「セイレーンの懺悔」(小学館文庫)です どうやらマスコミ批判が展開されているようです

 

     

 

4冊目は道尾秀介著「満月の泥枕」(光文社文庫)です 道尾秀介の本も文庫化されるたびにご紹介してきました

 

     

 

5冊目は望月衣塑子+佐高信 共著「なぜ日本のジャーナリズムは崩壊したのか」(講談社+α 新書)です    この本は首相官邸での記者会見で鋭い質問を連発し政権から恐れられている東京新聞社会部記者の望月衣塑子さんと、現政権を怯むことなく批判する評論家の佐高信氏による日本のジャーナリズム告発の書です

 

     

 

いずれも、手元の本を読み終わり次第、随時読み進め、当ブログでご紹介していきます

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井上荒野著「あなたならどうする」を読む ~ 「時の過ぎゆくままに」「小指の思い出」「ジョニィへの伝言」ほか:昭和歌謡に触発されて書かれた短編小説 / 読売日響9/8の公演について

2020年08月14日 07時19分24秒 | 日記

14日(金)。昨日、激しい雷雨のあと 空を見上げると、東京スカイツリーのはるか上空に虹がかかっていました 「オズの魔法使い」のドロシーは あの虹の向こうにいるんだろうか、なんちゃって

 

     

 

読売日響から9月8日開催の第601回定期演奏会の開催について連絡がありました 内容は、①出演者と曲目の変更と②客席数を半数以下に減らすため、当日来場するか欠席(返金または寄付)するか返信ハガキで知らせてほしいというものです ①については当初バルトークの「ピアノ協奏曲第3番」をアンナ・ヴィ二ツカヤが弾く予定だったのが来日不可となったため、小曽根真がモーツアルト「ピアノ協奏曲第23番」を弾くことになったのと、ウォルトン「交響曲第1番」がオネゲル「交響曲第2番」に変更になったというものです 指揮は尾高忠明で変更ありません 私は予定通り聴きたいので「来場希望」にチェックを入れて返信しておきました

ということで、わが家に来てから2144日目を迎え、11月の米大統領選の民主党候補となるバイデン前副大統領と副大統領候補に起用されたカマラ・ハリス上院議員は12日、東部デラウェア州ウィルミントンでそろって演説に臨み、ハリス氏はトランプ政権の新型コロナウイルスへの対応を「失敗」と批判し、政権奪還を訴えたと  いうニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     待望の女性副大統領の誕生なるか?  トランプを蹴散らしてガラスの天井を破れ!

 

         

 

昨日、夕食に「棒棒鶏」と「生野菜サラダ」を作りました    「バンバンジー」はほぼ1年ぶりですが、今回初めてCOOKPADのレシピで作ってみました こちらの方が作り易くて美味しいと思いました

 

     

 

         

 

井上荒野著「あなたならどうする」(文春文庫)を読み終わりました 井上荒野(本名)は1961年 作家井上光晴の長女として東京都に生まれる。成蹊大学文学部卒。1989年「わたしのヌレエフ」で第1回フェミナ賞を受賞しデビュー 2008年「切羽へ」で第139回直木賞を受賞したのをはじめ受賞歴多数

 

     

 

私がこの本を買おうと思ったのは「あなたならどうする」という歌謡曲の曲名のような挑発的なタイトルに惹かれたからです この本は、1つの詩「人妻ブルース」と9つの短編小説から成りますが、短編小説は「時の過ぎゆくままに」「小指の思い出」「東京砂漠」「ジョニィへの伝言」「あなたならどうする」「古い日記」「歌いたいの」「うそ」「サルビアの花」といったタイトルから分かる通り昭和歌謡の曲名です つまり著者はこれらの歌謡曲の歌詞に触発されて男と女の物語を紡いでいったのです

たとえば、この本のタイトルもなっている「あなたならどうする」を例にとると、最初に「嫌われてしまったの 愛する人に 捨てられてしまったの 紙クズみたいに 私のどこがいけないの それともあの人が変わったの」という歌詞の一部が紹介され、次に「ミシンの音で揺れる小部屋は二階にあって、暑苦しくなったので窓を開けると、紅花畑にいる一郎さんが見える」という本文に入ります

小説家の江國香織さんが巻末の「解説」を書いていますが、女性の小説家が女性の作家の書いた小説を読むと こういう風に感じるんだな、と納得させられました 彼女は次のように書いています

「言うまでもなく、いま私が問題にしているかなしみというのは、登場人物の身に起きるかなしい出来事のことではないし、彼もしくは彼女の身になってかなしむことでもまったくない 全然ちがう。むしろ誰の身にもならない素の自分のまま感情が右往左往して、ああもう、ああもう、ああもう、と小説の外側で気をもむ行為のことであり、ほとんど一人運動ーーたとえばある登場人物の気持ちを”わかる”と思い、ほんとうに、切実に”わかる”と思い、でも”そっちに行っちゃだめ。行ったら不幸になるわ”となぜだか確信を持って思い、”それでも行くのよね、行くしかないものね”ともまた、なぜだか別種の確信を持って思うーーことなのだ 一人運動だから心がさまざまに揺れる。”まさか”と”やっぱり”のあいだで、”行け”と”行くな”のあいだで、”いいやつじゃん”と”どうしようもないな”のあいだで、”ばかだなあ”と”ああ、わかる”のあいだでーー。誰はばかることなくそれらのあいだで思うさま揺れるこの快楽は、昭和歌謡の神髄かもしれない

井上荒野という小説家は男女の機微を豊かな言葉で表現しますが、それを読んだ江國香織という小説家はその意図を見事に掬い取っています それにしても、同じことで悩むにしても、男の方が単純だと思います

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諏訪敦彦監督「風の電話」&岩井俊二監督「ラストレター」を観る~早稲田松竹

2020年08月13日 07時22分56秒 | 日記

13日(木)。わが家に来てから今日で2143日目を迎え、香港警察は11日夜、10日に香港国家安全維持法違反の容疑で逮捕した民主活動家の周庭(アグネス・チョウ)氏や、中国に批判的な論調で知られる香港紙創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏を保釈したが、警察は両氏が外国勢力と結託して国家安全に危害を加えた疑いがあるとして捜査を続け、起訴の是非を判断するものとみられる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     二人の逮捕・保釈は自由と民主を求める市民活動の萎縮を狙っているのは明らか

 

         

 

昨日、夕食に「肉じゃが」「生野菜サラダ」「エノキダケの味噌汁」を作りました あとは笹かまぼこです。肉じゃがはちょっぴりしょっぱかったかな

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹で「風の電話」と「ラストレター」の2本立てを観ました

「風の電話」は諏訪敦彦監督による2020年製作映画(139分)です

8年前の東日本大震災で家族を失い、広島の叔母のもとで暮らす17歳の少女ハル(モトーラ世理奈)。ある日、叔母が突然倒れ、自分の周りの人が誰もいなくなってしまう不安にかられた彼女は、震災以来一度も帰っていなかった故郷・大槌町へ向かう 豪雨被害に遭った広島で年老いた母と暮らす公平(三浦友和)や、かつての福島の景色に思いを馳せる今田(西田敏行)ら様々な交流を通し、ハルは次第に光を取り戻していく 道中で出会った福島の元原発作業員・森尾(西島秀俊)と共に旅を続けるハルは、「もう一度、話したい」という強い思いに導かれ、故郷にある「風の電話」にたどり着く

 

     

 

この映画は、今は亡き大切な人と思いをつなぐ電話として、岩手県大槌町に実在する「風の電話」をモチーフに映画化された作品です

この映画を観てまず最初に感じたのは、まるでドキュメンタリーのようだ、ということです 一つは、ハル役のモトーラ世理奈の演技があまりにも自然で、あまりにも静かだからです もう一つは、台本通りに語っているとは思えないベテラン俳優・西田敏行の卓越した演技力によるところが大きいということです

この映画を、東日本大震災の津波や福島原発事故によって家族や友人を失い、故郷を捨てなければならなかった無数の人たちが観たらどう感じるだろうか、と思わざるを得ません きっと、経験者でなけらば分からない感情に突き動かされるのではないか、と思います

自分以外の家族を亡くしたハルが自殺をしようとしていると感づいた公平や森尾は、「死ぬなよ」「お前が死んだら、誰がお前の家族を思い出すんだ」と言って励まします それは、二人とも8年前の津波や原発事故で家族を亡くしているからこそ重みのある言葉としてハルに伝わります 静かな感動を覚える映画でした

 

         

 

「ラストレター」は岩井俊二監督による2020年製作映画(121分)です

姉・未咲の葬儀に参列した裕里(松たか子)は、未咲の娘・鮎美(広瀬すず)から、未咲宛ての同窓会の案内状と 未咲が鮎美に遺した手紙の存在を告げられる 未咲の死を知らせるため同窓会に参加した裕里だったが、生徒会長を務め 学校の人気者だった姉と勘違いされてしまう そこで初恋の相手・鏡史郎(福山雅弘)と再会した裕里は、未咲のふりをしたまま彼と文通することにする やがて、その手紙が鮎美のもとへ届いてしまったことで、鮎美は鏡史郎と未咲、そして裕里の学生時代の淡い初恋の思い出を辿り始める

 

     

 

この映画の最大の魅力は未咲の娘・鮎美を演じた広瀬すずと、裕里の娘・颯香を演じた森七菜の初々しい従姉妹コンビでしょう 役者としては二階堂ふみのレヴェルに達するまではまだまだですが 裕里を演じた松たか子は、ちょっとコミカルな演技力が冴えていました

それにしても、スマホ全盛の時代に「手紙」をテーマに持ち出す岩井俊二監督はチャレンジ精神に満ちています それで思い出したのですが、岩井監督はこの映画にも出演した中山美穂をヒロインに「ラブレター」という映画を撮っています。よほど手紙にこだわりがあるようです

 

本日、toraブログのトータル訪問者数が160万IPを超えました(1,600,394 I P。トータル閲覧数は5,777,275 P V)。これもひとえに普段からご覧いただいている読者の皆様のお陰と感謝申し上げます これからも毎日休むことなく根性で書き続けて参りますので、モコタロともどもよろしくお願いいたします

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トッド・フィリップス監督「ジョーカー」を観る ~ 「狂っているのは僕か? それとも世間か?」:ギンレイホール / 猛暑日をいかに過ごすか

2020年08月12日 07時20分07秒 | 日記

12日(水)。昨日の日経夕刊の「Bizワザ」コーナーに「夏のマスク 水分と一緒に 体感温度より体温注意」という見出しの記事が載っていました 超訳すると、

「日本医科大学大学院教授・横堀将司氏によると、『暑さのなか マスクを着け続けると、呼吸がしづらくなり、ふだんと比べると心拍数が上昇したり、体の中の熱を放出できなくなったりする』。注意すべきは主観的な暑さと体温は違うという点。涼しさを感じられる冷感スプレーを利用すれば、マスクをつけるのが楽になるが、『体感温度が変わるだけで、暑さによる体への負担を軽減するわけでではない』という。帝京大学医学部付属病院の救急医・三宅康史氏は『マスクの機能に涼しさを求めるのではなく、水分補給などを工夫して体温を下げるべきだ』と助言する。体温をうまく下げるには、手首や首など太い動脈が通る部位を冷やすといい 全身に冷えた血液が届きやすくなり、体感的な涼しさも増す

25度以上の気候を「夏日」、30度以上を「真夏日」、35度以上を「猛暑日」と言いますが、ここ数日は「猛暑日」が続きます コロナとともに猛暑にも対処しなければなりません うまく付き合って爽やかな秋を迎えたいものです

ということで、わが家に来てから今日で2142日目を迎え、トランプ米大統領は10日の記者会見で、主要7カ国首脳会議(G7サミット)を11月の大統領選後に開催する考えを明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     来年1月20日までに開催しないとトランプは議長をやれないよ  選挙で負けるから

 

         

 

昨日、夕食に勝浦市在住の大学時代の友人S君が送ってくれたサバを塩焼きにして、「生野菜とアボカドのサラダ」「ワカメと豆腐の味噌汁」を作り、買ってきた 「マグロの刺身」といっしょに食べました サバはボリュームがあり 脂がのっていて とても美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日、神楽坂のギンレイホールで、トッド・フィリップス監督による2019年アメリカ映画「ジョーカー」(122分)を観ました

ピエロのメイクをして大都会で大道芸人として生きる孤独で優しいアーサー(ホアキン・フェニックス)は、「どんな時でも笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸に毎日を過ごしていた そして、同じアパートの住人ソフィーに密かに思いを寄せていた しかし、底辺の生活から抜け出し コメディアンとして世界に笑顔を届けようとしていたはずが、自分の出生の秘密を知り、偶発的な事件から人を銃殺したことから、やがて狂気あふれる悪の存在へと変貌していく

 

     

 

ジョーカーと言えば「バットマン」における悪役として有名なキャラクターです この映画は、喜劇のヒーローを目指した一人の男が悲劇のヒーローになる物語を描いています   地下鉄で絡んできた3人の男を拳銃で撃ち殺してしまいますが、社会の底辺で暮らす貧しい市民たちは、ピエロに扮して犯罪を犯したアーサーを富裕層の人間を抹殺したとしてヒーロー扱います     暴徒化する市民たちはアーサーを社会に根付く”貧富の差”への抗議のシンボルとして捉えています  アーサーの「狂っているのは僕か?  それもと世間か?」という問いが強く印象に残ります   現在のアメリカに関して言えば、狂っているのは世間ではなく政権です

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